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ディセンデントプルーフ  作者: 流川 氷陽
魔界からの脱出
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殺意と最強種

自身の肉体を見つめ、恍惚とした笑みを浮かべる。

そして、目の前には激増した自身の力を試すに好都合な生命体。


地面に這う無様なヒト、ヒト、ヒト、ヒト

そして偽者の知己



腕に自身の力を込める。

掌を眼前の生命体に向ける。


掌の前に黒と鳩羽の色が混ざり合う、球体のエネルギーの塊が生まれる。



球体はゆっくりと時間をかけ、ユカイの身長を包む程にまで成長した。


ハヤト達は立ち上がる事ことも出来ずに、その様子を淡々と眺めているだけだった。


そうして殺意を塊に込め、ユカイは塊をハヤトに向ける。


そこにあるのは殺意のみ。恨みや憎しみは存在しない。

ただ、目の前の生命に対する殺意のみにより、今、魔王は動いている。



魔王が塊をハヤトに向けて放つ。


目の前から迫ってくる殺意のエネルギー。

受けるならば死。避けることは不可。



もはや生き残る術は無い。




そう直感した瞬間、ハヤトの頭に聞き覚えのある声が聞こえた。




『我が血を引きながらここで死すか』

『それも一興である……が、貴様は勇者であろう?』

『しかも、父にも出会えていない』


『貴様に死は似合わぬ』




ハヤトは一度経験した感覚と共に、記憶の底に意識が沈んでいった。


そうして、竜が人格をハヤトに重ねる。


竜は腰から剣を引き抜き、無駄の無い動きで目の前の塊を左右に切り裂く。



「…だれだ」


魔王は、殺意のエネルギーを切り裂かれた事に一切の動揺なく、今までと気配が異なる存在に警戒を見せていた。



だがそんな事を気にせず、竜は後ろのセリスに声をかける。


「そろそろ目覚めの刻だ。氷狼よ」


セリスにその言葉が届いた瞬間、セリスの意識は沈み他の人格が重なった。



「…やれやれ、なぜ俺がこのようなことを」


セリス…いや、氷狼は面倒そうに両手を重ねる


「そう言うな。次の体を探すのは我も貴様も骨が折れるだろう?」


最強(おまえ)よりはマシだな」


そうして、二人は目の前の魔王に向けて力を向けた。


「…【血をつぐもの(ディセンデント)】か……ハ…アハハ…アハハハ!面白い!」

「来い!魔王が相手をしてやろう!」


高笑いをした魔王は、目の前の新たに出てきた生命体にこれ以上無い興奮を感じる。


最強種といわれる存在。それも二人同時に戦える。

このような経験は今後千年は味わう事は出来ないだろう。

魔王は新たな力を使用する。

魔王の体から黒が広がり、部屋を闇で包み込んだ。


闇に触れた、竜と氷狼を除く四人は眠ったように意識を失う。


「…若造が」


一言呟くと、竜の剣の刃が一瞬にして10mを越える程に伸びた。


【ニーズヘッグ】


刃は魔王に向かって曲がりくねり、魔王の足に齧りつく。


痛みが足を襲うが、一瞬たりとも怯むことなく魔王はトランプを取り出す。


そして、スペードの13で齧りつく刃を切断した。


「…面倒な事は早めに終わらせよう」


氷狼の重なった掌には氷のエネルギーが集中している。

それは、セリスだけでは五十年かかろうとも生み出す事は不可能であろう。

まるで冬を圧縮したかのようなエネルギーが、氷狼の掌に集まっている。


「溶ける事無く。無限に続く零度の中、熱が生まれる事はない。死すらも凍れ。永遠なる時を刻め。」

【エターナルヴィンター】


氷のエネルギーを掌に集中させるまま、魔王の元へと氷狼は走る。


隙を生み出すまでもなく、エネルギーを魔王にぶつける事に成功させた。


魔王の体にぶつかったエネルギーは、そのまま魔王の体を包み、氷の棺となって魔王の動きの一切を停止させた。



「…どうだ?これでいいだろう?」


氷狼は、特に喜ぶ事はなくただ淡々と竜に終わりを伝えた。


だが、竜は警戒を緩めるどころか、より一層厳しい顔で棺を見つめる。



「…来るぞ」


その瞬間、魔王の掌の氷がピキピキと亀裂が入った。


「っ!嘘だろ…最強の氷魔法だぞ…!」


氷狼は、あり得ないという顔で棺を見つめる。


亀裂は少しづつ広がり、最後には魔王を解放させた。


魔王の掌には、JOKERのトランプが握られている。


「…さすが、最強種」


魔王は竜を睨み付け、同じように竜は魔王を睨み返した。



まるで、二匹の獣が命をかけた喰らい合いをするかのように…

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