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二択物語  作者: 轟号剛


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56ページ

・人羽の集落


海の上を鳥のように飛ぶ勇者は人羽の集落があると言われているヒヤシンス島と向かっていた。


何も無い海上の上で、かなり遠くの方に山のように隆起している物を発見する。


「あそこがヒヤシンスだ!」


勇者は目的の島が見えた事で笑みを浮かべるが、勇者の目の前を矢が通り過ぎる。


思わず勇者は上空を見上げるとそこには、羽を羽ばたかしながら足の鉤爪で弓矢を構える人羽が10人程いた。


「止まれ!

 これ以上先は我々の領土だ。

 人間が何用だ」


人羽の一人が勇者に問いかけてくる。


依然として全員が勇者に弓矢を構えており、かなり警戒している様子だ。


「僕は争いに来たわけではありません。

 貴方達の事を知りに来たんだ!」


勇者は両手を挙げて戦闘の意思が無い事を主張するが、人羽達は弓矢を構え続ける。


「お前を島に招いて我々に何の得があるのだ!

 どうせ我々から何かを奪って行くつもりなんだろ。

 そうはさせんぞ!!」


勇者に警告をつげるように人羽は勇者の目の前にもう一度矢を放つ。


「何もただで招いてもらおうなんて思っていません」


勇者は背負っていた大きなリュックを開けると中から大きな便を取り出す。その瓶には10ℓもの水が入っている


「こちらは我が国で一番の人気を誇るライラック酒です」


勇者は人羽の集落に向かう前に図書館で人羽に着いての資料を読んでいた。


その資料には人羽は無類の酒好きとの記述があり、勇者は人羽との交渉の切り札としてこの酒を持ってきていた。


「な、人間達の酒だと、、」


勇者が酒を見せつけると明らかに人羽達は動揺したようで既に勇者に向けている弓矢を降ろす者もいた。


「カァァァア!!」


すると人羽の一人が島に向かって甲高い声を発すると、すぐさま島からも同じように甲高い音が返ってくる。


「良いだろう。

 お前を我々の領土へと招いてやろう。

 着いてこい」


人羽は全員が弓矢を背中に戻すと島へ向かって飛んでいく。


(良かった、上手く行ったようだね、、)


勇者は安堵のため息を吐くと人羽達の後を追いかける。


勇者が島へと着くとそこには既に数十人の人羽が待っていた。


「よく来たな人間。

 歓迎しよう」


勇者が島に降り立つと人羽の老人が勇者に羽を差し出す。


「はい、こちらこそよろしくお願いいたします!」


勇者は笑顔で手を差し出して羽と手を握り合う。


「つまらないものですがこちらを」


勇者はリュックからライラック酒を取り出すと老人に渡す。


「ありがとうのぉ。

 ワシら人羽は酒好きが多くての。

 早速宴会をしようじゃないか!」


老人は酒を足で持つとニヤけながら羽ばたき宙へと浮かぶ。


勇者も同様に宙を浮かぶと島の奥にある絶壁へと案内される。


絶壁にはいくつかの隆起する岩が拠点にされており、拠点通しを繋げる橋がかかっていた。


勇者は拠点の中でも一番大きな広場へと案内されると、人羽にコップのような器を手渡される。


「さぁ、この人間がこの酒を持ってきてくれた!

 今宵は宴だぞ!!

 存分に楽しもうでは無いか!」


勇者に酒が注がれると、先ほどの老人が自らの器を掲げて音頭を取る。


「乾杯!!」


老人の乾杯の合図と共に周りの人羽達も一斉に酒を飲んでいく。


人羽達は歌って踊ってどんちゃん騒ぎをし始め、勇者も混ざって宴を楽しむ。


瞬く間に勇者の持ってきたライラック酒は無くなるが、違う酒を持ってきて宴を続ける。


「よぉ、人間知ってるか。

 この島には我々の始祖の人羽が死ぬ際に抜けた羽がどこかに眠っているっていう噂だ」


勇者は肩を組んできた人羽に絡まれると興味深い話を聞かされる。


「なんだお前そんな伝説まだ信じてんのか?」


その話を聞いた別の人羽が首を振って否定するが、話した人羽は自信満々に話を続ける。


「何でもその始祖の羽を使うと、念じるだけでその人物の行きたい場所にワープするんだと。

 何なら魔王の目の前に移動する事もできるそうだ」


人羽は興奮したように話をするが、手に持つ酒を飲み干すと気絶したように眠ってしまった。


「まぁ今の話は気にするな。

 人羽達の中でも信じている奴は一握りの話さ」


始祖の伝説を否定した人羽は勇者の肩に手を置くと別のグループに混ざりに行ってしまった。


(始祖の羽、、

話が本当であれば是非とも手に入れたいしれものだな、、)


宴会を引き続き楽しむ→107ページ

始祖の羽を探しに行く→108ページ

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