魔界での出会い
「………ここは?」
ハヤトは、目の前の黒い木を目にした。木の形は元の世界と変わりないがどこか禍々しい雰囲気を感じる。空も墨汁が流れたように黒く、雲や太陽などは見当たらない。
だが、光源が無いにもかかわらず周りの風景はくっきりと見える。まるで、空気が光っているようだ。
そんななか、ハヤトは周りを眺めてその場に立ち尽くしている。
その様子を、一人の男が眺めていた。
男は、ゆっくりとハヤトに近づくと、肩をトントンと叩いた。
「おーい、そこの君」
ハヤトは、急に話しかけられたことに驚きながら、男の方向へ振り向いた。
そこには、不思議な服装を着た男が立っていた。体の所々に顔のような物をつけ、けばけばしいが、服の色は三色で統一されている。
「どうしてこんなところにいるんだい?」
男は、馴れ馴れしく話を続ける。
「えっと……」
「分からないん…です。」
「分からない?」
「…そうか、なら僕についておいで。家に案内してあげよう。」
そう言って、男はハヤトの手を引き、ハヤトを引っ張って行く。
「あの!あなたは誰なんですか?」
ハヤトの力強く握られた腕が、相手の手を離すことが出来ずになっており、ハヤトはそこも踏まえて質問をした。
「僕?僕はここの世界で暮らしているただの変な奴だよ。」
「そうじゃなくて…」
「君は放流者だろ?僕が助けてあげるよ。」
「でも、少しはこの世界で過ごしてもらうことになるからね。」
「それよりも、あなたのことですよ!」
「あ、そうか。まだ名前を名乗ってなかったね。僕の名前はマルチ。君は?」
「あ、えっと、ハヤトです。」
「そうか、ハヤト君、短い間だけど、よろしくね!」
マルチと名乗った男は、ハヤトを引っ張りながらハヤトの方を向いて、ニコリと笑った。
ハヤトはハラハラしながらも、そのままマルチに引っ張られていく。
一方、ユリナ達は。
ユリナは少し歩くと、アカリと一緒にいるセリスを見つけた。
「アカリ!それとセリスも!」
「ユリナ!……か…」
「なによ。文句でもあるの?」
「ハヤト君はいないの?」
「知らないわよ。いつの間にかこんなところにいたんだから。」
「ユカイもいない。二人は迷子か。」
「はぁ、なんなのよここ。」
「とりあえずハヤト君とユカイを探さない?」
「そうね、もし危険な目にあっていたらまずいものね。」
そうして、三人は右も左も分からない森の中を歩き始めた。
そんな中、ユカイは……
「っ!ここ、魔界か?」
「クソッ、あいつらの仕業か…」
ユカイは、そうして見覚えのある道を走っていった。その先にある、城を目指して…




