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始まり

俺の名前は八神達。自慢じゃないが医者だ。あと自慢じゃないけど彼女もいる。全然自慢じゃないけど。

しかし最近会える機会が少ない。確かにこちらが忙しいというのはあるだろうが、せっかく休みになっても急用が出きたとかでなかなか2人で遊ぶことが少なくなっている。このままでは破局してしまうのも時間の問題かもしれない。

そこで俺は名案を思いついた。名づけて

”突然家来ちゃったサプライズ"

ネーミングセンスが絶望的なことは置いといて、そのサプライズの日は付き合って2年目という記念日である。これでどうにかマンネリ化を抑えたい。


しかし皆分かっているだろうと思うがこの後この男には悲劇が起こる。だいたいの小説や動画でこのように突然訪問はもうフラグがたったも同然だ。


サプライズ当日


...よし、プレゼントよし!!」


この日のためにわざわざ有給を取りプレゼントも用意した。期待に胸を膨らませ彼女の家の前に着いた。緊張感が走り震えながらインターホンを鳴らした。


ピンホーン


しかし出ないもう一度鳴らしてみたがやはり出ない。

──もしかして、彼女の身になにかあったかもしれない

そう思いドアを激しくノックする。

するとドアが空いた。しかし、俺が思っていた人物とは異なり180cmをゆうに超える身長でハゲのいかつい男が出てきた。どうやら部屋を間違えたらしい。


「あ、すみません部屋を間違えました。失礼しまー す。」


俺は若干の命の危険性を感じ急いでその場から去ろうとした直後、その男は俺の腕を掴み去るのを止めたのである。

思わず俺は情けない声で


「すみませぇぇーん。部屋間違えただけなんです。許してくださいぃい」


しかし掴んだ手はなかなか離れない。


かなり愚かに醜く見えてしまうが君たちも分かるだろう。

目の前に自分より20cm以上の男、それもめっちゃムキムキ、そんなやつを目の前にしてで正気を保つなんてほうが難しい話だ。


その次の瞬間男から全く予想だにしていない言葉がでてきた。


「間違ってねぇよ。梨花ー!!こいつだよな金ヅルって!!」


───は?金ヅルだと...

そして、後ろから出てきたのは俺の彼女梨花だった。

男は続ける


「お前のおかげで毎日助かってるぜー。お前の贈ってくれる金でな!!でも今日で金の仕送りも終わりかー。」


「そんな、梨花なんで?!梨花は貧乏でバイト代だけじゃ家賃払えないって、このままじゃ大学中退するかもって言ってたのにあれは嘘だったのか?!」


声を荒らげ言い梨花の返事に期待した。しかし、梨花は嫌な笑みを浮かべ言ったのは最悪の返事が返ってきた。


「あーあこの暮らし、結構気に入ってたのになー。そうよ、あなたの言うとおり嘘よ。私たちここまでみたいだね。てかそもそも金目当て以外でどうやったらあなたなんかと付き合おうなんて思考になるのか意味わかんないわよ。てことでバイバイ。」


「そんな…」


俺は手を伸ばし梨花を掴もうとしたが男が伸ばした手を掴まれ、阻まれた。


「しつこい男は嫌われるぜー」


そう男は吐き終え俺を玄関から押し出し鍵を閉めた。

もう一度ドアをノックしようとしたが騒ぎを聞き付けた隣の部屋の人に見られていたため帰らざるをえなかった。


◼️◼️◼️


それから暫くは立ち直れず出勤出来なかった。

あとから知った話だが梨花とあの男は1年前から付き合ってたらしい。当然同僚にも心配され薦められた心療内科に行くことになった。

自分でも何とかしないといけないと思っていたから仕方なくいくことにした。

──心療内科はそう遠くない。バスで15分ほどの距離だ。同僚は同伴すると言ってたがさすがに申し訳ない。診察が終わったら明日からはいつもどうりだ。あのことは綺麗さっぱり忘れよう。あと、同僚のみんなにはお礼を言わないとな…

とバスの中で決心した。その瞬間


ドンッ!!


なにかバスにぶつかった音が聞こえ、そのままガードレールに突っ切りそばにあった崖に落ちてしまった。


「く、痛ぇ」


意識はあるが、かなり朦朧としている。

──ん?なんか下腹部に違和感がある。


腹を見るとそこからは血が大量に出ていた。医者である俺はすぐにこれが助からないと分かった。


「酷いな、神様は。どうせだったら気を失わせて欲しかったなぁ。」


血は止まらない。痛みが増してくだけ。


───なぜ俺が死なないといけないんだ、こんな未練タラタラな状態で死にたくない。もっと死なないといけないやつがほかにいるのに…


俺は遠のいてく意識の中ずっと訴え続けたが帰って来るのは虚しさだけだった。


◼️◼️◼️


次俺が目が目を覚ました時そこは知らない場所だった。

───ん、どこだここ?

隣から聞き覚えのある女の声が聞こえた。そして気持ち悪いほどの猫なで声が聞こえてくる。そう梨花だ。その後ろにはあの時の浮気相手が腕を組みながらたっていた。さらに重要なことに俺は気づいた。

手が小さすぎるのである。


もっと言えばさっきから声をうまく出せないし身体を動かすこともできない。そしてここが病院であるということ。ここから推測できることは……


───俺、梨花の息子になってるぅぅううううう


これは俺が梨花とあの浮気相手に復讐するまでのお話である。



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