第四十三話 魔法の女との戦い
「さあ、いよいよだね。」
集合したメンバーを見ながらハヤトが言う。
「それで?作戦の内容は少し聞かされたが、俺達は周りの雑魚を片付ければ良いんだよな?」
ギルドの職員を二十人程連れてきたゴラが再確認をしている。
ユリナが、そうよ。と答えると、ゴラが、連れてきた職員に簡潔に説明をしていた。
セリスの方にも何人かいるが、そちらには対象の体の一部分を共有する。という能力を持つ人間がおり、それを使って今の会話も共有できている。
「ハヤト君、先に私達が出るんだよね。」
アカリが念のため確認してくる。
「…だと思うけど。」
すると、今朝行った教会騎士団の集合場所から大きな光が見えた。
「始まったわね…」
セリス達が待っていると、前からレッスと、年齢不詳の、だが、決して若くは無い女、そしてその後ろから大勢のバンディードのメンバーが歩いてきた。
「来たぞ!」
セリスの声に周りのギルド職員が反応する。
「…多くないか?」
「安心しろ、大体雑魚だ。」
「…そうか。」
相手の女がセリス達に気づくと、相手の女が持っている杖を掲げた。
「天よ…光を…」
すると、目を覆っても感じるほどの眩しさが全身を包んだ。
「なんだっ!」
周りのギルド職員は眩しさで地面に倒れ込む所を、セリスは目に頼らずに勘で杖を振る。
その瞬間、相手の女が凍りついた。
「なっ…」
女の魔法を防ぐために、事前に目を閉じていたメンバー達が目を開くと、そこには凍り付いた女と薄く片目を開けるセリス。そして、自分達に剣を向けるレッスが映った。
「レ、レッスさん?」
「カ、カヌイさんも…?」
「ほう、この女はカヌイと言うのか。」
動揺しているメンバーにセリスが言い放つ。
「長い間魔法を鍛えたというのにこの程度とは…」
「て、てめえ!」
メンバーの一人がセリスに斧を振り下ろす。だが、セリスは避けることもせず、杖を振った。
すると相手の振り下ろした腕が一瞬にして凍り付いた。
「ひ、ひい!」
驚きと恐怖で後ろに倒れこんだメンバーにセリスは、
「お前もあの女のようになりたいか?」
言い放った。
「ちっ、クソォ!」
後ろに逃げるメンバーをレッスが切った。
「がっ…ぁ…」
「やはり、双司さんからもらい受けたこの、刀?使いやすくて良いですね。」
そう言ってレッスが剣を眺める。
「な、なんで、レッスさん…!」
「なんで…?」
「…それを話す義理はございません。」
そういってレッスは、メンバー達のなかに突っ込んでいった。
「焦るなよ、レッス。」
「わかっております。」
そうして、セリスはギルド職員の方を確認すると、凍らせたはずの女が、まだ視力が回復していないギルド職員の一人に杖をかざしていた。
「なっ!…」
「これも…裁き…」
そう言った女の杖の先には、電気を帯びた球体のようなものがあった。
「間に合うか…!?」
セリスが杖を振る。すると氷の道が伸び、球体とギルド職員の間に入り分断した。
「…よし!」
その瞬間、球体が氷の道にぶつかり女の方へ放電した。
「な…に…?」
「よし!」
電気をまともに食らった女はその場に倒れた。
「これで…」
「な、なんだ?」
ギルド職員が回復してきたようだ。
「おい!お前ら!遅いぞ!」
「え?」
「さっさとレッスに加勢しろ!」
「わ、分かった!。」
意識はしっかりしているため、理解したギルド職員が順にレッスに加勢しにいく。
「これで向こうは大丈夫か…」
「問題は…」
振り返ったセリスの目の前にはやはり、起き上がっていた女がいた。
「裁きを…」
「あ?なにがいいたいのかはっきりしろ。」
「天の…裁きを…!」
返答に応じず、杖を構える女。
「…こいよ。」
杖の先から炎が生まれ、セリスに飛んでいく。
「なあ、カヌイ、お前の本気を出せよ。」
セリスが杖を振り、氷を生み、炎へ飛ばした。そうして二つは相殺される。
「ぐっ…ぐぅ…ぎぃ…」
歯ぎしりのような苦しい音を出し、悔しそうにするカヌイ。
「…終わらせよう。」
そう言い、杖を構えるセリス。
それを見た女は杖を天にかざし始めた。
「さ、さば、裁き、てん、て、さば、てん、裁きぃぃィィィィ!!」
発狂のしたかのように声を出した女の体がだんだんと変化していく。
「っ…!、ありゃあ、魔法だけじゃねえ、能力の一つだっ!」
女の体が外骨格のようなものに包まれ、一部くりぬかれた穴から目を開く。手のひらが変化し、腕の先が杖へと作り変えられる。背中からは羽が生え、体中が発光している。
「バケモンが…」
怪物のようになったカヌイに杖を向けるセリス。
後ろで行われている蹂躙とは裏腹にとてつもない戦いが始まろうとしていた。




