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・ドワーフに鍛治技術を教わりにいく
「僕を弟子にしてください!!」
勇者は今ドワーフの元に訪れており、土下座をして弟子入りを頼み込んでいた。
「や、やめてくれだ。
オイラが弟子を作るなんてそんな力量はオイラには無いだよ、、」
ドワーフは両手を前に出して勇者の申し出を否定するが、勇者はめげずに頭を上げない。
「君は一流の鍛冶屋だ!
雑務でも何でもする、どうかお願いだ!!」
必死で頼み込む勇者を見下ろすドワーフの表情は戸惑いから諦めの表情へと変化していた。
「わかっただよ、、
ただ、オイラは教えるのは下手だ。
見て覚えてくれだよ!」
ドワーフが頭を下げている勇者に手を差し伸べると勇者は笑顔で手を取り感謝を伝えた。
それからの日々は雑用をこなしながらドワーフが装備を作っている様子を観察し、何本もの剣を打つ日々が続いた、
いつしか勇者は旅に出ようという意識も無くなり、どんなに良い剣を打てるか、それだけを考えるようになっていた。
そしていつも通り今日も勇者は剣を打っていたのだが、その日はいつもと感触が違かった。
「何だこの光は、、?」
勇者の瞳には目の前で打っている剣の一部分が光って見えているのだ。
勇者は戸惑いながらもその場所にハンマーを叩き込むと、次に別の部分が光出す。
次々に輝く剣を見て勇者は確信を得る。
「どこに打てば良いのか示されているんだ」
勇者手には既に迷いは無くひたすら輝く部分を叩き続ける。
「よし、これで最後だ!!」
勇者が最後の一振りを打とうとしたその時胸ポケットにしまっていた狂化薬が飛び出して剣に落ちてゆく。
勇者はその出来事に気づくが振り下ろしているハンマーを止める事はできず狂化薬と一緒に剣に打ちつけた。
狂化薬は割られ剣全体へと薬は広がっていく。
そして剣の熱によってすぐに蒸発されると同時に剣の熱も消え去った。
剣は本来銀色である筈なのだが、狂化薬のせいで黄色へと刀身の色が変わってしまっていた。
「あぁ、、
大事にとっておいた狂化薬が、、」
勇者は涙目となり狂化薬を失った事を嘆きながらも、作ってあった柄を取り付けて剣を完成させる。
勇者は完成させた剣を握り裏庭へと足を運ぶ。
そこには試し切り用の木が何本も育てられている。
「まずは素振りから」
勇者は剣を正面に構えてゆっくりと剣を振りかぶる。
「重みがまるで無いな」
勇者は感想を口から溢した後、勢いよく素振りをする。
「バカな、、」
しかし、勇者の目には信じられない光景が映っていた。
素振りで空を切った筈だったのだが目の前に生えている木が両断されていたのだ。
勇者が信じられないのはその剣の余りの軽さからほとんど力を入れずに振っており、それで今のような衝撃が生まれている事に驚愕しているのだった。
「この剣を王へと献上したら、報酬としてもっと良い環境で、もっと良い素材を使って僕達は武器や防具を作れるかも知れない!」
勇者は手に握る剣をマジマジと見つめながら興奮したように独り言をこぼす。
「ただこれだけの代物、、
とてももう一回打てるとは限らない。
だったらもう一度僕が冒険に出て、、」
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