第二十三話 謎だらけの森
ハヤトら五人は都市を出たあと、別れて行動を開始した。
「ねえ、どうやって探すつもりなの?」
都市を出る前から口数が少ないユカイとハヤトに対してアカリが話しかける。
「勘?」
ハヤトが答える
「勘って…」
「大丈夫だよ。何とかなるって」
「別に今日見つけないといけない訳じゃないんだし。」
「そうですね…楽に行きましょう。」
そうして数十分歩いていたとき、
「ヂャオォォォ」
突然、動物とは言い難い、黒い毛のようなもので覆われたスライムのような生物が飛び出してきた。
「えっ?!」
スライムのような生物は体を震わせこちらに近づいてくる。
「敵…なのか?」
「…わかりません」
「警戒は強めておいたほうがいいよね」
生物は変わらず近づいてくる
「……」
生物はハヤトの目の前で止まって体を蠢かせ始めた。
「なんだ?」
「警戒してください…」
生物は動きを止めた。
止めた姿はまるで光が無い人の様だった。
「グヂュ、タスケ…」
「え?」
「タス…ケテ゛ェ゛ェ゛」
「なんだ?」
生物は言葉を発した。確かに、助けを求めるように。
「ダメです、ハヤトさん!」
「あれはただの生物じゃない!」
「恐らく【魔物】です!」
【魔物】。人に害をなす存在。四十年前突然現れ破壊の限りを尽くした存在。だが、十年前突然現世から姿を消した。人を襲う理由や姿を消した理由などは今も明らかになっていない。
「ラドロが生み出したって言ってましたよね…」
「遠慮なんてなしです。さっさと倒してしまいましょう!」
「え?でも…」
言い終わる前にアカリが走り出していた。
「助けを…」
アカリが、拳を生物の体へ叩き込んだ。
すると生物の体がはじけ飛び、赤い液体が宙を舞ってハヤトやアカリに降り注ぐ。
「え、?なん…て…」
「なんで、殺した…?」
「…ハヤトくん、魔物の言葉に惑わされたらダメだよ。」
「魔物はとっても怖ろしい存在なんだから。」
そう言いながら振り返ったアカリの目は、真っ黒で恐ろしい、生物の目を忘れたように見え、息を呑むほどの強い怨恨に包まれていた…
一方でユリナはフリスと共に森の中をさまよっていた。
「ねぇフリス、あなたここでその心臓の山を見つけてから二週間、何してたの?」
「…ずっと逃げてた。」
「逃げるって前も言ってたけどなんで逃げてたの?」
「…分からない。誰から逃げてたのか、何処から逃げていたのか、何も。」
「何も、ねぇ。」
「あと、山は何度も見てて、森の中をグルグル回っていたんだと思う。」
「まぁ、パニックになっていたらそうなるでしょうね。」
「あ、後、あなた魔法使えたりしない?」
「…えっ?!」
「な、なんでですか?」
「あなたやっぱりセリスに似てるから本人だったりしないかなって」
「………使えま、す」
「えっ?本当に?」
「…はい。」
「じゃあ、魔法なにが使えるの?」
「…氷です」
「…えっ?」
「氷…?」
…氷の魔法はセリスが得意な魔法だった。まさか、そこすら共通しているなんて…
「ふ、ふーん。氷なのね。じゃあ戦闘にも応用出来るから良いじゃない。」
「…頼りにするわよ。フリス。」
「え?…はい。」
こうしてユリナとフリスの探索は続いた。のだが、二人に近づく黒い影にまだ二人は気づいていなかった。




