4月
今日は世がいう入学式らしい。
──まぁ関係ないけどねー
俺は起きていつもどうり歯磨きをしていた。
──知ってるか?知っているか?朝の口の汚れは便器と同じなん…
「来栖ーー聞いてーーー!!」
おやおやお元気なお嬢様の登場でございますね。
「どうしたの?朝っぱらから…」
「ふっふっふー」
するとゆずは低い声で
「いいニュースと悪いニュースがあるどちらから聞きたい?」
「お前それどこで覚えた?」
「いいからいいから早くーー」
「じゃあ良い方から」
こういうのって良い方か悪い方ってどっちから始めるのが正解なのか、未だに分からない。
──てかこの質問されることがそんなねーわ。
「それはねぇ、入学式に見学できるんだって!!」
「あーそう言えば来年小学生だったな…で、悪い方は?」
「それは私がたべちゃったのさーー」
──………はい…何となく予想出来てた…
あ、そういえば昨日こいつ中学生と一緒に洋画見てたわ。それでこんな口調に…
「で、どうなの来栖は?」
「え、何が」
「入学式だよ、入学式!!私たちが入るにふさわしいかを確かめなければ行けないんだよ!!」
──つまり一緒に来いってことか…うーんゆずが居ないんだったらやることもねーしな…でも面倒くさいなー
俺が悩んでいるとゆずが
「ちなみに今年は全国の入学式でなんか有名な声優?の████が応援メッセージを送るらし…」
「よーし、さっさと準備するぞゆず!!」
◼️◼️◼️
今回孤児院からは、あの男子3人組が入学する。3人ともかなりソワソワしている。
すると隣にいる院長が
「寂しくなりますねぇ…別れる訳では無いんですけども」
──この人が1番間近で見てきてくるからな…そらそんな反応になるのも無理は無いな…おっと、そろそろか!!
『今年入学するみなさーん!!おはようござまーす!!これから不安………』
そうして目的である応援メッセージを聞くことが出来た。
「よし帰ろうかゆず!!」
「え、やっぱそっちが目的だったのか…」
「冗談冗談w」
──帰りたいのは事実だけどなんかゆずが可哀想だからやめてとこう。
「あなた達静かに出来ないなら外に放り出すよ…」
『はーーい』
『次は校長先生のお話。』
「えー皆様ご入学おめでとうございます。みなさんは…」
そして長ーい長ーい話が始まった。何故こんなに校長先生の話が長いのか聞いたことがある気がする。
──たしか、校長先生のネタ本みたいな本を参考にしてるから、どうたらこうたはだったような…気になる人は調べてみてね!!
「であるからして…」
そしてようやく校長先生の話が終わった。
──あーあーウトウトしてる人いるよ…
『これで入学式を終わりにします。つきまして保護者方々はこれから説明会があるためお子さんを連れて該当の教室に行ってください。』
そして保護者達はぞろぞろと席を立ち子供を連れ各々の教室に向けて足を運ぶ。
その時見たことのある顔が見えた。
──嘘だろ、いや、でも間違いないあの頭は…そもそもなんでここにいる?
そう、そこには俺の父である葛仲最がいた。しかも、しっかりと子供を連れいる。
そして母親と思われる人は梨花ではなく別の女だった。
──どういうことだってばよ…
「あれ?来栖どこいく?!」
俺は夢中になりそのままついて行ってしまった。今思えば何故院長に一言いわなかったのかめっちゃ後悔している。
──何故って?俺がいま職員室にいるからだよ!!
事の経緯を話そう…
……
──さすがに教室は入れないからな…
俺はとりあえず教室のドアから覗くような形になった。しかしそんなの見るからに怪しすぎる。
あの時は自身の好奇心に負けてしまい正常な判断ができてなかったのだと思う。
「君!!そこで何をしている!!」
「ゲッ」
その後は察しの通り、廊下を通りがかった先生に捕まった…葛中最たちに気づかなかったのは不幸中の幸いだった。
……
「で、僕ちゃんお名前は?放送でお母さん呼ぶから」
「スゥゥゥーーー」
──やべぇ、ここで素直に葛中来栖です!!なんて言ってみろ。間違いなく葛中最たちに気づかれるに違いない。こうなったら、仕方ない…
「名前は…柏木ゆずです!!」
名前が中性的だったのかバレはしなかった。
──すまん、ゆず許せ…
そして入学式終了後
『柏木ゆずさんが迷子になってます親御さんは至急職員室まで来てください。』
と学校中にアナウンスが鳴り響いた。
──あーはっず…
数分後…柏木ゆずと院長が職員室にやってきた。
「すみませんね、ウチの来栖が」
「来栖?柏木ゆずではなくて?」
「あっれれー?どういうことなの来栖ー」
顔は笑ってるが絶対怒っている院長。
──なにか言い訳は…
そして俺が考え抜いた結果
「え?!自分の名前聞かれてたの?!てっきり、知り合いの名前言うのかと勘違いしちゃったー☆」
院長がえげつない目でこちらを見ている…
──やっべ選択ミスった。後で説教だ…
「はぁぁぁ、まぁそれはいいとして無事で良かったよ。」
その後、一礼し家に帰るとバチくそ叱られました。
──今回は本当に反省しないと