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・ドワーフの村に向かう
勇者は王都に戻ると、王都の外れに位置するドワーフの村にやってきた。
そこは、ドワーフの他に冒険家のような装いの人間達もいる。
ここにいるドワーフは決まって全員が鍛冶屋をしており武器や防具を作っているのだ。
冒険家は市民とは違ってそこまで亜人に対して嫌悪感を抱いてはいないが、それでも人種として下に見る者達が多い。
そのため、ドワーフの作る武器や防具は人間に対して安価で取引されているのだ。
ドワーフの鍛冶能力は人間よりも圧倒的に優れているのだが、他の能力が無いためドワーフは人間に足元を見られているのだ。
「おい!
こないだ買ったこの剣、素振りをするだけで壊れちまったじゃねーか!
こんなナマクラ掴ませやがって!
金を返しやがれ!!」
近くで、柄の悪い人間がドワーフに対してクレームを入れているようだ。
「そ、そんな訳ねぇ!
オラの作る剣が素振りだけで壊れるなんて、、
あ、あんたの言いがかりだろ!」
ドワーフが必死の形相で否定するが、男はお構いなしに腰に刺してある剣を引き抜く。
「あぁ?
人間様に立てつこうってか!?
調子にのるんじやねぇぞ亜人ふぜいが!!」
男はドワーフに向けて剣を振り下ろすが、甲高い音が響きわたりその剣はドワーフに届かなかった。
「その辺にしておいた方がいい。
その折れた剣も単に君の実力不足だっただけだろう?」
男の剣を止めたのは勇者であった。
「あ?
誰だてめぇ!
痛い目見たくなかったら、どいた方がいいぜ?」
男は少し離れると再度剣を振り下ろす為に構えをとる。
今度はドワーフではなく勇者を標的にしているようだ。
「やっぱり僕には君たちの考えは余り理解できないよ」
勇者は男との距離を詰めると、剣の腹の部分を男の顔面にぶち当てる。
男は勇者の動きに反応できず、鼻血を出しながら後ろに倒れると、怯えたような目で勇者を見つめ、過呼吸になりながらも惨めに逃げ去っていった。
「あっ、ありがとうございますだ、、」
後ろから助けたドワーフが感謝の言葉が聞こえてきた。
「別に良いんだよ。
所で、僕の装備を作ってはくれないかな?」
勇者はドワーフに剣をしまいながらドワーフに話しかける。
「も、もちろんいいだ!
あんたには助けられたからお代もいらねぇ。
武器と防具どっちを必要だ?」
どちらにするべきか、、
今持っているのはこの剣だけ。
装備としては盾が欲しいところ。
しかし、この剣も安物であるためできれば新調したい。
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