味方か、敵か
「おい、何をやってる。」
ユカイが、魔人達に向かって静かに言った。
「おお!久しいな!」
魔人が軽々しく声をかける。
「たったの30年だろ?」
「っ!うるさい!おまえぇ!」
なんと捉えたのか、マルチは今にも吐き出しそうな声をあげた。
そしてマルチはハヤトの体を放し、ユカイの方へ向かっていった。
「てめぇ…何してんだ…」
マルチがユカイの胸ぐらを掴む
だが、ユカイは平然としている
「仲間……を救っただけだ」
「仲間?殺害対象に情なんか抱きやがって…」
「ユカイ……」
ハヤトが静かに声をだす
「おまえは黙ってろ!!」
マルチはハヤトの事を完全に敵対視しているらしい
先ほどとは真逆のようだ
ユカイも、少し人が変わっているように見える
「落ち着け、二人共」
「仲間内で何を喧嘩している」
魔人が、二人の方へ歩いていく。
ハヤトは、恐怖に包み込まれ、頭が回ってくれないようだ。
「魔王……」
「久しぶりに帰ってきてくれて嬉しいぞ」
「…だがな。なぜこいつを生かした?」
「……」
「私は、殺せ。と命じたはずだ」
魔人の威圧が高まる。
数メートルは離れていても、目の前から潰されるような恐怖が伝わる。
「……能力【■■】」
ユカイが、何かを発動した。
何を発動したかは分からない。
だが、確実に何かを発動し、それは魔人に明らかな影響を与えていた。
魔人は少しづつ、体の力が抜けていく。
そして、最後には生気すら感じられないような、…生物らしさが消え去っていた。
「……!?」
マルチが、その様子を見て困惑している。
「ま…魔王……さま?」
ユカイが、マルチの方へ歩いていく。
「お…おまえ…」
「おまえは…何者なんだ…?」
「……ただの魔人だよ」
「嘘つきの、な」
ユカイが、マルチを見つめる。
「ま、待て!やめ…」
「【■■】」
…マルチも魔人と同じように、少しづつ力が抜け、生物らしさが消え去った。
「……」
「ユカ…イ?」
「それじゃあね、勇者サン」
そしてユカイは、ハヤトに能力を使った。
意識が沈み、深くへ落ちていく。
目を開く
だが、何も見えない
耳を澄ます
何も聞こえない
鼻を嗅ぐ
何も感じない
とても深く、静かで、何もない
どこでもない場所だ
…ユカイ
君は
いったい…
─ユカイは、トランプのカードを持っている。
周囲にはなにもない。
城の一室で、一人、トランプを混ぜている。
その様子は、余裕
それとも、不安?
──味方か、敵か




