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わたしは犬である。
わたしは犬である。
名前はコロ。
最近良いことがあった。
わたしの主人が番を得たのだ。
実に喜ばしいことである。
そしてなんと新しき住処にわたしも連れていってくれた。
素晴らしい。これほどの光栄なことがあるだろうか。
守らねばならない。わたしの牙と爪を持ってして、主人の新しき生活を。
しかし。
最近悪いこともあった。
わたしの主人が帰ってこないのだ。
おうちを守ってね。とわたしの頭を撫でてくれてから主人が帰ってこない。
番の男は帰ってくるが、それだけだ。
もしや、この男と離れたのだろうか。
わたしを置いて?
いや、待て。主人を疑うわけにはいかない。
守ってね、と頼まれたのだ。
頼まれたのであれば成し遂げねばならない。
必ず、主人は帰ってくる。
大丈夫だ。
ああ、大丈夫だ。