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そう言えばこんな友達がいた。
青いメガネに髪型がソフトモヒカンの奴で
ガラスの瓶の中に雨を降らせるのが得意だった。だけど、瓶と言ってもジャムの瓶ぐらいが精一杯でそれ以上の大きさはどんなに練習したって無理だと言っていた。初めてそれを
みせて貰った時のことを私は覚えている、学校の帰り道で道に捨てられた瓶を手のひらに乗せて、しばらく目を瞑ると、中に雲ができ、ぱらぱらと小雨が降ったのだった。
たった数秒間の事だった。
あの子は十九で交通事故にあい、亡くなってしまったが、八月になると洗っておいたジャムの瓶に雨が降っていることがある。
それを私は窓際に置くと、どんなに晴れていても雨がざあざあと降ってくる
雨音に耳を傾けながら私は思わず口にしてしまうのだ
「おかえり」と