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初仕事、当たって砕けて、全力で②

あの後全員揃って同じ棟内の上階にあるダイブ専用ルームに移動した。【ダイブルーム1】と表札が有ったからにはきっと続き番号の部屋もあるのだろうな。流石大企業なだけあって最新鋭のダイブ機を何台も保有していて正直引いてしまう。


俺も自宅でダイブ機を所有しているものの、あんなのてんで安物だ。VR黎明期なんかではあれでも信じられないくらいの値段がついたのだろうが、我が家のは確か5年は前の旧型モデル。多分中古でも2.30万あれば買えるはずだ。子供のお小遣いとしては高いが、バイト等である程度稼げるようになれば手が届かないわけでもないだろう。が……


ここに置いてあるのは別物、というか別次元だ。一台でおよそ1000万、だったはず。国内最高級モデル、として一時期世間を騒がせていたのも記憶に新しい。もちろん価格に比例して性能も段違いだ。同じくこの機械の値段と性能を理解している秋月さんも珍しく目を丸くしている。


「すごいですね……これ全部、いや、他にもこれと同じものがまだ?」


まだ目の前に広がる景色を信じられないのか、近くにあった一台を撫でながら秋月さんが聞く。俺は壊したら怖いから不用意に触らないよ。


「いや、流石にこのレベルの物はこの部屋のものだけね。他のダイブ機はもうワンランクかそこらは下の物よ。この部屋、この部署はそれだけ期待されているのよ」


「一応、故意じゃなければ壊しても会社が加入している保険で補償はされるけど……優しく扱ってくださいね」


そう!それが聞きたかったんだよ!よーし、これで安心して触り尽くせるーぅ!なんたって普通に生きていたら絶対触れない代物ですよ、触るでしょ。


「も、もしもーし、識守くん?大丈夫?顔怖いよー?」


おっといけない、余りにも慈愛に満ちた様子で機体を撫で続ける俺に遠慮してか、一歩離れた位置から道山さんの声がかかる。女神に嫌われちゃうし離れないと……いやでも、このデザインたまらんよなぁ。


「まぁ少し彼の気持ちもわかりますよ。僕も長いことダイブしていますが、ここまでの性能の物を見るのは初めてですし」


秋月さんがフォローしてくれてはいたが……目が泳いでますよ!そわそわしちゃってー、いい大人は自制心とかで大変ですね。私?私はとっくに置いてきました。


「まぁまぁ、色々知っている人も知らない人もね、これを使って仕事してもらうわけなんで、後で存分に堪能してください。とりあえず今から本日の予定をお伝えしますね」


「貴方達には今から早速WAOへダイブしてもらうわ。で、キャラクターを作ってもらうんだけど……さっきクジで機体の番号が割り振られたわね、あれの続き番号、1番なら2番と。ペアで仕事をしてもらいます」


ほうほう、つまり俺は……6番の御薬袋さんか。道山さんとはペアになれなかったが、役得だなぁ。さっき番号を全員で共有していたからか、直ぐに御薬袋さんと目が合った。ひらひらーとクジを振っているので振り返しておいた。女神に背徳しているようで若干心苦しいが、こちらの天使もまた天使である。


「それで、通常キャラメイクが終わったら各種族の拠点にスポーンするんだけど、とりあえず全員で顔合わせというか、キャラ合わせかな。済ませてしまいたいから一度世界樹直近の町に集合してもらうね」


「このゲームをプレイしたことの無い人もいるでしょうし、一応行き方だけ説明しておくわ。まず自分の拠点の街から世界樹まではファストトラベル、ようは瞬間移動ね。できる施設があるの、そこを利用して移動してちょうだい」


成程、各種族の拠点にはその種族以外は特殊な条件を満たさないと入れないんだけど、世界樹直近の街ならどこからでも簡単に行けるか。費用とかもかからないし、集合手段としてはいいだろう。



「今日はそこで解散になるわ。その後からはチーム次第に自由に活動してちょうだい。私たちが先にわかるように待っているから、世界樹直近の街のファストトラベル施設前に集合ね」


「キャラメイクなんか合わせても、体感1、2時間くらいじゃないかな。皆、初日最後の仕事だから心してね」



「それじゃあ各自、ダイブ開始!」

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