くっ殺!!
思っていた通り、俺は梨花とあのクソやろーの子供になったらしい。
──あーかつてここまで親ガチャ失敗はいたのだろうか…
心の中で心底ため息を吐いた。
「あれ、泣かないね。大丈夫かな?」
──やっべ早速怪しまれとる。どうにかしないと…
赤ん坊の小さな脳で考えまくった結果
「おんぎゃぁぁああぁ」
八神達2。医者。いい感じの大学を卒業。齢29。いい年して人前でギャン泣きする。
──いやさ、仕方ないじゃん?この状況だったらみんそうするよね。ね?
わざとらしくやったつもりだったが何故か本格的にできた。これも私が赤ん坊だから?
それから数日たち、ついに退院し梨花の家に行くことになった。
病院で預かってる期間はただただストレスが溜まる時間が続いた。体も動けず声も喋れない。ようするに暇に殺されそうになったわけだ。
「来栖~ここが私たちの家よ~」
来栖とは俺の新しい名前のことだ。まぁ、キラッキラなネームじゃなくて良かった。
「そうだぞ、今日からここがお前の家だ。」
こいつはゴミ。正式名称 葛中 最【くずの さい⠀】というらしい。──作者のネーミングセンスの餌食になるとは可哀想な奴…
家の中に入るとゴミ屋敷と言うほどではないが綺麗とも言い難い微妙な感じだ。そして
ここから俺の赤ちゃんライフが始まる。
1日目
早速問題は起きた。それは飯だ。赤ちゃんと言えば母乳…しかし元カノ(しかも30後半)の乳を吸うことができるだろうか…否できるはずがない。(一部の変態は除く。)そもそも熟女は圧倒的守備範囲外だ。
──どうにかして回避しなくては…
そしてついにその時は来た。
「はーい、おっぱいでしゅよ~」
──来た…ふー覚悟を決めろ俺…
俺は全力でギャン泣きし手足をひたすらジタバタさせた。
──屈辱だが、これでどうにかミルクつくることに気づいてくれ…
「あれ、飲まないの?ほら」
──やめろ、それを押し当ててくんな。はよ気づけ…
するとソファーで寝っ転がっていた葛中最が
「苦手なら粉ミルク?みたいなんでつくれば?作り方はしらんけど」
──それだーーーーよく気づいた!!
しかし梨花は残念そうに
「えーでもあげたーい、まあ仕方ないか…」
──よし、何とか何とかいった。
無事食事問題は解決した。
その後も沐浴などあったが、今更裸見られたぐらいでは羞恥心はわかん。
「ホント泣かないねーこの子」
──ぎくっ
「まぁー楽でいいじゃないか、あまりうるさすぎるとイライラしちまうし」
ナイスフォローだがイライラはよくない…泣くのは最小限にしよう。
そんなこと思いつつ普通就寝した。
2日目
更なる問題に直面した。トイレだ。今まで人前で裸になったりギャン泣きしたりと散々恥辱の上塗りを繰り返してたがいくらなんでも漏らすのはもう一次元上の存在だ。とは言っても、さすがに1人でトイレはまだ無理だ。
──ここまで我慢したんだ、だから…あっ…
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──もうこれ以上失うものは何も無い…
3日目
特になし。いつもどうり面倒見てくれた。そしてふと気づく。
──こいつらもしかして改心して良い奴になってんじゃ…
n日目
全然そんなことはなかった。一瞬でもそう思ってしまった自分を呪いたい。
あれから半年近く経った。いろいろとあったが率直に行ってしまえば、飽きたのだ。俺を面倒することに。最近では離乳食を適当に作って近くに起くだけという始末。しまいには、梨花や葛中は帰ってこないときもある。その時には自分の足で台所まで行き頑張って作る。やっと筋肉がついてきて歩けるようになったのだ。正直、普通の子だったら死んでたかもしれない、そう思うとゾッとする。
そして、もうひとつ変わったことがある。
あれはたしか…いつもどうり近くに適当に置かれたミルクを飲んでいたときだ…
ガチャ
ドアがあくとそこには梨花と知らない男がいた。
「赤ちゃん目の前にいるけどいいの?」
「いいのいいの」
俺はこの言葉で感ずいた。浮気だと…
「にしても産んだの失敗したかもなー。面倒くさいのよ。今度捨てちゃおうかなーw」
そして目の前に赤ちゃんがいるにも関わらず2人はおっぱじめやがった。
その後も梨花は色々な男捕まえては家に連れてきた。そして見たくも無いものを見せられる。あれは半年たった今でもトラウマだ。
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そんなこんなで現在、俺は思った。
「こいつら、絶対殺す、と」