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・王の相談役に就任
王の相談役という地位を得た勇者はそれから何度も国の方針や政治に関して国王から相談を受ける事になる。
「お主の軍事費を切り崩しての国の復興支援を手厚くするという案、とても民衆からの好感を得られる結果となった。 これからもその調子でよろしく頼むぞ!」
王は勇者の肩を上機嫌に叩きながら豪快に笑う。
しかし、そんな国王とは違い勇者は不安な表情を浮かべていた。
王室から出て自分の部屋へ向かう途中、原因となる人物が向かいから歩いてきていた。
「やぁやぁ、救世主君。
父上に好かれているようで良いご身分じゃないか。
それも軍事費を僕から掠め取ったおかげだけどね」
話しかけてきたのは国王の息子の長男、ロベア第一王子である。
王族に共通する金髪の髪にふくよかな体型。
何よりも常に他人を見下しているような態度が特徴である。
「お陰様で国の復興が当初の倍の速さで進みました。
それは何よりもロベア様のご助力頂けた結果であります」
勇者は冷や汗を垂らしながらもあくまで堂々と返事をする。
ロベアはこれまで軍事費の中で緊急軍資金と称して自身の懐にお金を掠め取っていた。
そこで、今回の魔物襲撃事件が起き復興についての閣議の際に勇者がロベアの溜め込む緊急軍資金を話題に出したのだ。
周りの大臣達はロベアの報復に怯え話題に出す事の出来ていなかったが勇者は違った。
ロベアはその場ではすんなりと緊急軍資金を復興支援金として出す事に了承したが、度々勇者に嫌がらせをするようになった。
勇者の後ろ盾に国王がいる事から表だった物はなかったが、勇者の部屋が荒らされていたり、食事に虫が混入していたりなど陰湿なものだった。
ただ、ロベアが直接勇者に話しかけて来たのは今回が初めてであり、勇者は身構えていた。
「ハハ、少し混みいった話があるんだ。
少し僕の部屋に来てはくれないか?」
ロベアは不適な笑みを浮かべながら膝をつく勇者に問いかける。
もちろん、勇者に拒否権などは無くそのままロベアの自室へと足を運んだ。
ロベアの自室に入るとすでにお茶が二人分用意されており、客用の椅子に勇者が座るとロベアが口を開く。
「さて、話とは他でも無い。
先日の閣議で私は緊急軍資金から多大な額を復興支援金として補助する事が決定した。
しかし、実は緊急軍資金を大分使い込んでいてね。 今緊急軍資金として出している補助金はほとんど私の私財なのだよ」
ロベアは紅茶に口をつけながら笑みを顔に貼り付けてはいるが、内心勇者に対して怒りを覚えているだろう。
「国も大分復興して来た。
そこで君から父上に進言して緊急軍資金からの補助を辞めさせて欲しいんだ。
やってくれるよね?」
ロベアは声色は明るいがその瞳は鋭く勇者を睨みつけるかのような表情で勇者を問い詰める。
「、、、申し訳ないですがそれは、、」
勇者は苦笑いを浮かべながらも断る。
対するロベアはしばらく沈黙すると予想に反して、特に何を言うでもなく立ち上がる。
「そうか。
まぁそう言うだろうと思っていた。
ダメ元での相談だ、気にしないでくれ。
時間を取らせてしまってすまない。
もう帰っても良いぞ」
ロベアはあっさりと引き下がると寝室へと続く扉の奥へと行ってしまった。
(もっと詰められると思ってたけど、、
何事もなくて良かった、、)
勇者はロベアの行動に違和感を持ちつつも安堵のため息を吐く。
勇者は緊張で乾いた喉を潤すために目の前に置いてある紅茶を一気に飲み干すと、ロベアの私室から出ていく。
勇者が自分の部屋へと帰り、椅子に腰掛けたその時突如心臓部が激しい痛みに襲われる。
「が!
た、、す!」
余りの痛みに勇者は倒れ込んでしまい、助けを呼ぼうにも声を出すことも出来ない。
(まさか、、毒?
ロベアの部屋で飲んだあれに仕込まれてたか!)
(く、、そ、、)
勇者は最後に自身の身に起きた出来事に気づくが何もする事は出来ずその命に終わりを迎えた。
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