柏木ゆずという人間
わかからせる、と言っても具体的には何も考えていない。だがこのまま柏木ゆずが小学生になったらと考えると心配だ。
──それに、梨花みたいになって欲しくないしな…まずは梨花について知ろう。
俺は男子3人組の所にいき
「ねーねー柏木ってどんな人なの?」
と聞いたが、無視されどっか行ってしまった。
──やっぱ俺嫌われてね?
俺は保育園の時に鍛えた折り紙スキルを使いドラゴンや恐竜などを作った。
そうして、もう一度男子3人組の所にいった。おった折り紙をみせ、
「これをあげるから、柏木ってどんな人かおしえて」
さっきは即ダメだったが今回即OKを貰った。
──やはり折り紙、折り紙はすべてを解決する...
「柏木はずっと嫌なやつだよ…」
すると、男児のもう1人が
「こないだ、おもちゃ片付けてないの僕のせいにされたんだよ!!」
その後も柏木ゆずの悪評は続いた。
──なるほど、もしかして俺が避けられた原因はゆずと喋っていたからか?
すると
「やっべ、ゆずがこっち来る!!逃げろ」
「あ、ちょっとーー!!」
ゆずが到着した時には俺しか残っていなかった。
「あれ、ほかの男子は?まぁいいや、あなた来なさい」
「断ったらどうなる?」
「院長よぶ」
結局俺だけゆずに捕まりゆずの片付けを手伝わされる羽目になった。
──しかしなぁ、なんで院長はこいつに異様に優しいんだろう。
「考え事してないでさっさと手伝え!!」
「はいはい...」
俺は転がっているグルメスパイザーを手に取り
──これは、棚の上か…
背伸びし手を上に伸ばした。
その瞬間隣にいたゆずが急に震え始め、呼吸が荒くなっていた。
「柏木さん、大丈夫か?」
「うっさい!!」
そのまま逃げていった。
──この片付けを1人やれと?にしてもさっきの反応はなんだ‥
その後は小学生や中学生などが帰ってきてみんなで夕食をたべ、俺たち幼児組は8時に布団についた。
しかし、俺はゆずのあの反応だけが気がかりだった。
◼️◼️◼️
次の日ご飯を食べたあとの自由時間、早速ゆずの所にいった。
「ねー柏木さん」
「何よ」
俺は手を上げ頭をかく素振りをした。
するとゆずは昨日同様呼吸が荒くなっていた。
━━やっぱりか…
俺はわざとらしく
「どうした、俺は頭をかいただけだぜ?」
「うるさい、あっちいって。院長を呼ぶよ」
━━俺が思うにゆずは…
「なぁ柏木お前、親に虐待されてただろ」
「う、うるさい院長を呼ぶよ。」
かなり動揺している、やはり図星らしい。俺は追い討ちをするように
「院長はお前が虐待されてるから優しくしてるだけじゃないのか?」
正直にいうとこれは推測に過ぎない。ただ院長はゆずに優しすぎるというのは、この推測だと合致している。
━━ちょっと心痛むな…
「うるさいうるさい...」
少し躊躇いながら言ってため、本人でも何となく察してたのだろう。
「いいのそんな口調で?他の人に言っ…」
「やめて!!それだけは!!」
俺が喋り終わる前に言ってきた。相当焦っており涙目になっている。
━━やっべ、やりすぎた。
「ごめん!!言い過ぎた。」
「ふぇ?」
ゆずは驚いた顔をしてた。
「実は俺も同じなんだよ、虐待…」
嘘は言っていない。事実、男を逃したとき腹いせに梨花に蹴られてたり、食事を作らなかったりと…まぁそれは散々と…今の俺ならばゆずを理解してあげられる。
「だからさ、話してみ?もちろん思い出したくなかったらいいけど」
「‥うん」
話を聞いたところゆずは浮気相手との子らしい。しかも、発覚したのはゆずが生まれたあとという。その後はゆずをどっちが引き取るのかなどの修羅場になったそうだ。
結局ゆずは浮気相手側が引き取ることになったが、慰謝料が怖くなったのか浮気相手は逃げて行ったらしい。
そのあとは察しのとうりシングルマザーで借金だらけのお母さんの理不尽な暴力が始まったそうだ。
それで偶然暴力の現場をみた人によって通報されたそうな。そして、その時通報した人が院長だそうだ。
──いや、おんっっっっっっっっっっっも!!俺はもう精神年齢30のおっさんだから耐えれたけども…こんな幼い子供にそんなことさせんなよ神様。
予想外なことに内心かなり焦ってるが平静を装い
「そうだったんだ…じゃあ他のみんなにあたりが強いのは?」
「あんなふうな強気な態度とってたら殴られたりしないでしょ。そしたらみんな離れちゃったけど。」
やはり相当こじらせてしまったようだ。
──まーそなるのも当然っちゃ当然か…
「まぁ、周りにそんな殴るやつなんていない。だからもっと周りを頼れ、そして相談してみろ。そして仲良くしろ!!お前がされたことを他人にしていい道理はない。」
「うん...」
──少なくともゆずの歳でこんな悩み持ってたら壊れてしまう。
「てか、どう?話したらスッキリしたろ。」
するとゆずの顔から涙がボロボロと零れてた。
「あ、ちょ泣かんでよ。俺が酷いことしたみたいじゃん。」
「だって、だって~」
「あーも顔洗ってこい!!」
その日はゆずが話しかけてくることはなかった。
──まぁ考える時間は必要だな。考えろ若者よ!!
◼️◼️◼️
翌日
いつもどうり起床し歯磨きをしている。
──知っているか?朝の口の汚れは便器と…
「来栖ーーーおっはよう!!」
「お、おう、おはよう…」
そこには昨日よりも数倍元気なゆずがいた。
「ねーねー今日の朝ごはんなにかね?」
「さ、さあ?」
「とりあえず一緒にいこーよ」
──なんか、近くないか?!
昨日あんなこと言ったしもう話しかけて来ないと思っていたんだが…
「な、なあ柏木きのうせいかもだけど、なんか近くないか?」
「え、だって言ったじゃん。もっと周りと仲良くしろって...あと私のことはゆずって読んで!!」
──言ったけど...あれは俺のことを指してなかったんだが...
俺が困惑しているとゆずは目をウルウルさせ
「もしかして、いや?」
──まぁ、いいや。始めたのは俺だしな。
「あ、別にいやってわけじゃないよ。」
問題は30過ぎのおっさんが5歳児が喋っているってことだ。
──さすがに犯罪臭が...いや、今の俺はただのショタやショタ。
そう自分に言い聞かせることにした。
その日以降ゆずはめちゃくちゃなつくようになった。