流れ星をあつめて
はれたふゆのよるのことです。
おおきなつきが じめんを あかるく てらしています。
ひとりのおとこが、ゆきのうえを あるいていました。
おおきくて、おもそうなにもつを せおっています。
てには、じしゃくのようなものをもち、ブツブツと なにやら つぶやいています。
「いど60ど33ぷん10びょう、けいど25ど27ふん13びょう、ふんふん、このあたりだなあ」
おとこは、なんにもないばしょで、にもつを おろしました。
そして、ガチャガチャと おとをたてながら、
なにかを くみたてはじめました。
できあがったそれは、おおきな だいのうえに なんぼんもの ながいアームがのび、
アームのさきには、まるいあみが ついていました。
まるで、むしとりあみが、なんぼんも スポンジにささっているような かたちでした。
おとこは、リモコンをとりだして、ボタンをおしたり、レバーをひいたりしてみました。
すると、ながいアームが、てのように うえへ したへ みぎへ ひだりへ と
じゆうじざいに うごきました。
おとこは、うでどけいをみて、
「そろそろだな」
といって、よぞらを みあげました。
まっくろな そらのなかに、テン、テン、テンと ちいさなひかりが みえてきました。
流れ星です。
流れ星が、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ...
えーっと、たくさん!
流れ星は、だんだん おおきくなって、ボールくらいになり、
ヒュンヒュンと、おちてきます。
おとこは、リモコンを にぎりしめて、
つぎつぎと おちてくる星を、あみで キャッチしていきます。
キャッチしたあとは、おおきな かごに うつします。
キャッチして、ポン!
キャッチして、ポン!
やがて、かごは、ひかる星で いっぱいになり、
キラキラと かがやきました。
キャッチできずに、じめんへおちた 星たちは、
ひかりがきえて、まっくろな かたまりになって ころがりました。
ひかる星たちに みちびかれて、
もりから、どうぶつたちが でてきました。
シカ、ウサギ、リス、サルたちです。
おとこは、あつまったどうぶつたちに いいました。
「星をはこぶのを てつだってくれないか」
おとこは、かごを かついで、あるきだしました。
「みんな、じめんに おとさないように きをつけて」
うしろから、シカたちが ツノのあいだに 星をのせて あるきました。
そのうしろから、ウサギたちが、ながいみみで 星をはさんで あるきました。
そのまた うしろから、リスたちが、ながいしっぽで 星をつつんで あるきました。
そして さいごに、サルたちが、あたまのうえに 星をかかえて ついていきました。
ゆきのうえに、ひかる星のれつが、ながく のびて すすんでいきました。
やがて、おとこは、とびきりおおきくて りっぱな スギのきのまえで とまりました。
「さあ、サルくんたち、でばんだよ」
サルたちは、星をもって、つぎつぎに スギのきに のぼり、
えだのうえに 星をかざりました。
はこんできた星を ぜんぶ かざりおわると、
おおきくて ひかりかがやく クリスマスツリーが できあがりました。
星のひかりで、キラキラと ひかる ツリーの うつくしさに
おとこも どうぶつたちも みんな みとれてしまいました。
ちょうど そのころ
トナカイのそりにのった サンタクロースが そらを とんでいました。
まっくらな もりのなかで、
ひときわ あかるいひかりが みえました。
ふしぎにおもった サンタクロースは、おりてみることに しました。
「これはこれは、なんてすてきなツリーだろう」
とつぜんあらわれた、サンタクロースに おとこも どうぶつたちも びっくりしました。
「どうぞみてください、星のツリーですよ」
サンタクロースも、すっかり 星のツリーに みとれてしまいました。
「メリークリスマス!すばらしいよるを ありがとう」
サンタクロースは、おとこと どうぶつたちみんなに クリスマスプレゼントを
くばりました。
おしまい。
すてきなクリスマスを!