刃は心にこそ
他人を攻撃するのはとても簡単で
うさばらしなら匿名でいくらでもできて
それですっきりしたような顔で
生きる人々
心が干からびて砂漠よりも
救いようのないありさまになっても
気が付くことさえなく
その末路など想像すらしない哀れさに
神と名乗るものは答えもしない
あたしの首には常に白刃がぴたりとあてがわれ
私はいつでもその首を切り落そうと柄を握る
自らを守る剣を私はあたしに向けている
時にあたしはその刃に自らの首を刺し貫き嗤う
私をその血で濡らし潤すために
あたしの血で赤黒く染まった私は
深くため息をついてしかたなく謀を遂行する
他人がこれが正義と唱えるものに
冷徹にわかりませんといい
嫌がらせのように説明してくださいなと笑いかける
心の干からびた人間は怒りをあらわにするか
何も聞かなかったという顔をして去っていく
知らぬ間に打ち込まれた毒矢に
そのうち侵食されて壊れていくだろうとあたしが嗤う
私は再びあたしの首に白刃をあてる
お前はいたずらが過ぎると青色吐息を吐きながら
私はできるかぎりこの悪魔を外へ出さないように
その切っ先に自らの命をのせる
あたしは猛禽の目をして嗤う
その白刃を再び己の血で染めて児戯を歌う機会をうかがいながら
私はあたしの首に白刃をあてる
たとえどんなに心が干からびているといえども
この悪魔に人間を殺す権利などないのだから
生殺与奪の権利など誰の手にも握られてはいけない
どのみち命というものは時が来れば尽きていくのだから
お優しいことでとあたしが嗤う
しかたがないさと私は呆れる
そうすることでしか生きられない
それが【わたし】という人間だから