園児生活そして…
あれからさらに半年がたち俺は1歳を迎えた。
「ギャハハ!!!」
「ワハハハハハ!!!」
外ではしゃぎまくる子供たち…
現在、俺は保育園にいる。
どうやら、本格的に梨花たちは俺の存在を面倒くさがりはじめたらしい。最近の保育園では給食も用意され
──にしても、保育園か…
初めのうちは少しは暇が解消されるかと思っていたが…
「あーだっこーだっこー」
よくよく考えたら1歳児は3単語を並べ喋る赤ちゃん構文しかできないのだ。
しかも赤ちゃん構文を習得できない俺は先生にかなり心配された。
──俺も外で遊べたらな~
俺がいるのは1~2歳児コース
外で遊んでいるのが、3歳児コース。
俺たち1~2歳児コースは部屋の中で折り紙やらクレヨンを書いたり人形で遊ぶくらいしかない。
ひたすら暇だったため俺は折り紙で恐竜やドラゴンなどちょっと難しい位の折り紙沢山おり、園児に餌付けをしていた。
──ほらほら、ガキども~俺に従えー
結構楽しかった。
が、しかし、園児が俺の作った折り紙で取り合いになり喧嘩が始まった。それがきっかけで俺は折り紙が作るのを禁止された…
次にハマったものは筋トレ!!
筋肉は全てを解決する!!…
握りやすいおもちゃを、ひたすらにぎにぎしたり、時にはスクワット、腕立て伏せをしたりした。しかし、
「来栖くん、大丈夫なの?」
速攻で先生に不審がられた。
「え、ダメなんですか?!」
あ、やっべ。本音でた。
「ん?なんか、流暢に喋ってたような…」
やばい困惑してる。誤魔化さないと
「う、びえーーーん鼻炎びえーん」※字面では分かりにくいが 泣いている。
──どうだ、見たか俺がここ1年で磨いたギャン泣テクを!!
こんなことがあったため筋トレは速攻で封じられた。
保育園には授業がある。具体的には文字を書いたり、絵を描いたりするなどそんくらいだ。
今日は文字を書く日らしい。
──よーし今日もやるか
早速書き始めた。数十個平仮名を書いたとき、後ろから先生が困惑し
「来栖くん?何やってんの?」
なにか悪いことをしてる訳では無い。おそらく学生の頃みんなが1回はやることだろう。
──見てわかんないのか?左利きを解放しようとしているのだ。
まぁ当然口では言わない。
そんなこんなで1日が終わる。夕方頃周りの園児達は続々と帰っていく中1人取り残される俺…
「ママ、遅いねー」
下手に喋れない俺は うん、と首をふる。
いつもの事であるため先生も慣れてしまったようだ。
そして、時間ギリギリというか少しオーバーした時に梨花が到着。
無言で俺の手を取り速攻で園内をでる。
初めのうちは先生も注意していたが今はもう諦めている。
これが今の日常だ。
1年後…
俺は2歳になった。周りもだいぶ喋れるようになった。子供の成長はやないもんだ。
──今日は絵の日か。それも展示する用のやつ…
これでも、俺は前世で趣味として高校時代から続けている絵を書いていた。それも結構ガチめに。行こうと思えば芸大に行けたかもくらいなレベル。
テーマは「日常の風景」だ。
俺は絵の日が好きだ。しかし、結構ガチめな絵を描いている訳では無い。ガチと言えばガチなのだがその良さは先生にはあまり分からない。というかほとんどの人が分からないと思う。
それは抽象画だ。
これなら別に園児が描いたとしても特に不思議がられることは無い。
しかしこの考えは後々ハズレることになることをまだ知らないのである。
夕方
相変わらず迎えが遅い。だが今日は特に遅い日だ。
──3、2、1、おめでとう!!これで記録更新!!!今までの最高記録は42分、その記録を塗り替えるとは…
実際は全然めでたくなく先生達はひたすら電話をしている。
1時間経過…
さすがに、そこまで待つことはできないということでほとんどの先生は帰っていった。それでも義務があるため園長先生だけは残ってくれる。
──いやーここまで来ると俺にも罪悪感が…
とか思っていると警察がやってきた。どうやら非常事態だと思い通報したらしい。
「ごめんね坊やしばらくこっちこようか」
そのまま言われるがままついて行くことになり。一時的に警察署に留まることになった。
その時ふとある可能性を考えた
──しかしあまりにも非現実的だ。普通なら絶対にやらない、でもあいつらなら…
その後、警察は梨花や葛中の所在を調べるため家に行ったらしい。
そしたら"誰も居なかった”だそうだ。
いくら警察署でも1日中子供を置ける訳では無い、かと言って俺に親戚はいない。てかいるかすら分からない。そのため夜通しで面倒を見てくれる孤児院に行くことになった。事情を説明したらすぐにOKしてくれた。
この日はもう暗いためすぐに寝ることになったが不安しか無かった。
翌朝
警察が孤児院に来た。ここで真実が明らかになる。
──頼む、俺の勘違い出会ってくれ
そんなことはなく予想は一致してしまった。
梨花たちは夜逃げをしたらしい。
何となく前兆はあった。部屋が妙にかたずいていたりダンボールが多かったりなどなど。
──いくらなんでも2歳児1人を置いていくなよ!!
その後孤児院に入ることが決定した。
当然幼稚園は退園した。
ここから孤児院ライフがはじまる。
「それでは新しい友達の来栖くんだよー。みんな仲良くしてねー」
──あーこれからどうなるのやら…