表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡く清き季節  作者: 日野智貴(讃嘆若人、旧:暴走若人)
4/5

第4話 私の想い、伝えたつもりが・・・<前篇>

主人公と瑞野愛未の出会いの場面が、この小説にはありません。「淡く清き季節 出会い篇」を『新政未来』(新政未来の党の機関誌)に連載していますので、よかったらそちらも読んでください。

湯口さんと陸奥君の話の詳細も、「出会い篇」に掲載する予定です。

湯口さんは陸奥君の彼女ということだそうですが、ここまで交際の事実が疑われるカップルは、少ないでしょう。

本当に二人が付き合っているのか?まあ、二人とも付き合っていると主張してはいますが、付き合っていないほうにかけたほうが、賭けに勝てるのではないか、とついつい思ってしまいます。

「二人とも付き合っているといっているじゃないか!」という人もいるでしょうが、世の中には「自称・リア充」同盟という関係が存在します。普通じゃない人には、普通じゃない関係があるものです。

その、湯口さんの後ろに座っている、瑞野さんは、今のところはおかしいところはありませんね。

だけど、私は、瑞野さんのことが、無条件に好きですから、仮に瑞野さんがおかしい人であっても、極端な話、レズビアンであったとしても、瑞野さんのことが好きです。

どうやら、瑞野さんは、自分が私の観察対象下に入っていることに、気づいていないようです。と、いうと、危ないストーカーを連想してしまうかもしれませんが、これは決してストーカーではありません。

私は、湯口さんと会話をしながら、瑞野さんに声をかける機会をうかがっているのです。

これがストーカーだというのであれば、世界中の男性がストーカーでしょう。そもそも、政治家を目指す人間は、結婚相手の「身体調査」を行うのが常識です。


その日の朝、私は、湯口さんのところに近づくように見せて、湯口さんの席の後ろのほうに立ちました。

瑞野さんに、声をかけるためです。

瑞野さんは、なにか、裁縫(さいほう)のようなことをしていました。瑞野さんは、家庭科部所属か、何かなのでしょうか?

「瑞野さんは、席が同じところになったんですね。」

いかにも下手な声のかけ方ですが、馬鹿にしないでください。

ほとんど話したこともない好きな女の子が相手で、上手な声掛けをする人は、誘拐犯予備軍ないし結婚詐欺予備軍です。私には、できない芸当です。

「うん、同じなんや。」

ちょっと、そこで、話を終わらせてしまいますか?用もないのに男子が女子に声をかける時点で、私の気持ちに気付いてくれても、いいんじゃないですか?

とは思っても、向こうが私のことを嫌っている、という意思表示なのかもしれません。或いは、湯口さんと一緒で、恋愛能力が欠如・・・・いや、ただ単に私を恋愛対象だとは(かす)ほどにも思っていないだけなのかも、しれません。

もしも、瑞野さんが私のことを嫌っているのであれば、菊井さんから連絡が来るでしょう。あるいは、心理術(メンタリズム)を仕掛ける、という手もあります。

不自然に力を入れないように注意しつつ、全身の感覚を使って、タイミングを計ります。裁縫をしているときは、色々なことを聞く、絶好のチャンスです。別のことに関心が言っているからです。

「瑞野さんの出身中学校は、宍禾(しさわ)ですか?」

「え?違うで?」

瑞野さんは、少し私のほうを見上げてから、再び、裁縫のほうに目をやります。

「あ、そうなんですか!湯口さんと同じ中学校の出身だと思ってました。それじゃあ、菊井さんと一緒、ですか?」

「いや、ちがうで。」

「そうなんですか?瑞野さんの出身中学校は、どこですか?」

新鵤(にいいかるが)中。」

最近、柚木市に併合された地区の名前が出てきました。『風土記』の昔からの、由緒ある地名です。

メンタリズムを駆使すれば、もっといろいろなことが聞けるのですが、私にはそんな勇気はありません。

瑞野さんのことが、とにかく、好き。会話をすること自体が、そもそもの目的であって、情報収取は、二の次、三の次です。

なんだけど、菊井さんがもうそろそろ、やってきそう。菊井さんは、私が瑞野さんのことをが好きだとすると、かなり高い確率で妨害してきます。だって、菊井さんは私の過去を知っていますから・・・・・。

私が立っているポジション、よく見ると、瑞野さんよりも湯口さんに近く立っています。これ、わざとそうしているんです。

菊井さんが教室に入ってくると、湯口さんのほうを向きながら自分の席に戻っていく、そうすると、菊井さんを含め、たいていの人は、私が瑞野さんのことが好きだとは気づきません。あの、上野君もまだ気づいていないのですから。


だけど、瑞野さんは、私の気持ちに、気付いているはずですよね?

私の調べた範囲内では、瑞野さんが特に鈍感だということは聞いていないのですが・・・・・。

気付かないふりをしているのでしょうか?

「気付いていないふり」をされたからといって、好きな子を(あきら)めるような、だらしない男はだめです。私は、瑞野さんを、あきらめません。


私が瑞野さんに再び声をかけたのは、その次の週の火曜日でした。

私としては、かなり思い切ったことを話したつもりなのですが、瑞野さんは依然(いぜん)、なんの反応もなし、でした。

瑞野愛未の元カレ(釣本(つりもと)一心都(ひろと))のことを書こうとしましたが、この小説には保険をかけていないので、そちらについても「出会い篇」に書きます。

活動報告はこちらから⇒http://syosetu.com/userblogmanage/view/blogkey/1314893/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ