第四十話 ノートリアム到着
「おーい!着いたぞー、起きろー!」
クルナの声で目が覚める。
寝起きの頭を動かし、目の前を見上げる。
すると、そこには住宅街が広がっており、家族や友人との笑顔で埋もれた人々がいた。
そして、奥にはとても大きな塔が建っていた。
「ん…着いたの?」
「速かったですね。」
ユリナとユカイも起きてきた。だが、アカリとフリスはまだまだ夢の中だ。
「アカリ、フリス、着いたわよ。」
ユリナが二人を起こすため、二人の体をゆする。すると、フリスは起きてきて、
「んんー…」
と、寝起きの伸びをする。
アカリはいまだに、すやすやと眠っている。
「アカリ、起きて」
ハヤトが声をかけると、
「おはよう、ハヤト君。」
話しかけた途端、即座に体を起こし、寝起きとは思えないほど綺麗に挨拶をしてきた。
「お…おはよう…」
少し戸惑いつつもおはようと挨拶をする。
昔、母やノゾミと暮らしていたとき、「毎朝のおはようは忘れるな!」と教えられてきたので、体に染みついている。
…そんなことはどうでもいい。
「ここが、ノートリアムじゃ!」
クルナが大声で言った。
「へぇー、ここが…」
「すっごい笑顔ね…嫌なこと何一つ無いみたい…」
ユリナが反応した。
「ま、そう見えるだけじゃがな。」
「え?」
「詳しいことは詳しい奴に聞け。」
「わしはここで少し買い物をして戻る。だから、ここで別れじゃ。」
「…そっか、ありがとう。」
「礼はいい。じゃあの。」
そうして、クルナと別れたのもつかの間、目の前にナポレティスが落ちてきた。いや、降ってきた。
「やあ、竜の血をつぐ勇者とその仲間達よ。」
「…え?ナポレティスさん?」
「だれ?ハヤト」
「この前の大会で出会った聖ガブリエル教会騎士団の騎士団長さん。」
「あー…あのとき言ってた人ね。」
「おや?もっと驚いても良いと思うのだが?」
「特に騎士団に興味は無いので。」
「同じく。」
「同じく。」
「…君の仲間は個性的だね、竜の血をつぐ勇者よ。」
「あの…その呼び方やめてくれませんか?」
「ん?ああ、それならハヤト君。で良いかな?」
「まあ、それなら…」
「よし。呼び方も決まった所で、君たちは何をしにここへ来たのかな?」
「えっと…」
「言っていいの?」
小声でユリナに耳打ちする。
「良いんじゃない?騎士団らしいし、」
じゃあ、と安心して言う。
「僕たちは、盗賊団バンディードを倒すために来ました。」
「ほう?バンディードか。」
「何故倒しに来たんだい?」
「えっと…ユリナの居候先のホウチャクさんという方がいるのですが、その方の仇をとるためです。」
「…それだけか?」
「…」
「はい。」
「なるほど…たった一人の故人のために組織を潰すとは…中々面白いじゃないか。」
「ちょっと待ってくれる?」
「どうした?ハヤトの仲間の魔法使。」
「バンディードの次の目的は貴方たち聖教会なの。だから、それを防ぐために…」
「なるほど。ならば、普通は対策をしなければいけないのだが…」
「今回はお前達に任せよう。」
「え?」
「聖教会を襲うのを、君たちは君たちだけで解決しようとしたのだろう?ならば、それほどの自信があるのだと考える。」
「はあ…」
「だから、任せる!」
「いやいや、聞いたなら手伝ってくれても…」
「こう見えて騎士団も忙しいのだ。色々としなければいけないことがたまっている。だが、安心しろ!君たちがやられたら私がバンディードを倒す!」
「なら、最初から手伝えよ!」
「それじゃあ、そういうことで、終わったら知らせてくれ。」
「また会おう!」
「とう!」
そう言ってナポレティスは空高く飛んでいった。
「なんて自由人…」
「…これからどうする?」
「どうするって…まぁ、ギルドにいって募集してみる?」
「あと九日もあるし、もしかしたら誰か来るかも。」
「じゃあ、一応行ってみるか…」
そうして、ノートリアムのギルドに向かう五人。
バンディード襲撃まで、あと九日




