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・姫様を助ける
勇者は迷う事なく姫様に襲いかかる炎の魔物を切り捨てた。
グチャ
すぐさま王様を救い出そうと振り返るが乾いた破裂音のような音が部屋に響き渡り、瓦礫の中から出ていた王様の頭があった場所には瓦礫が覆い被さっている。
瓦礫の隙間からは赤い液体がどんどんと流れ出ており、勇者はすぐさま姫様に抱きついてその光景を見せないようにした。
「な、何をするのですか!?
早くお父様を!」
姫様は勇者を引き剥がそうと力をこめるが勇者は離すことはなかった。
「すみません、、」
勇者はただ一言謝罪を口にすると姫様は状況を察したように勇者の腕の中で涙を溢した。
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数時間後、王族親衛隊が王室にやってくると姫様を預け、勇者は街へと駆け出し小型の魔物を倒して行った。
1日で侵攻してきた魔物達は王都からいなくなり、数日が経った現在王都は復興作業に追われている。
そんな中勇者は姫様に城の庭にある花畑に呼び出され、花畑の入り口に立っていた。
姫様を救い出した事へのお礼を伝えられるのか、それとも王様を救えなかった事を追求されるのか。
勇者は不安な気持ちを鎮めながら正面に立つ衛兵に話しかける。
「姫様から話は聞いている。
姫様は既に中でお待ちしている。
早く行け」
勇者は逸る気持ちを抑えながらも、入り口にいる衛兵に会釈をし花畑の中を歩いていく。
歩いてすぐの花畑の中央の噴水がある場所に姫様の姿を見つけると、すぐに駆け寄り姫様の前で立ち止まる。
「来ていただき、ありがとうございます。
お待ちしておりました」
姫様は金色に輝く髪の毛を風になびかせながら優しい青い瞳で勇者の事を見つめている。
その容姿は国一の美女と謳われる程のものであり、対面で向かい合っている勇者の顔は真っ赤に染まっていた。
「先日はお救いいただきありがとうございました。
あの時のあなた様のお姿がずっと脳裏から離れ無いのです」
姫様は黄色のカチューシャに手を添えて頬を赤らめながら照れている様子だ。
「勿体無いお言葉です、、」
勇者はすぐに腰を落として膝立ちになると頭を下げる。
「や、やめてください!
そんな事はしないで良いのです」
そんな勇者の両頬を優しく両手で包み込むと持ち上げる。
二人は少しの時間見つめ合うと時間が止まったように二人は動かない。
「私は貴方に惚れてしまったのです」
姫様の優しい声色でのその言葉は、勇者の頭の中を真っ白にし数秒の間ボンヤリしてしまう。
「それは、、私は」
「身分なんて関係無いのです!
あなた様の心はどうなのですか?」
勇者は身分の低い平民である自分と国で一番身分の高い王族が釣り合う訳は無いと言おうとするが、姫様に言葉を遮られる。
「・・・私は」
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半年の交際期間を経て勇者とサクラ・ボタンは結婚を果たす。
平民と結婚するという異例の事態に反対する者も多くいたが、サクラ王女の兄である次男のモック・ボタンの協力もあり無事に二人は結ばれる事となった。
「これで晴れて君も王族の一員となった訳だ。
気分はどうだい?」
勇者は今モックの自室に二人で椅子を座りながら話している。
「いえいえ、私なんて所詮平民上がりですから、、」
勇者は綺麗な衣装に身を纏っており、半年前とは見違えるほどの変貌を遂げているが、その謙虚な性格はそのままのようだ。
「だが、近々王位継承のための投票が行われる。
対象はサクラをのぞいた私たち兄弟の三人。
それと君だ」
モックは凛々しい眉毛を下げて笑顔を見せながら勇者に語りかける。
「平民上がりの君を快く思っていない輩も多いが、反対に王族である僕たちの事を嫌ってる人もいるからね。」
目の上に綺麗にカットされた金色の髪をいじりながらも瞳は勇者をしっかり見つめている。
「まぁ話したかった事はお互いにこれから頑張ろうって話だよ」
モックは笑顔で右手を勇者に差し出すと勇者はすぐさま両手で包み込みながら握手する。
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王位継承戦を辞退し第二王子であるモックのサポートに回る→124ページへ




