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『発掘しました』
血王リューフッド。
策謀と戦乱に生きた男の名が、庶民の落とし噺に刻まれた。
古の墓を荒らす発掘人たち。
考古学を名乗りながら、金銀宝玉を求めて王侯貴族の陵墓を暴く賊の群れ。
そんな彼らに金を投じた商人がいた。
少年時代、血王の物語に心奪われた男。
ある日、発掘人から報せが届く。
『血王の墓を見つけたぜ』
発掘人は二つの骸骨を手に得意げに言う。
『こっちが大人のリューフッド、こっちが子供の時のリューフッドだ』
商人は怪訝な目を向ける。
『大きいのが大人で、小さいのが子供だと?』
発掘人は頷き、商人の怒りが爆発する。
『いい加減なことを言うな!』
彼は憧れの血王を知るため巨額を投じたのだ。
そして叫ぶ。
『俺が夢見た“女の子だった”リューフッドの骸骨はどこだ!』
発掘人たちは黙り、風だけが墓場を吹き抜ける。
第四回、『帝国雑文物語録』、『発掘しました』。
真実か、虚構か。この物語の果てに何が埋まっているのか。