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幸せな時間

『怖い、近づかないで…』

『なにかんがえてんだよ…』


『"化け物め”』



「うわぁぁあ」


慌てて周りを見渡すとまだみんな寝ていた。

──なんだ、ただの夢か…あの時の…

もう一度眠りにつこうとしたが、なかなか寝付けなかった。


「顔を洗ってこよう」


時間は真夜中の2時。


パシャン


水を顔に打ち付けた。


「なんで、今になってこんな夢を…」


気分が悪い


◼️◼️◼️


朝が来た。結局あれから眠ることが出来ずにいた。

──起きて歯磨きをしよう…


洗面所に行き歯ブラシを手に取ったその時


「グーテンモルガーン!!来栖!!」


そこには元気なゆずがいた。この間読んでた絵本に影響されてたのだろう。


「おはよう…あとグーテンモルゲンな。」


するとゆずは不思議そうに


「もしかして、怒ってる?」


「え、お、怒ってないよ。」


──やっぱ子供ってこういうの敏感なんだな…切り替えろ、もうあの頃とは違う…あんなことはもう起こらない。

俺は顔をはたき


「大丈夫、だった今解決した!!」


「本当に?」


「ほんとほんと!!」


──それに、これ以上心配させる良くないしな。


◼️◼️◼️


いつもどうりに朝ごはんを食べていると、ゆずが何かを思い出したかのように突然


「子供ってどうやって生まれるのかな?」


「ブフォッ」


思わず吹き出してしまった。

──そういやこいつ5歳だったか…

子供は4、5歳になると何事にも「なんで?」と聞くようになるとされる。いわば知識欲が異様に高まる時期ともいえる。

こういう時は『子供に考えさせて、自主性や想像力を働かさせるのがいい』と同僚から聞いたことがある。

──懐かしいな、俺が病んじまった時も毎日ご飯とか水とか届けてくれてたな…今何してんだろ。


「さぁ、なんでだろ。コウノトリが運んできたんじゃないの?」


──これが恐らくテンプレ…どう出る?ゆず!!


「違うよ、作ってるのが誰かじゃなくて、どうやって作ったのかって聞いてんの。来栖は魚がどこで釣れるか?って聞かれたら船って答えるの?子供だからって適当言って誤魔化せると思うなよ」


──めっちゃド正論やん、急に早口になりすぎだろ。あと、これどっかで聞いたことあるぞ。

俺は全く反論できず


「はいすみません」


悲報、30過ぎのおっさん幼児に論破される。


そしてご飯を食べた後周囲がいつもと違うことに気づく。

何故か、ゆずはニヤニヤしまくっているし、周囲の人もソワソワしてる感じだった。


「ゆず、今日なんかあったっけ?」


「いやーなんもないよーー」


明らかに何かある顔だった。その後問い詰めてみても教えてくれることはなかった。

──にしても寝てないのあってか眠たいな…


その後も周囲の異変は収まることなく時間が過ぎ昼寝の時間になった。

──やっとだ、やっとこの時間だ…


「今日疲れてるね来栖。」


「昨日のショッピングモールの疲れがまだ全然残ってんだよきっと。おやすみ」


──寝てないだけだけど…そんなことより待ちわびた昼寝の時間だ。にしても、なんでショッピングモールで院長の方に手を挙げたのか教えてくれないん…だろうか…な…

俺はそのまま眠りについた。


──あれ、結構寝たな…てっええ?!

時間が本来昼寝の終わる時間である1時をゆうに過ぎていたのである。

そして、周りには人が一切いなかった。


「どういうことだ?普通起こされるはずだろ」


一瞬で目が覚めた俺は急いで寝室の扉を開けた。


すると、


パァン!!

とクラッカーが鳴り響き、そこには院長やゆずをふくめま幼児が全員いた。


『ハッピーーーーバーーーースデーーーイ!!!!』


──あ、そうだった今日は3月18日…俺の誕生日だった。ここ2年祝われたことがなかったからすっかり忘れてた。


すると院長とゆずが俺の前にたち


「はいこれプレゼント!!」


「あ、ありがとう。開けていい?」


「いいよ!!てかむしろ開けて!!」


──おーむっちゃ急かすやん。

プレゼントの封を開けるとそこには名前が掘られているボールペンがあった。

すると院長が


「3歳おめめとう!!これは昨日のショッピングモールで買ったんですよ。ゆずが凄ーく悩んだ末これにしたの。」


──あーなるほど、それで院長の方に手を挙げたのか…

さらに院長は続けて


「この孤児院ではね、1番最初のプレゼントはペンにするの。ペンにはね、これからも勉強とか色々なことを頑張って欲しいみたいな意味があるの。」


──この人本当に聖人みたいな人だな。俺みたいな変な子供でも優しく接してくれるし、こうしてプレゼントまで用意してくれるなんて…


俺が感動に浸っていると後ろにいた男子が


「はやく、ケーキ食べようぜーー!!」


「ちょっと!!男子、今いいとこなんだから邪魔しないでよ!!」


「ゆず、お前最近丸くなったと思ったら、全然変わってじゃないか!!」


少し取っ組み合いになっていた。

──あはは、こいつら相変わらず仲悪いな…


「はいはい、喧嘩はそこまでね。今日は来栖の誕生日なんだから!!」


『はーーーい』


さすがの院長。一瞬で黙らせた。


「じゃあケーキ持ってくるから少し待ってて。」


そして電気を消しロウソクの炎を消す誕生日恒例行事をし、みんなでケーキを分けることになった。


「来栖ーごめんね、嘘ついちゃって」


「いーよいーよ。全然気にしてないから。」


にしてもこういう誕生日を見ると高校時代、友人に臭いの日だからって消臭元をみんなでプレゼントしたのを思い出す。

──今思えばかなり失礼だったなあれ…


そうして楽しい時間は一瞬で過ぎていった。

誕生日で消臭元をプレゼントしたのはマジです。ほかにも明太子の日だから明太子のふりかけとかスパゲティあげたり、布団の日だから布団叩きと座布団をプレゼントしたりとアホなことやってました。

ちなみに東大に行った学歴厨の友1には野菜の日だったためドレッシング単体を大量に送り付けてやりました。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、プレゼントを選ぶことですね。 元カノの子供に生まれ変わったことは魅力的だが。すぐに逃げてしまい、お金もあまりないように見えたり、年を取ったりしている場合、報復する必要があるのだろ…
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