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結婚してあげる

恋の話をしよう「結婚してあげる」


私には姪っ子がいる。


名前は日菜子ちゃん。

歳は5歳。

オシャレでませた女の子だ。

最近は大人びた言葉をしゃべり、生意気になってきた。

私が遊びに行くと、真っ先に走って来て飛びついて来る。

「おじさーん、」

「だーい好き!」

「おじさんも日菜子ちゃんが大好きだよ……」


ある日、

私が日菜子ちゃんと遊んでいると、突然、妙な事を言い出した。

「おじさんは結婚しないの?」

私も30歳を過ぎ、結婚に焦っていた頃だった。

「まだなんだ、ハハハ」

「ふ〜ん」

「いい人いないの?」

ずいぶん大人びたことを言う。

たぶん、大人たちの言葉を真似しているんだろう。

「いないね〜」

「日菜子が結婚してあげようか?」

「ええっ、」

「びっくりすること言わないでよ」

「あー驚いた」

「ほんとだよ」

「日菜子が大きくなって、おじさんが結婚していなかったら結婚しようね」

「そうだね」

「やくそく」

「約束…」


そして20年後、

私はまだ結婚もせず、ズルズルと独身でいた。

ある日、

私の所に、結婚式の招待状が届いた。

日菜子ちゃんだ。

今や、日菜子ちゃんは、すっかり大人ぽくなり、私が訪ねて行っても挨拶ぐらいで、あまり話しもしなくなっていた。

「めっきり会っていないな〜」

「そうか、結婚するのか」

「もう、そんな歳か…」


結婚式当日、

見違えるぐらい綺麗になった日菜子ちゃんがいた。

白いウエディングドレス姿が眩しい。

「綺麗だよ」

照れる日菜子。

私は、その姿に子供の頃の日菜子ちゃんを重ねていた。


乾杯!

ウエディングケーキ入刀、

……

……

キャンドルサービス、

日菜子ちゃんが新郎と一緒に私の席にやって来た。

ボッ、

テーブルのキャンドルに火が着く。

オレンジ色の炎に照らされる日菜子ちゃんの顔。

その時、

日菜子ちゃんが、小さな声で私の耳元に話しかけた。

「本当はおじさんと結婚したかったな」

「……!」

いたずらっぽく笑う日菜子ちゃん。

手を振って去っていく。

「……」


数年後、

私は、また、日菜子ちゃんと会っている。

小さな女の子を連れている日菜子ちゃん。

日菜子ちゃんの子供が走ってくる。


「おじさーん、」

「だーい好き!」


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