第十四話 模擬戦 終了
「…お前に教えることはもう無い。」
師匠が行ってからスウォウが言った。
「え?どういうことですか?」
「あと、【血をつぐもの】ってなんですか?」
「…まずは【血をつぐもの】についてだ。」
「【血をつぐもの】は、【伝説の生物】を倒した者とその子孫のことだ。」
「【伝説の生物】は基本死ぬことは無いが、それを戦闘不能に出来た者は【伝説の生物】の力を得ることが出来る。そして、その力は倒した者の子孫にも受け継がれる。」
「…その子孫が僕ってことですか…」
「あぁ、師匠が何故一目で見抜けたかは謎だが、師匠が言うなら間違いないだろう…」
「お前が何の血をつぐものなのかは分からずじまいだがな。」
「何の、ってどういうことですか」
「【伝説の生物】にも種類がある。その中でお前がどの【血をつぐもの】かまでは師匠も分からなかったのだろう。」
「ということでお前はもう既に俺の実力を超えたんだ。これ以上教えたところでなんにもならん。」
「まぁ、最後の試合くらいは参加した方がいいと思うがな。」
「…分かりました。ありがとうございました。」
自分の正体が親からも教えて貰っていない【血をつぐもの】と判明したのだが、実感はあまり無かった。
それよりも、父が【血をつぐもの】を知っていたのかの方が気になる。
そんなこんなで最後のトーナメントが始まった。
初戦の相手はリースだったのだが、体調不良で棄権していた。
急に熱が出たらしい。スウォウが面倒を見るためスウォウも棄権していた。
二回戦の相手はカミズミだった。
「また会いましたね」
「手を抜くなよ?」
そうして試合が始まった。
カミズミが先程と違い、こちらの様子をうかがってくる。
自分から仕掛けてもカウンターを貰うだけだと思い、両者一分ほど動きが無かった。
先に仕掛けたのはやはりカミズミだった。
一気に距離を詰め、ハヤトの間合いに入り込む。
ハヤトは予想していたかのようにカミズミの間合いから抜け出し、相手の剣を叩き折ろうとする。
だがカミズミもそう簡単に武器を折らせるつもりはない。
剣をひねり、ハヤトの拳が刃にぶつかるようにする。
ハヤトは刃に触れようとした瞬間、体をひねり、バネのようにカミズミの顔面を蹴った。
カミズミは予想外の攻撃で一瞬の隙を見せた。その隙を狙い、拳を叩き込む。
そうしてハヤトはカミズミに勝利した。
試合の後、カミズミから何故あそこまで急激に強くなったのか聞かれた。
「相手の行動を予測しつつ、アカリさんの速度をまねて出来るだけ速く動けるように、そしてスウォウさんの力の出し方を意識しただけです。」
「そんな簡単に出来るはず無いだろう?」
「お前はそういう成長系の能力を持っているのか?」
「いえ、僕は無能力です。だけど僕は【血をつぐもの】って師匠が言ってました。」
「ふ、【伝説の生物】を倒した者の子孫か…ならばここまで強くなるのも納得だ。」
「次の相手はアカリだ。せいぜい頑張れよ。」
ナンバーワンに応援されて少しやる気が出てきたような気がする。
三回戦は言っていた通りアカリとの対戦だった。
「最後がアンタと私なんてね…」
「まぁのびのびやりましょう…」
「はい…よろしくお願いします。」
そうして試合が始まった。
アカリはあのときと同じように速度を詰め、蹴りにくる。
だが、一度見た攻撃だったので、避けることは容易だ。余裕を持ちつつ攻撃を躱していると「へぇ、本気出しちゃおっかな」アカリの声が聞こえた。その瞬間、アカリの速度が数倍にまで上がった。
流石に厳しいと、くるであろう地点に攻撃を置いておくが、ことごとく避けられる。
だが、攻撃自体は軽く、手数の多さで勝負しているため、一撃をいれれば勝てると思う。そうしているとアカリの攻撃がやんだ。
なにが起きたのかと周囲を見渡すとそこには何か力をためているアカリがいた。
「流石に疲れたから最後に決めてあげるね…能力【速度の重量】」
アカリがハヤトへ突っ込んでくる。
カウンターを当てれば勝てる。
だが外すと負ける。勝率の低いギャンブルだ。
だが、少ない勝率を捨てるハヤトでは無い。たとえ0.1%でも希望をとるのがハヤトだ。
アカリの攻撃が来る瞬間、ハヤトは攻撃の体制をとった。
「はあああ!!」
ハヤトの攻撃がアカリに当たる。
アカリの攻撃もハヤトへ伝わる。
二人とも倒れ、両者引き分けで終わった。




