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柔らかいものに包まれて

作者: ありま氷炎
掲載日:2025/01/29

 

 みんな俺のことが嫌いなんだ。

 体はいつも冷たくて、手も足もなくて細長い体をしているから。


 俺の姿をみると、逃げるか殺そうと襲いかかってくる。

 だからみんな嫌いだ。


 それに比べて、あいつはみんな好かれている。暖かくて柔らかくて、手も足もあって。

 尻尾なんて真ん丸だ。

 耳は長くて。

 あいつをみると、誰もが可愛い、可愛いって近づいていく。

 俺とは大違いだ。


 あいつのことが俺は一番嫌い。

 だけど、あいつは、あいつだけは俺に優しい。

 俺にはあいつしかいない。



「うわ!出た!殺せ!」


 昼寝したら大きな声がして人間が襲いかかってきた。


 いたい。

 いたい。


 人間が俺を殺そうとしている。

 俺はそこで寝ていただけなのに。

 頭を殴られた。

 もう死ぬしかない。

 だったら、死ぬ前に一矢報いてやる。


 うさぎ、うさぎがきやがった。

 そのとたん、人間どもの殺気がおさまる。

 うさぎはその間に俺に逃げろとばかり合図をする。

 だけど、俺は瀕死だ。

 もう死ぬ。

 逃げる体力は残っていない。

 だったら、その前にあいつらに。

 だけど、うさぎはそれを俺にさせない。

 悔しい。

 動かなくなっていく俺をみて、人間どもは気が済んだのか、いなくなる。

 残ったのは俺と、うさぎ。

 うさぎは近づいてくると、俺を頭を抱え込んだ。

 口元によるな。

 俺の牙には毒がある。

 だけど、あいつは構わず、近づいて、俺の牙があいつを傷つけた。


「蛇。一緒だよ。一緒に逝ってあげる」


俺は蛇だ。

涙なんて出るわけがない。

だけど、俺の瞳から水がこぼれた。



 うさぎは微笑む。

 こいつはどうしようもない。

 俺なんかに構うなんて。


 うさぎの柔らかい体に包まれて、俺は暖かさを感じながら死んだ。


 生まれ変われるなら、こいつを傷つけない、うさぎになりたいと思いながら。






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― 新着の感想 ―
蛇さん! うさぎさーん!! せつないー!! 蛇さんの最期が切ないけど、うさぎさんとの関係にある温もりに癒されました。 来世があるなら二人(二匹?)で寄り添って、幸せに生きてほしいです。
最後に温もりを感じられたのがとても素敵だと思いました。不憫さに、ラストは寂しい気持ちもしますが、全体を通して心がほんわかする優しい作品でした。読ませていただき有り難うございました♪
企画ありがとうございます。 へ、へびさーん!!  逆襲してやる! となるも、うさぎの存在に守られたと思います。うさぎさん、愛が深いです。
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