第二十一話 悩みのフリスと聞き込み②
ハヤトはアカリと共に工場地帯で話を集めていた。
「あっ、すいませーん。」
ハヤトがすれ違った作業着の男に声をかける。
「バンディードについて教えて欲しいんですけど、今お時間ありますか?」
「なんだ?お前ら。バンディードについて話を聞きたいのか?」
「はい。少し用がありまして。」
「やめときな。あいつらに目を付けられたら終わるぞ。」
「実際、数週間前に俺の知り合いもやられた。無残にな…」
「それは、、お気の毒です…。でも、やらなければいけないんです。」
「へぇ、まあ俺にはお前らがどうなろうと関係無いしな。」
「いいだろう。知ってる範囲で教えてやる。」
「ありがとうございます!」
ハヤトとアカリが笑顔に返事をした。
「バンディードっていえば、最近色々噂がたっててな。」
「まずは本拠点がここウェステリスにあるって言われてる。」
「その理由は?」
「ウェステリスってのは他の三つの都市と比べて貧富の差が少ねぇからな。基本全員金を持ってる。そして冒険者も必ずといっていいほど、ここを通るからな都合が良いんだと思うぜ。」
「なるほど…」
「ふたつめは次の目的がなにかでっかい事をしようとしてるってことだな。」
「でっかい事?」
「噂ではあの採掘場を狙うとか、ノートリアムの聖教会だとか言われてるな。」
「ま、真偽はしらねえが。」
「ほぉ、」
「あとは…」
作業着の男が声を抑えた。
「どうしました?」
「いや、これはあくまで噂だからな?」
「はい。」
「バンディードのリーダー、ラドロなんだが、あいつについてのことなんだが…」
「はい?」
「あいつ、能力を使ってなにか生物を創り出してるっていわれてんだ。」
「その生物ってなんですか?」
「…魔物だって言われてる」
「え!?」
今まで口を閉ざしていたアカリが急に口を開いた。
「魔物って十年前からいなくなったんじゃないの!?」
「そのはずだったんだがな。それを生み出しているらしい…」
「あ、あくまで噂だぜ!?確証は無い…」
「まさか…」
「と、とりあえず、俺が教えられるのは以上だ。」
「俺は仕事に戻る。じゃ、じゃあな!」
「あ、はい。ありがとうございます?」
そうして作業着の男が仕事に戻っていった。
それに比べて、アカリは落ち着きが無く、体を震わせている。
「魔物が…なんで…?」
「アカリ…?大丈夫?」
「あ、だっ、大丈夫。ちょっと戻ってもいいかな…?」
「うん、一旦戻ろう。」
そうしてハヤトとアカリは集合場所へ戻っていった。
ちなみに父についての情報は特に無い。
フリスは近くの海へきていた。
「…俺はなんなんだ?」
「あのとき見た心臓の山、あれは何だったんだ?」
「記憶を失った原因はなんだ?」
「ユリナと俺の関係は?」
「…思い出せない。」
フリスは近くに落ちていた木の枝を拾い、力を込める。
そしてそれを解放すると、海に“大きな雷が落ちた“。
現在の天気は雲一つ無い快晴なのにだ。
「…魔法の使い方だけだな。覚えているのは。」
「これを…言っていいのだろか」
「向こうは自分を信頼してくれている。だが…俺は、俺自身すら信用出来ていない。こんな俺が本当に…」
「…本当に仲間になっていいのか?」
「………」
いくら悩み続けても答えは出ない。
答えは出せない。
もう、帰ろうか。
フリスは結局何も出来なかった。だが、着実に、一歩一歩近づいていく。それがフリスの今の役目だ。それに気づくのは果たして…




