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入社だよ!全員集合②

ドアを控えめに開けて体を滑り込ませる。入室時も一礼、基本だ。


「本日面接させていただきます、識守 蒼司と申します。本日は宜しくお願いいたします!」


これは良かったんじゃないか!昨日、久しぶりに面接の練習をしたおかげかスラスラと言葉が出てくる。お辞儀していた為下がっていた頭を上げると……



「おーー」


パチパチパチパチ、拍手を送る女性が一人。よく見ると彼女一人のようで、面接はどうやら一対一のようだった。……なんというか、俺的にはもっと強面だったり荘厳だったりするオジサマ達何人かと対面してするのかと思っていたため少し拍子抜ける。


「識守 蒼司くん、こちらへ」


「はい!」


恐らく人事担当者である、俺と同い年くらいの女性が自分の方へ手招きしている。さぁ、いよいよ面接……だが、しかし。横?面接って隣り合ってするもんだっけ?距離感近くない?しかもこの人、なんというか、もうね、可愛い。しかも俺とは真反対の溌剌としたオーラが滲みだしている。うわぁー、きらきらだぁー……あ、これダメな奴だわ。


今までは面接の雰囲気というか、テンションではきはきしていたのだが、今や彼女を意識しすぎている……体が固まってきた気がする……なんとなく気重になった体を彼女の少し前に運ぶと、彼女は黙って隣のパイプ椅子をぽんぽんと叩く。座れってことなんだろう、なんだそれ可愛いかよ。


「し、失礼します!」


あ、舌もやばい。緊張したせいで彼女を凝視しながら隣の席に座ると、なんとなくいい匂いがする。柑橘系だ……近くで見ると、もうとにかくすごい。くりくりぱっちりお目目に、すらっとした唇。輪郭は細いというか丸っこい、でもそれが彼女の溌剌加減を押し上げているようにも見える。


俺が着席し、お互いが向き合うため体を微妙に相手に向ける。ナニコレちっか!え!?いいの!?


「初めまして識守くん。私は道山どうやま 愉子ゆうこといいます。お隣同士、よろしくね!」


「え? あ、えー……よろしくお願い、します」


あれ?あ、なんとなくわかった気がする……


「あー……もし違ったら失礼しますが……もしかして面接担当の方では……」


「うん、ないね!」


彼女はもう、とびっきりの笑顔で言い切った。

あー……無かったかぁ……

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