第二十四話 助言とアカリの過去
山を見つけるため探索を続けていたユリナ達の前に、一人の男性が落ちてきた
「どうもこんにちは。」
「私、レッスというものです。」
「…え?いきなりなんですか?」
「あなた方に忠告に参りました。」
「あなた方はバンディードを潰すために頑張っていらっしゃるのですよね。」
「それがなにか?」
「バンディードは、次のターゲットに【聖ガブリエル教会】を選びました。」
「決行はちょうど一ヶ月後となっております。」
「何の話ですか?」
「バンディードを潰すための情報…でしょうか。」
「何故私たちに?」
「あなた方の仲間の一人が少し興味深い方ですのでその方のお手伝いをしようかと。」
「あと、最後に忠告です。ラドロは人の命を奪ってとある研究をしています。くれぐれも、お気を付けて。」
「ちょっと待って、貴方は何者なの?」
「バンディードを嫌う者、とでも言っておきましょう。では、また。」
そう言い残し、レッスはユリナ達の目の前から姿を消した。
「…なんだったの?あいつ。」
「ユリナ、知りあいか?」
「いいえ、全然知らない人。」
「…そうか。」
「でも、あいつの言うことが本当なら少し困るわね、」
「なんでだ?」
「少なくとも、聖教会はバンディードに襲われて負ける。みたいなことはないだろうけど、それでも無対策だとかなりの被害を受けるだろうし、なにより、私たちの対策の時間が足りないのよ。」
「一ヶ月あるって言ってたが?」
「そんな一ヶ月でノートリアムまで行って、聖教会に対策を要求して、ギルドにも連絡をいれて、なんてこと、時間が足りないわよ。」
「…そっか、聖教会もギルドも忙しいから難しいのか。」
「そう、私たちで食い止めることも候補にあるけど、実力差がありすぎるから、少し難しいわ…」
「…とりあえずハヤト達と合流して作戦立てましょうか。」
「そうね、山の件は後回しね。」
そうして、ユリナ達は来た道を引き返して、ウェステリスの合流地点で待機することにした。
ハヤト達三人は…
「アカリ…なの…?」
アカリの、黒く染まり、怨恨に包まれた目を見てハヤトが言った。
「…何を言ってるの?私だよ?アカリだよ?」
「ハヤトくん大丈夫?魔物にやられちゃった?」
…元のアカリに戻ったのだが、さっきの目を忘れることが出来そうに無かった。光を忘れ、生物を忘れたようなあの目…。
「アカリさん、大丈夫ですか…?」
「…うん、大丈夫だよ。」
「アカリ、なんで殺したの」
「え?魔物を殺すのに理由がいるの?」
「助けを求めていたじゃん…」
「ハヤトくんは魔物の恐ろしさをしらないんだよ。」
「あんなやつら、生きている価値は無い。」
「…どうしてそこまで嫌ってるの」
「…それ聞いちゃうんだ。」
「あっ、えっと…」
「いいよ、話してあげる。」
「私ね、村に生まれたの。
小さな村だったけど、親も友達も村のみんなも、みんな優しくて楽しかった。けどね。
いまから十年前、魔物が村に攻めてきたの。魔物は容赦なく村のみんなや友達、親を殺していった。そこら中が燃えていて、お母さんなんて私の目の前で頭を潰されて死んじゃったんだよ。それで私は何故か、魔物に連れて行かれそうになったんだけど、そのときにユキナリ師匠に助けて貰ったんだ。
それで今の私がいるんだよ。」
…アカリの壮絶な過去の話を聞いて理解した。この人は魔物に対して物凄い憎悪を持っているのだ。
それでいま、魔物だと理解した途端に攻撃をぶつけにいったのだ…
「…それで殺したのか」
「ごめんね、私はこれを治すことが出来ないと思うから…」
「全然いいよ、大丈夫。」
「…ハヤトさん、とりあえず山探しを続けませんか?」
「あ、そうだね…」
「うん。行こう、ハヤトくん」
そうして五分もしないころ、目の前に鼓動している大きな物が見えた。
「…あれって」
「ええ、あれがフリスさんの言ってた心臓の山でしょう…」
そこには二メートルはある、心臓が無造作につまれた山があった。
「あれ?後ろになにか…」
そういってアカリが山の後ろへと回り込んだ。
「ハヤトッ!!」
アカリの大きな声が聞こえた。すぐに後ろに行くと、そこには二人の男と対面するアカリがいた。
男の内、一人は分からなかったが、もう一人の顔は見覚えがあった。
そう、盗賊団に忍び込んだハヤト達が一瞬にしてやられた男。
双司が立っていたのだ…




