[第1話]この砂時計は世界に1つ
[第1話]この砂時計は世界に1つ
俺はもう誰も愛せない。
俺は今日死ぬ。
2024.07.09
そんな思いで最後の散歩をする
(あー、俺の人生何だったんだろうなあ)
ふと雑貨屋さんが目に入る
雑貨屋さんには“今までありがとうございました”の文字
(あ、このお店閉めるんだ)
それに閉店の日付は今日
俺と一緒だ、そんな事を考えていたら
フラフラしながらもそのお店のドアを開けた
「お!おまえさんかい、申し訳ないね、
もうここは閉めるんだよ」
「あ、、、……すみません」
ただそれだけ言って
お店を出ようといつもの店主に背中を向けると
「少し待ってくれんかね」
「……」
睨むようにじっと店主を見ると
ガタガタとダンボールを漁り出す
「この砂時計をお主にあげよう」
「砂時計とか興味ないんすけど、、」
「ああ、そうだろうね」
「これは世界に1つしかない砂時計さ
価値は付けれないぐらい高いよ
いいから貰っておくれ」
そういえば店主は、砂時計を投げる。
俺は思わず受け取ってしまった
「さあさ、帰っておくれ
もう閉めるんだよ」
「はい、」
俺はどーしたらいいかわからず
その砂時計をじっと見つめながら
お店を出た。
なんなんだ
あの店主
俺はあの店主と少し前から関わりがあった
よくお店に行けば毎度のように
からかわれていたからな
……。
どんどん涙が溢れてくる
早く死にたい
その気持ちがドンドン大きくなるのを俺は感じた。
――
俺は家に帰ってから
色々準備した。
でも最後にと大事にしている写真を見た
「う、あ、」
大きな身体を小さく丸めて
俺は泣き続けた。
怖い。怖いよ、
俺は結局リビングに戻った
「あーー、」
俺は死ぬつもりだったのに、死ねなかった
怖かった。
「なんでだろうなあ……」
ははと乾いた笑いを上げれば
俺はふと砂時計を見た
「砂時計か」
あいつ、砂時計集まるの好きだったけなあ、、
――
俺には付き合って3年になる彼女がいた。
大好きだった、
綺麗な長い黒髪、甘すぎず優しい匂い
もう全てが大好きだった。
でも1年前
俺の彼女、サヤは交通事故で亡くなった。
ずっと泣いた
毎日の色がなくなり白黒写真のように見えた
サヤがいなくなって俺は、、なにも出来なくなった。
彼女は雑貨が好きだった。
街を散歩するのが好きだった。
あの雑貨屋さんの店主と仲が良くて
俺とサヤはよくあの店主はからかわれていた。
ああ、会いたい
そんな思いが日に日に強くなるのを
俺は感じていた。
2作品目です!
よろしくお願いいたします!
最初から暗くてごめんなさい!