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ピアノ

恋の話をしよう「ピアノ」


学校の帰り道、


いつも、ピアノの音がする家がある。

何の曲だか解らないが、

きれいな曲だ。

いつも聞こえてくる、あの曲。

白い壁の洋風の家。

どんな人が弾いているのだろう、

いつも気になる。


ある日、ピアノの家の窓が開いていた。

長い髪の女の子が見えた。

物静かな優しい感じの女の子。

真剣にピアノを弾いている。

きれいな曲だ。

耳に残る。

僕は、いつの間にか、その曲を覚えていた。

口ずさんでしまう、その曲、

懐かしいような、悲しいような……


今日は学校で嫌なことがあった。

友達と喧嘩をした、些細なことだった。

「顔も見たくない」

お互い意地を張った。

心がむしゃくしゃする。

ピアノの家の前に来た。

いつもの曲…

明日、あやまろう。


ある雨の日、

ピアノの家の前を通った。

引っ越しをしていた。

大きなピアノを運んでいる。

雨だというのに、

あの女の子がいた。

悲しげな顔をしている。

じっと、ピアノを見つめていた。

突然、

女の子が僕の前に走って来た。

「いつも、私のピアノを聞いてくれてありがとう」

「これ、」

と、ピアノの楽譜を差し出した。

僕は、

「ピアノを持っていないし、弾く事もできないよ」と答えた。

「いいの」


そして、女の子は引っ越して行った…



あの曲は、ショパンの別れの曲(練習曲作品10第3番)だった。

うつくしい旋律。


その後、

僕はピアノを覚え、音楽大学へ入学した。

コンクールにも出場している。

いつか、あの女の子に会える日を思い、ピアノを弾き続ける。


ショパンの曲、


別れの曲を……


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