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・禁書立入許可証を受け取らない
「そんな貴重な物受け取る事できないです」
勇者はアルフの申し出を申し訳なさそうな票じゃぁで断る。
「そうか、、
あっそういえばお前の話をソリダに話したらお前に会ってみたいって言ってるんだ」
アルフは許可証をポケットにしまうとある事を思い出したように勇者に伝える。
「ソリダ、、
それって第三王子のソリダ様ですか!?」
勇者は第三王子の名前が出てきたことに驚きを隠さなかった。
「あぁそうだ。
あいつとは親友でな。
度々話してるんだ。
どうだ会ってくれるか?」
一般的に王族と関わるなど貴族以外不可能と言われており、アルフのこのお誘いは勇者にとってとても魅力的であった。
「是非会わせていただきたいです!」
勇者は二つ返事で了承した。
-
後日、話し合いの場としてアルフの屋敷へと招待されたため、勇者は屋敷にやってきていた。
「止まれ」
屋敷の前には鎧を着た門番が立っており、槍を前に掲げて勇者の歩みを止める。
「こちらアルフ様からの招待状を受け取っております」
勇者は胸ポケットから一枚の紙を取り出して門番に見せる。
「失礼いたしました。
お話は伺っております。
どうぞお進みください。
アルフ様とソリダ様は入り口を右に曲がった突き当たりの部屋で待っております」
屋敷に入ると勇者は言われた通りに右に曲がり、突き当たりの部屋の扉をノックする。
「入っていいぞー!」
扉の向こうからアルフの声が聞こえてきたため、勇者は扉をゆっくりと開ける。
勇者が中に入ると椅子に座るアルフとソリダがこちらに顔を向けていた。
ソリダは王族に共通する金色の髪色の艶やかなマッシュヘアをしており、水色のコートに知的そうなメガネをかけている。
「じゃぁここに座っていいぞ。
こいつ俺がいると会話を任せてくるから、俺は席を外させてもらう。
二人で仲良くやってくれよ!」
アルフは自身の座っていた椅子を勇者に譲るとニヤニヤした顔をしながら部屋を出て行った。
「あいつ、、」
ソリダは顔を手で覆いながら呆れた様子を見せる。
「は、初めまして私は」
「あぁ、そういう堅苦しいのは良い。
苦手なんだ」
勇者の言葉を遮るようにソリダが言葉を発すると、続け様に口を開く。
「あの魔物襲撃事件でのお前の行動はアルフから聞いた。俺が君と話したかったのは、この国についてだ。
ソリダは淡々と話しており、勇者は緊張しながらもちゃんと目を見て話を聞いている。
「俺のような立場だとまず、王族や貴族などの階級の高いやつらとしか話す事がないんだ。
だからアルフに頼んで気になった人物と会わせてもらって世の中の常識を知ろうとしているんだ」
ソリダは話の途中でズレたメガネの位置を整えながら話しを続ける。
「君はこの国に対して、ないし俺たち王族に対してどんな不満を抱いている?
あぁ、俺が王族だからってこの返答で不敬罪になんてしたりはしない。
正直に話してくれ」
ソリダからの問いかけに対し勇者は驚くがすぐに思考を巡らせる。
「正直に申します。
この国は外交力が不足していると感じております。
先の魔物襲撃の際も他国からの援助があればもっと早期に事態は鎮火し現在の復興作業も進んでいる事でしょう。私はこの国は他国と同盟を結ぶ必要があると思います」
勇者が話し終えるとソリダは数秒黙り込む。
そして何回か頷いた後に口を開く。
「なるほどな。
では、質問を変えよう。
国王が亡くなった今、次期国王は俺たち三兄弟の誰が良いと思う?」
国王が死んだ。
それは初耳の事実であり、世に広まっていれば大きな騒ぎとなっている事だろう。
突拍子もない話に勇者の思考は停止してしまう。
「先日の魔物襲撃で強力な魔物がこの城を襲ってきており、父上はその犠牲となったんだ。
パニックを防ぐため公表はせず、次期国王の発表とともに病死という形で国民には公表するつもりだそうだ」
勇者の様子を見てソリダは詳細な情報を話してくれた。
「改めて問おう。
君は次期国王は誰になってもらいたい?」
淡々とした表情でソリダは再度問いかけてくる。
「私は、、
私はソリダ様かモック様に次期国王となって頂きたいと思っております。
どちらかを決めろというのでしたら、外交力に強いモック様を私は推させていただきます」
勇者は少し戸惑いを見せたが、ソリダの真っ直ぐな瞳を見てはっきりと思いを伝えた。
「そうか。
やはり、愚兄は人気が無いな。
まぁ仕方ない事ではあるが。
他の者と話した際も大体そのような回答であった。
俺自身もあの愚兄が次期国王になるべきでは無いと思っているし、次期国王はモックがなるべきだと思っている」
勇者の回答を聞いたソリダは柔らかい表情になり、一枚の紙を勇者に渡してきた。
:ここから先は念の為、筆談で話させてもらう。
このまま行くと愚兄である長男のロベアが王位を継承する事になる。
だから俺は俺の考えに同調してくれる者とクーデターを起こそうと考えている。
どうか一緒に愚兄を暗殺する事に協力してくれないだろうか?
返事はいらない。
決行は王位継承が行われる来週末の前日。
もし協力してくれるなら日が落ちると同時にこの屋敷に訪れて欲しい:
勇者が読み終えると同時に髪は青色の炎で燃え尽きてしまう。
「今日は話せて良かった。
もう帰ってくれて大丈夫だ」
ソリダは勇者の表情を見て優しく微笑みながら立ち上がると部屋から出て行った。
勇者は頭を整理するために数分程その場に残った後、迎えにきたアルフに礼を言って屋敷を出て行った。
辺りはすっかり暗くなってしまっており、人が全然出歩いていなかった。
(まさか、国王が死んでしまったなんて、、
だが、ロベア王子が王位を継承してしまったらこの国は終わってしまう。
ロベア王子は自身の地位と権力しか興味がない。
そんな人にこの国を任せる訳には、、)
考え事をしている勇者は目の前を歩いてきた男に当たってしまう。
「あぁ、すみません。
少し考え事をしていて、、」
勇者はすぐに振り返って頭を下げる。
「いえいえ、僕も目が見えないのでしょっちゅう人に当たってしまうのですよ」
勇者は顔を上げて男を見ると、目の下まで伸ばした緑色の髪によって確かに視界は遮られており、奥に微かに見える目も閉じている状態だった。
「ただ、僕が当たる人は全員死ぬんですけどね」
男が腰に刺している剣を引き抜くと勇者の足元から木の根が突然生えてきて勇者の体を拘束する。
「なっ、なんなんだ!」
拘束される勇者はなす術もなく、襲いかかってきた男に叫ぶことしか出来ない。
「ロベア様に楯突く者は誰であっても排除する。
それが僕の使命」
男が小さく呟くと男の剣が勇者の首を跳ね飛ばした。
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