第六話 口車に乗せられて
「…そういえば、あなたは何が出来るの?」
ユリナがユカイに質問する。
「僕は能力を使って戦闘しますね。マジックとか、昔ながらの玩具をアレンジしてます。」
「…能力?」
能力という聞き慣れない言葉が出てきたので質問したのだが、
「アンタ、能力すら知らないって、本当に田舎者なのね。」
さすがユリナだ。田舎者扱いを止めない。
「いいわ、私が教えてあげる。」
「能力は特定の条件を満たすことで得られる。自身の身体や相手に影響を与える事が出来る特殊な“なにか“よ。」
「なにかってどういうこと?」
「いまだにくわしく解明されていないって事ですよ。」
ユカイが答えた。
「原理は分からないけど、便利だからみんな使ってるっていうことよ。
それくらい知っておいてほしいけどね、」
自分の無知を再確認したところでさっそく作戦会議を始める。
「さぁ、どうなってヤりますか?!奇襲ですか?!正面突破ですか?!」
「ちょっと待ってよ、この三人でやるつもり?バンディードは傘下でも、一つ三十人は超える組織よ?」
「一人で十人ヤれば問題ないですよね。」
「そんなこと出来るわけないでしょ。」
「たったの十人くらい倒せるようになってくださいよ。」
「あなた、私たちをなんだと思ってるのよ。」
「少なくとも自分は出来ますので。」
「それか、ユリナさんの魔法でアジトごと木っ端微塵みしてくださいよ(笑)。」
ユカイが煽ったような口調でユリナにいった。
バンッッ!!
「そんなこと出来るわけ無いでしょ!!」
するとユリナが机を叩いて怒声をあげた。
「落ち着いてユリナ。別にユカイに悪気があるわけじゃないんだから。」
「そうね…少しムキになりすぎたわ。」
「ま、三十人くらい僕一人で倒せるので、とりあえずその盗賊団の位置を教えてください。」
「一人で行かせるなんて、絶対に無理よ。」
「だいたい、なんであなたはそんなにバンディードを倒したいのよ。」
「お金稼ぎです。」
「だったらここ以外の依頼を受けた方がいいんじゃないの?」
「わかってないですね。あの盗賊団は民家や行商人から金品を奪うのが仕事ですよ?そこのアジトにはそれはもうたくさんのお宝があるに決まってるじゃないですか。」
「そうかもしれないけど、そこにあった物だって持ち主に返すのがギルドの規則でしょ?」
「それでも、あそこはヒトを殺すことを躊躇していないので故人の財産が多いですよ。」
「なのでその財産は自分達の物になるわけです。」
「…まあ、そうかもしれないけど、少し心が痛むよ…。」
「ハヤトさん。そんなことではこの世界は生きていけませんよ?」
「ということで、山分けしたときの貰えるお宝が少なくなるので3人で良いでしょう。」
そうして、ユカイにのせられて結局3人でバンディードを倒すことになった。