【コント】クローンがやって来た!
いつか、こんな日が来る、のか?
舞台はある家の一室。
登場人物はツッコミ役の一郎と、ボケ役の一郎のクローン略してイチクロ。
イチクロ「ども~一郎さん、こんにちは」
一郎「誰? ってか、お前どうやってここに来たのさ。今、ウチには俺しかいないけど」
イチクロ「初めまして。わたくしあなたのクローン、一郎です。略してイチクロって言います」
一郎「俺のクローン? 何それ、詐欺? 宗教の勧誘?」
イチクロ「いえいえ、本当にわたくし、一郎さんのクローンでございます。わたくしがクローンとして生まれるまでには、それはもう、長い歴史がありまして」
一郎「簡単に言えよ」
イチクロ「あなたの細胞から、クローンとして生まれました、いじょ」
一郎「簡単すぎるだろ! 意味わかんねえよ」
イチクロ「一郎さん、あなた長いこと『引きこもり』ですよね。……いいのか! それで! お前の人生!」
一郎「急にでかい声出すなよ! いいわけねえだろ! 俺だってどうにかしたいよ」
イチクロ「はい、ご注文いただきましたあ」
一郎「注文してねえよ、居酒屋かここは! だいたい何を注文するんだよ」
イチクロ「いえね、全国百万人の引きこもりの諸兄をどうにかしようと」
一郎「百万人もいるのか(ぼそっ)」
イチクロ「照ノ富士よりも腰が重い我が国の政府ですけどね、頭をひねって考えたのが、『ひきこもりん』補完計画なんですよ~」
一郎「エヴァか!」
イチクロ「引きこもりの人々、我々は『ひきこもりん』って言ってますが、あ、ほら、わたしの胸に、マーク付いてるでしょ。コレ。コウモリが綱引いてるマーク。これが『ひきこもりん』。可愛いですよね」
一郎「可愛くねえよ」
イチクロ「この『ひきこもりん』の細胞から我らのようなクローンを作り出し、クローンがその人の人生を代替する、それが補完計画なんですよ~」
一郎「じゃ何、お前が俺の人生を肩代わりするっていうのか!」
イチクロ「その通りです、一郎さん! (パチパチ)引きこもっていても、理解は早いっと(メモメモ)」
一郎「メモるな! しかし、俺の細胞からクローン? お前、俺に似てないよな。俺と違って、お前の髪、天パじゃん」
イチクロ「ああ、それ。いただいた細胞が、どうやらチン毛でしたね」
一郎「ざけんなよ! お、俺のち……毛って、いつ誰が……拾った? 集めたのか?(震え声)」
イチクロ「すいません、個人情報は適切に保護されています」
一郎「政府広報のCMみたいなこと言うな!」
イチクロ「だって、政府機関の回し者ですもの。ぷ――ん」
一郎「あ、開き直りやがった」
イチクロ「そこで! 一郎さん、あなたの情報をインプットして、明日からあなたの代わりに、社会復帰しないといけないのです。遊んでる場合じゃない!」
一郎「キレたよ、コイツ。あああ、なんか、だんだんムカついてきた」
イチクロ「やはり、一郎はムカついたっと(メモメモ)」
一郎「だからあ、いちいちメモるなって。だいたい、ウチの親、俺のクローンがいるとか知ってるの?」
イチクロ「いや、知ってるも何も、この計画の推進してるの、一郎さんのお父さんですよ」
一郎「なにいいいい!!」
イチクロ「あなたのお父さんは、朝は間違っても起きてこない、息子のムスコから毛を引き抜いて、クローンを作り上げたのです。もう涙なしでは語れない、親の愛。ウッ」
一郎「笑ってるよな、お前。てか親父、なんつうことしたんだ」
イチクロ「まあまあ、しょせん今回は実験ですから。あなたはお国の引きこもり対策の、名誉ある初号機というわけですよ、はっはっは」
一郎「クソ親父、俺を使って実験だと! もう許せねえ。今から親父を殴りに行く!」
イチクロ「おおお、既に引きこもりからの脱却の兆しが! 素晴らしい!」
一郎「うるさいわ。おい、今親父は何処にいる?」
イチクロ「個人情報は適切に保護されております」
一郎「もういいわ!」
了
全国の一郎様、お名前をお借りいたしましたm(__)m
最後までお付き合いくださいました皆様、ありがとうございました!!
感想、評価、いいねなど、お待ちしています。