38ページ
・三人一緒に逃げ出す
「アキレア、、
ギルドが応援に来るはずだ。
逃げながらあいつの攻撃を耐え続けるしかない」
勇者は余りの恐怖に剣を持つ手が震えながらも、冷静にアキレアに指示を出していた。
「あぁ、、
クキちゃん、とにかくこっちの方角を真っ直ぐ走り続けるんだ。
俺たちも後を追うから」
アキレアは抱いていたクキを降ろすと、クキは涙目になりながらアキレアの言葉に黙って頷くと走り出した。
「誰一人として逃す事はない」
デュラハンは馬のような4本足を動かしクキの元へ一気に迫った。
「行かせない!!」
しかし、勇者がデュラハンの前に回り込むと前足目掛けて剣を振るう。
「甘い」
だが、デュラハンは前足を持ち上げ足の裏で勇者の剣を弾くと、手に持っている細長い太刀を勇者に振り下ろす。
「俺がいる事を忘れてんじゃねぇ!!」
デュラハンが剣を振り下す寸前にアキレアがデュラハンの真上に飛び上がっていた。
「赤巒」
アキレアの体は赤い煙に覆われており、身体能力が数段上昇している。
アキレアの強化された拳がデュラハンの鎧で覆われた背中に直撃すると、デュラハンはよろめきながらアキレアの方を振り返る。
「邪魔だ」
デュラハンは攻撃を放って隙だらけのアキレアに向けて太刀を振るう。
「ごぁっ!!」
アキレアは籠手で覆われた腕をクロスさせて防御体勢に移るが、太刀に籠手が当たると一瞬で籠手が破壊されそのままアキレアは勢いよく吹き飛ばされる。
その勢いは凄まじいもので飛ばされた先にある木を5.6本程貫通してしまう程だった。
赤い煙によって強化されていた肉体のお陰で辛うじて命が助かったが、そこでアキレアは気絶してしまう。
「この!!」
勇者は再び剣を振るってデュラハンの後ろ足を切り付ける。
「闇波」
デュラハンの体から黒い魔力が一気に勇者に向かって波打つように放たれた。
「なっ!!」
勇者は黒い魔力を剣で切り払おうとするが、黒い魔力は勇者の体に巻き付くと体を拘束しながら空中に持っていく。
「痛みは無い。
死は一瞬で訪れる」
デュラハンは太刀を振りかぶると身動きが取れない勇者に囁きかける。
「んん!」
勇者は黒い魔力によって口元も塞がれているため呻き声を上げることしか出来ない。
「闇厄」
デュラハンの太刀に黒い魔力が帯びるとそのまま勇者に振り下ろされる。
「筋具金具」
しかし、勇者の背後から人影が現れると金色に輝くハンマーがデュラハンの太刀がぶつかり合う。
金色と黒色の魔力が周囲に電撃が走るように広がっていくと、金色の魔力が勇者を拘束していた黒い魔力を消し去った。
「ギルドだ。
これ以上好きにはさせないぞ」
ハンマーを振るった男がデュラハンと離れると、デュラハンを囲うようにギルドのメンバーが現れる。
「新手か。
まだ大きく動く時では無い」
デュラハンは黒い魔力を全身に纏うと全身が影に吸い込まれその場から居なくなった。
「逃げられたか。
奥にある小僧も回収して撤収するぞ!」
ハンマーを持った大男が指示によって、勇者とアキレア、そしていつの間にかギルドのメンバーに保護されていたクキの全員で迷いの森から出る事ができた。
---
「あんた達、今回は本当にありがとうね、、」
「お兄ちゃん達助けてくれてありがとう!」
勇者とアキレアはステラおばさんの家に訪れており、ステラおばさんとクキに会っていた。
「いえいえ、、
結局はギルドの人達の助けがあったから僕らも助かる事ができたので、、」
勇者はどこか悲しそうな表情を浮かべながらクキの頭を撫でている。
「いや、ギルドの人に聞いた話だとあんたらが時間を稼いでくれたおかげでこの子が助かったって言ってたよ。 本当に良くやってくれたよ、、」
ステラおばさんは涙を拭きながら勇者とアキレアを抱きしめた。
---
ステラおばさんの家からの帰り道で勇者とアキレアの二人が並んで歩いていた。
「俺たちはまだまだ弱いんだな、、」
アキレアが地面を俯きながら悔しそうに言葉をこぼす。
「そうだね、強くなければ守りたいものをも守れないんだとしみじみ思ったよ、、」
勇者も拳を強く握りしめ涙を流していた。
「そんなことはないぞ!!
お前らの心は強いしまだお前らは全然若い。
どうだ、ギルドに入ってみないか?」
背後から迷いの森で助けてくれたギルドの大男が二人の頭をわしゃわしゃと撫でながら登場した。
「あ、あなたはギルドの?」
勇者とアキレアは大男の方を振り向くと驚いた表情を浮かべる。
「あぁ、俺はギルドの長をやらしてもらってる、カマド・ナナツバキだ!
昨日のお前らの活躍見事だった!
お前らならギルドの入団試験をパスしてでの入団にしてもいい、どうだ?」
思わぬギルドへの誘いに勇者とアキレアはお互いに目を見合わせた。
ギルドに入らず修行をする→73ページへ
ギルドに入る→74ページへ




