第四十六話 竜と盗賊の戦い
「…おまえら、何者だ?」
ハヤト達を見てラドロが言った。
「そっちこそ。」
ユリナが言った。
「ふふ、まずは自分から。が礼儀か。」
「俺は盗賊団バンディードのリーダー、ラドロだ。」
自身の肩書きを誇るように声を高らかに言う。
「…あいつが。」
「それで?おまえらは?」
「…ユリナ。」
ユリナが答える。
「そうか、ユリナ。ならば、隣の女は。」
「……アカリ。」
「ふむ…ではアカリ、後ろの男は」
「え?…ハヤト君?」
「そうか、では、あいつはユカイだな。」
「えっ!?なんでバレ…」
「君達の事は双司から聞いていたからね。」
「双司?…」
まさか!と思ったが、双司はどの程度の情報を伝えているかにより確定するので、まだなにも言えない…。
「え…双司…さん?」
「まあ、そんなことはいい。」
「ウリン、サリン、さっさと片づけろ。」
「はっ、はい!」
ラドロの一言で男、ウリンと女、サリンが体を起こし、それぞれユカイとアカリに向かっていく。
「くたばれえ!」
だが、二人とも厄介だった武器を捨て、生身でこちらに来たため、二人に一瞬でやられた。
「うわぁ!…」
「おまえら、何してる?さっさと二人でやれ。」
「はい!」
そう言うと、二人はお互いの方に向かって走り出した。
「な、なんですか?」
二人はそれぞれの背を合わせ、武器を拾い、構えている。
「おら!てめぇらなんざ、怖くねえ!さっさと来やがれ!」
そう言って武器を振り回す姿は虫のようにも見えてしまう。
「くっ…」
「ハヤト!ハヤトはラドロに行って!ここは、私たちが食い止める!」
ハヤトは少し悩んだが、すぐに決断した。
「分かった。任せる!」
そう言い、ハヤトはラドロに向かって走り出した。
「なんだ、ガキ、戦におまえらみたいなガキはいらないんだ。」
そう言い、ラドロはハヤトに向かって剣を振った。
ハヤトは剣を前に立て、攻撃を受けた。
「ほ、この程度はいけるか。」
そう言ってラドロは他の武器を取り出した。
「これで相手をしてやる。」
そういって取り出したのはチャクラムと、剣と同じくらいの大きさのチャクラムだ。
「こいよ。」
挑発に乗り、隙を伺う。だが、
「どうした?その程度か?」
チャクラムを投げてきた。そして、それは頭、胸、足を的確に投げてきた。
「あぐっ」
避けたつもりが、耳と左腕、太ももが少し切れてしまった。
「ほらほらぁ!」
ラドロが次々と投げてくる。必死で躱すが、やはり、少しずつ体が切れていく。
「くっ…おおおおおお!」
ハヤトは、必死で剣を振った。そして、斬撃がラドロに当たったが、
「…いてえな」
効果は少なかった。
「くそっ…どうすれば…」
「どうした?我が力を、継ぐものよ…」
「はっ…お前は…?!」
「ここまで一方的とは、我が力を生かせ。」
「ど、どうすればいいの!」
「…しょうが無い。我に変われ。」
「は?…」
すると、ハヤトの意識は体の底へ沈んでいった…
「くっ、んー!」
「久々の人間の体は良いな。」
「は?お前、誰だ?」
「我か?名乗る名は持ち合わせていない。」
「…精神が、入れ替わりやがった。」
ラドロは気づいたが、ラドロには対処出来ないと分かっている。
「しても、この体、ボロボロだな…。はっ!」
そうして手を下にして、魔法を使った。
すると、体中の傷がみるみる塞がっていった。
「ちっ、お前は、誰なんだ!」
「…しょうが無い、一つ教えてやろう。我は人ではない。そして、普通の生物ではない。」
「普通の生物?」
「貴様ら人の言葉を使うなら、伝説の生物と言われる存在じゃ。」
「な…。」
伝説の生物は、倒すと【血をつぐもの】になる、普通とは違う生き物だ。普通はあり得ない力を有しており、魔法や武器を使いこなしたり、硬度がダイヤモンドを超えるなど、様々だ。中でも竜は、現世で一番と言われるほどで、魂を操作することもできる。
「はぁ、おぬし、本気でかかってこい。」
「ちっ!、しょせん、体はガキだろう!」
ラドロがチャクラムを使い、投げながら大きい物を使って突撃する。
「体は変わらん、使い方じゃ。」
ハヤト、竜は体を動かし、相手の攻撃を捌ききる。
「は?クソっ!」
ラドロが武器を振り回したが、竜は、剣を使い、攻撃を全て流した。
「はあぁぁぁ!」
振り返り、武器を振るったが、やはり流された。
「へっ!」
ラドロは、後ろから銃を取り出し、五発ほど発砲する。だが、竜は、
「【龍の剣技】【リントヴルム】」
剣をしなやかに力強く、全ての弾を叩き、流し、切った。
「は?」
「はあ、期待外れじゃ。」
【龍の剣技】【アンフィスバエナ】
右から竜が剣を使い、ラドロを切った。すると、ラドロの左腹から血が噴き出る。だが、ラドロは右腹を抑え、足を必死に動かし、その場から離れていった。
「ふぅ…」
「ハヤト…?」
「なんじゃ?貴様は」
「ハヤト…では無いな…」
「ふむ、こいつの名か…」
「貴様は?」
「は?…俺は…双司だが…」
「そうか、双司よ…また会おうぞ…」
「は?」
ハヤトは、沈んでいた意識が元に戻った。
「え?なにが…?起き…?」
「ハヤト、あやつは片付けておいた。」
「え?ああ…うん」
「ハヤト!大丈夫か?」
「あ、…双司?」
「ああ、俺だ。」
「ふぅふぅ…だ、大丈夫…」
「そうか…」
そうして、寝転ぶハヤトの面倒を見る双司だが、その後ろでは苦しい戦いがあった…そして、セリスのほうでも終わりが近づいていた。




