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ディセンデントプルーフ  作者: 流川 氷陽
魔界からの脱出
58/68

味方か、敵か

「おい、何をやってる。」


ユカイが、魔人達に向かって静かに言った。


「おお!久しいな!」

魔人が軽々しく声をかける。


「たったの30年だろ?」


「っ!うるさい!おまえぇ!」

なんと捉えたのか、マルチは今にも吐き出しそうな声をあげた。


そしてマルチはハヤトの体を放し、ユカイの方へ向かっていった。


「てめぇ…何してんだ…」

マルチがユカイの胸ぐらを掴む

だが、ユカイは平然としている


「仲間……を救っただけだ」


「仲間?殺害対象に情なんか抱きやがって…」


「ユカイ……」

ハヤトが静かに声をだす


「おまえは黙ってろ!!」

マルチはハヤトの事を完全に敵対視しているらしい

先ほどとは真逆のようだ


ユカイも、少し人が変わっているように見える


「落ち着け、二人共」

「仲間内で何を喧嘩している」


魔人が、二人の方へ歩いていく。

ハヤトは、恐怖に包み込まれ、頭が回ってくれないようだ。


「魔王……」


「久しぶりに帰ってきてくれて嬉しいぞ」

「…だがな。なぜこいつを生かした?」


「……」


「私は、殺せ。と命じたはずだ」


魔人の威圧が高まる。

数メートルは離れていても、目の前から潰されるような恐怖が伝わる。




「……能力(スキル)【■■】」


ユカイが、何かを発動した。

何を発動したかは分からない。


だが、確実に何かを発動し、それは魔人に明らかな影響を与えていた。


魔人は少しづつ、体の力が抜けていく。


そして、最後には生気すら感じられないような、…生物らしさが消え去っていた。


「……!?」


マルチが、その様子を見て困惑している。


「ま…魔王……さま?」


ユカイが、マルチの方へ歩いていく。


「お…おまえ…」

「おまえは…何者なんだ…?」


「……ただの魔人だよ」

「嘘つきの、な」


ユカイが、マルチを見つめる。


「ま、待て!やめ…」


「【■■】」


…マルチも魔人と同じように、少しづつ力が抜け、生物らしさが消え去った。



「……」


「ユカ…イ?」


「それじゃあね、勇者サン」


そしてユカイは、ハヤトに能力を使った。




意識が沈み、深くへ落ちていく。


目を開く


だが、何も見えない


耳を澄ます


何も聞こえない


鼻を嗅ぐ


何も感じない


とても深く、静かで、何もない


どこでもない場所だ


…ユカイ


君は

いったい…




─ユカイは、トランプのカードを持っている。


周囲にはなにもない。


城の一室で、一人、トランプを混ぜている。


その様子は、余裕

それとも、不安?







──味方か、敵か

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