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ディセンデントプルーフ  作者: 流川 氷陽
魔界からの脱出
55/68

元の世界には城にて

「ついたっと」

マルチが森の中で足を止めた。


「え?」

ハヤトはじんじんと痛む腕を振りながらマルチをみつめる。

そこで、ハヤトは

「ここって、なんなの?」

とマルチに尋ねた。

だが、マルチは首を傾げるだけで何も答えない。


「…そんなことより、少し待ってて!」

そう言うと、マルチは一人で奥に歩いていった。

「えっ……」

置いていかれたハヤトはただ呆然と立ち尽くしている。


数分後、ハヤトの目の前が歪み始めた。

歪みが少しづつおさまっていくと、ただの木の集合が小屋へと変化していった。

「な、なにこれ…」


「や、驚いた?」

唖然としていたハヤトに、マルチが後ろから声をかけた。


「マルチ、これは?」

「僕の能力(スキル)でね、物を隠しておけるんだ。」

「へぇー?」

「さ、案内するよ。」

そういって、マルチは再びハヤトの腕を強くつかみ、小屋の中に引っ張っていった。


小屋の中は、中央に小さな机と椅子があり、藁で作った布団と木製の棚があるだけで、とても質素な内装だった。

マルチの衣装とは全く対称的に見える。


「えっと…」

「椅子にでも座ってゆっくりしていてよ。」

そうしてマルチは棚を弄り始めた。


その間、ハヤトが小屋を見渡したが、ところどころに土のようなものが付着しており、部屋全体が少し湿っているように見える。

雨で濡れた後などではなく、まるで壁そのものからに水分がしみ出ているような…。


そんなことを考えていると、マルチが干し肉のようなものと、お茶を持ってきた。

「こんなものしかないけど、よければ。」

「あ、ありがとう…?」


マルチも椅子に腰をおろし、干し肉をかじった。

「マルチ、ここってなんなの?」

「ん?ま、そのはなしは置いておいて、君の目的は帰ることだろ?」

「え?」

あからさまに話をそらされたが、マルチはそのまま話を続ける。

「元の世界に帰るには、近くの城に行く必要があるんだ。」

「ただ、城の周りには危ない生き物が多いから、僕が案内してあげるよ。」

「これまでも何人も帰してきたからね。」


ハヤトは、マルチの言葉に違和感を多く感じたが、一人でどうにかなる状況ではない。と高をくくり、今の話を追及することにした。

「城、って?」

「城は城だよ。想像通りの巨大な城だよ?」

「そこに、扉があってね、そこが元の世界に繋がっているんだ。」


「あと、生き物ってどんななの?」

「狂暴で、動くものを見境なく襲う生物だよ。」

「知らないとすぐに襲われて殺されちゃうからね。」


そこから、少し気になることをいくつか聞いた。そして、最後に

「…仲間がいるんだけど、一緒に探してくれない?」

「…仲間か。とりあえず、君を帰してからみんなも帰すよ。」

「え?でも、生き物……」

「さぁ、行こう!」

話を遮られ、その隙にハヤトはマルチに腕を捕まれ、小屋の外に引っ張り出された。

そして、先ほどとは比べ物にならない速度で走り出していた。

ハヤトが一切ついていけない速度で…

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