おっさんとおっさん。※BL要素あり
「ふんふふ~ん。」
「どうした。気持ち悪いぞ。」
「それがねぇ……気持ち悪くないよ!? 俺は気持ち悪くないよ!?」
「それで、どうした。」
「それがねぇ? さっきそこで女子高生とすれ違ったんだけど、小声であのおじさんカッコ良くない? だって!」
「可哀そうにな。」
「ん?」
「おじさんカッコ良くない。と断定されるなんて。」
「違うよ! ない? だよ! ない。じゃなくて、ない? だからね! 同意を求めるないだよ!」
「人の耳と脳は都合の良いように出来ているらしいな。」
「違うもん違うもん!」
「三十路超えたおっさんがもんとか言うな。吐き気がする。」
「ぶーっ、なんかすっごいさっきから辛辣……、あっ! もしかして、や・き・も・ち?」
「…………。」
「うわー……、とても純粋にまっすぐなゴミを見る目だ。」
「下らないこと言っている暇あったら店出るぞ。」
「はーい。あ、お会計。」
「済ませた。」
「やだ。俺がトイレに行っている間に済ませちゃうなんて、! 紳士……!」
「お前の財布で。」
「知ってた知ってた。」
「あと30分で駅前のスーパーがタイムセールスだからな。」
「はーい。あ、俺、麻婆茄子が食べたい。」
「豆腐が安いから麻婆豆腐で我慢しろ。」
「惜しい……! けどね、似ているようでそれはまったく持って異なるものなんだよ。」
「…………。」
「確かに辛味の麻婆であるにも関わらず豆腐も茄子もそのなかに優しさを表現してくれる! しかぁし、その優しさの奥にある。」
「…………。」
「聞いてる?」
「聞いていない。」
「……そう。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「……ぞ。」
「ん?」
「カッコ良いぞ。」
「…………。」
「なんだ、その顔は。」
「もぉぉ~~っ! なになに? やっぱり焼き餅なんじゃなーい! かぁわぁぃいい! 大好き! 大好きちゅっちゅ!」
「…………。」
「あ、っ! 待って、! 置いてかないでぇぇ!」