[第2話]この砂時計は世界に1つ
[第2話]この砂時計は世界に1つ
俺はそんな風にサヤのことを思い出しながら
砂時計をひっくり返した。
サラサラと少しずつ落ちる砂を見て
泣き疲れ、砂の落ちる懐かしい光景に安心して
俺は目を閉じた。
――
眩しい、、
目をゆっくりとあけた
そこは見慣れた公園だった。
「は、、?」
俺は状況が飲み込めず周りをキョロキョロする
「あ!いたいたあ!」
ずっと聞きたかった声
ずっと大好きな声に勢いよく振り返る
「サヤ……?」
俺の質問にサヤは首を傾げる
「、?うん!」
俺は涙が零れサヤを抱きしめた。
「大好きだよぉ、、」
わーわー泣く俺に周辺の人はドン引きだったが
サヤだけはどーした、どーしたと笑いながら
背伸びして俺の頭を撫でていた
――
「落ち着いたー?」
「うん、、」
まるで1年前の出来事が夢だったかのように
リアルな匂い、温もり
俺は安心感で涙が止まっていた
「……サヤ、今日は何日だ?」
「ん?7月9日だよ?」
俺は目をまん丸にして驚いた
今日はサヤの亡くなった日、命日だったのだ
ハッとしてポケットをまさぐる
スマホと財布が入ってるだけだった
あの砂時計はない、
どーいうことだ??と頭を傾け
スマホのロックを開けると
砂時計が映し出された。
少しずつ砂が落ちている
(どーやらリアルな夢のようだな)
夢でもいい、なんでもいい
俺はサヤを助けたかったし
少しでも長い時間一緒に居たかった。
「サヤ、今日はお家デートにしないか?」
サヤの死因は交通事故
家に帰れば事故なんて起きないはずなのだ
「えー!やだ!」
サヤはわがままな部分があった。
それが今ここで出るとはと頭を悩ませる
「絶対?」
「絶対!」
生憎俺はサヤが交通事故にあった場所を知らない
現実でのこの日、
俺は仕事で一緒に居なかったのだから
だからこそ今すぐにでも帰りたいのだが……
「お願い」
俺は大好きな人の願いを受け入れてしまったのだ。