第三十一話 竜の力、勇者の力、そして魔王
「自分は…遠慮します!」
「っ…!」
「そうか、それなら徹底的に虐めさせてもらう!」
「それでは、スター…」
「マッセナぁ!」
いきなり若い男の声が響いた。それに合わせて、マッセナの体が震え始める。
「な、なんでしょう、だ、だだ、団長、」
「お前、なにをしている。サボってるんじゃない!」
「す、すみません!で、でも、こいつ、噂の田舎者ですよ!」
「…ほう、本当か?」
「は、はい!」
「まあ、どちらにしても違反を犯したお前は罰として、今すぐ教会に戻り、バンディードの情報を共有してこい。俺は一週間で戻る!」
「はい!審判!降参する!じゃあな!」
「え?ちょっ…」
マッセナが素早く、闘技場の外へ向かっていった。
そして、団長と言われた男が目の前に降りてきた。
「うちの奴がすまなかった。」
「いえいえ…」
「私の名前はナポレティス。聖ガブリエル教会騎士団騎士団長をしている。ちなみに辛いものが好物だ。」
「はあ…」
「あいつはマッセナ、上位騎士をしている。まあ、今のを見て分かると思うがかなりの問題児でな…」
「そうなんですか」
「そんなことはどうでも良いのだがな、お前、【竜の血をつぐもの】だろう?」
「…そう?らしいです。」
「それと、お前には【勇者の証】がついているのだ。」
「【勇者の証】?」
「ああ、すまない。すこし君のことを調べさせてもらったのだ。」
「君の持っている力や、君の父についてもな。」
「えっ、父を知っているんですか?!」
「ああ。今はどこにいるのかは分からないが…」
「そう、ですか。」
「ところで、君は疑問に思わないのかい?竜の力や勇者の力について…」
「気にはなりますけど…」
「ならば説明してやろう。」
そうして言われたことをまとめると、まず、自分は【竜の血をつぐもの】と【勇者の証】と言うものを持っており、竜の力を使え、努力による成長が早くなる。という力と、人ならざるものを倒す力が上がるという特別な能力らしい。そして、この力は永遠に消える事は無く、能力よりも性能が高いといわれている。
「それを産まれたときから持っていたんだ。凄いよ。」
「で?何のようですか?」
「冷たいねえ、理由はただの勧誘だよ。」
「…はい?」
「君、聖騎士にならないかい?」
「遠慮します。」
「早!」
「自分には仲間がいるので。」
「ほう…だが、監視はつけさせてもらうよ。君の存在はかなり危険なんだ。」
「危険?」
「君は魔王に狙われる。」
「はあ?」
「さっきも言った通り、君には竜の力と勇者の力があるんだ。昔、魔王を追い払ったと言われた男も産まれたときに竜と勇者の力を持っていたと言われている。」
「それって…」
「そう。魔王が君を倒すため動く可能性が高い。」
「なら、なんで十年も音沙汰が無いんですか?」
「恐らくだが、君を倒すため戦力を増やしているのだろう。」
「…」
「大丈夫だ。私がいれば問題ない。」
「…守られるのはいやです。」
「なに?」
「自分も戦わせて下さい!」
「落ち着け。確かに君はかなり強い。だが、魔王はそんなの比じゃないくらい強いんだ。」
「でも…」
「…まあ、今はまだ早い。やるべきことをやったら、聖教会へきてくれ。そのときに全て決めてもらう。」
「…はい。」
「それじゃあ。」
ナポレティスが高く飛んだ。そのまま飛び去ってしまった。
「…魔王」
その後、どうなったかはあまり覚えていない。
確かアカリと帰ってユリナたちと合流して、そのまま寝てしまった気がする。賞金は…アカリが受け取ってくれたと思う。
そして、ノートリアムへ向かう日となった…




