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戦国物語 ~胡蝶の夢~  作者: 牛一(ドン)
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第5話 斉藤正義の暗殺事件 〔明智光秀視点〕

私、明智光秀は前明智家の当主であった光継(みつつぐ)の嫡男 光綱(みつつな)の子である。

息子と言っても正室の子でなく、愛妾の子である。

母方の父、私の爺様も同じ明智家ではあったが、代々幕府に仕えていた家系であり、美濃の明智家とは、明智家の祖である頼重(よりしげ)様の代まで遡る。

頼重様は可児郡明智・同郡姫郷・尾張国海東郡宮村の地頭職を相続され、明智長山城に在城し、足利将軍家に仕えて従五位下に叙任された。

明智兵庫頭家である頼重様の直系は地頭職を継ぎ、他の子らは公方様の奉公衆四番衆となるか、地頭の家臣として仕えた。

爺様は奉公衆四番衆として仕えた明智兵庫頭家だ。

その為に公方様の膳部(ぜんぶ)(お膳にのっている料理)を調えたり、宿直勤仕したりするなどの雑事にたずさわった御末衆(おすえしゅう)である進士(しんし)家と親しく、その縁から明智家の者が東美濃に領地を貰った者もいる。


進士家と言えば、天文20年 (1551年)に政所執事の伊勢貞孝が自らの邸宅で、三好長慶を酒宴に招いた時に、公方義藤(よしふじ)(後の義輝)様の使者として派遣された奉公衆の進士(しんし)-賢光(まさみつ)がその席で長慶を暗殺しようとした。

賢光は長慶に向かって抜刀して軽傷を負わせたが、暗殺には失敗して、その場で自害して果てた。

公方様が長慶の暗殺を命じたのかは謎だが、公方様の為に命を惜しまぬ。

それだけに公方様の信任も厚い。


母方の爺様の明智兵庫頭明智家は源十郎様 (進士(しんし)-藤延(ふじのぶ))の家臣に甘んじている。

それでも爺様の爺様になる四代前の明智兵庫頭光高 (入道玄宣)は、前当主光継の父にあたる上総介頼尚(よりひさ)と領地争うで内紛になった事もある。

光継様の父上が上総介頼尚であり、爺様同士の争いであった。

この内紛は和睦となり、知行を折半して妻木郷(つまぎごう)を上総介頼尚が得る事となった。

妻木頼安は上総介頼尚に仕える事になった。

先ほども言ったが、兵庫頭家は東美濃を拠点とする進士家と親しい。

血の濃さで言えば、私は東美濃の遠山七頭の一ツである明知家の方が近い。

母の爺様である光兼は次男であった為に奉公衆になれず、中間に下がるのを嫌がって、美濃に下向して、妻木頼安を頼って上総介頼尚の子である光継様に仕官した。

残念ながら侍大将ではなく、身分の低い足軽大将であった。

我が父である光綱が母を見初めて、私が生まれた。

父の光綱様は正室の子と差別する事なく、私を可愛がってくれて、勉学に必要な書物を与えて頂いた。

しかし、運悪く、若くして病で亡くなり、今は弟の叔父である光安(みつやす)様が当主となられている。

光安様も私を明智一門としてくれているので感謝しかない。


最近、辺りが騒がしくなっている。

馬鹿は尽きない。

光安様が稲葉山城より帰られたと聞いて、心労も溜っている事だろうと思い、私は酒壺を持って叔父の部屋を訪ねた。

すでに日が暮れて暗くなった部屋で障子を開けた儘に、庭の方を向いて光安様は目を閉じてジッとされていた。

私が部屋に入ると、ギョロッと目を開けてこちらを見てから、のっそりと口を開いた。


「誰か」

「私でございます。叔父上様」

「十兵衛か。入れ」


私は手に持っていた灯りを蝋燭に移すと、光安様の下座であぐらを掻いて腰を落とした。

光安様はまた庭の方に顔を向けて遠くの方を見ていた。

当主となれば、思う事が多くあるのだろう。


「一献、如何でしょう?」

「うむ。もらおう」


私はお猪口(ちょこ)に酒を注いで光安様に差し出すと、ぐびっと一気に飲み干し、お代わりを要求したので、私は空いたお猪口に酒を再び注いだ。

その私を見て光安様の顔が少しだけ緩められた。


「その気遣いの細やかな所が、兄者に似てきたな」

「光綱様に似てきたなど、恐れ多い」

「儂と違い。兄者は聡明な方だった」

「そう聞いております」

「兄者ならば、その才覚を評して、其方に家督を譲ると言ったかもしれん」

「お戯れを」

「兄者は古いモノに囚われぬ。殿の才覚を認め、妹を差し出してでも縁を結ぼうとされた。周りの美濃源氏に流れを汲む一族から悪言など気にもされなかった」

「悪言とは、油屋の事でございますか」

「他にあるか?」

「毒殺とか、騙し討ちとか?」

「あははは、そうであったな。殿は時に容赦がない。だが、名将と謳われる朝倉(あさくら)-宗滴(そうてき)殿は『武者(もののふ)は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つことが本にて候』(大将は犬と言われようが、畜生と言われようが、勝つことが最も大切なのだ)と言っておる。殿はそれを体現しているに過ぎない」

「別に批判をする気はございません」

「そうか」


光安様は大殿 (斎藤(さいとう)-利政(としまさ)、後の道三)への信望が厚い。

供に苦難の道を歩んできたからだろう。

そうなのだ。大殿と供に光安様は土岐(とき)-頼芸(よりあき)を支えてきた。

その頼芸は常に劣勢に晒されて生きてきた。

頼芸を支えていた大殿が裏切るなどあり得ないと、光安様は言う。

あり得ない事を悪意に満ちて頼芸を唆し、その太鼓持ちの佞言を信じて、大殿と排除しようなど馬鹿げている。

それならば、最初から戦上手の大殿を頼らず、頼芸が頼武(よりたけ)頼純(よりずみ)と戦って勝ち取れば良い。

そうすれば、名声はすべて頼芸のモノとなったであろう。

だが、ずっと劣勢の苦境であっても支え続けた大殿が権力を持つと信じられなくなり、大殿を疑って頼芸は裏切った。

裏切るのはよいが、大殿と戦って勝てると思っているのが愚かすぎて度し難い。

その馬鹿を担ぐ身になって欲しい。

私も自分のお猪口に酒を注いで、自分から出て来そうな悪言を飲み干した。


「で・・・・・・・・・・・・話があったので来たのであろう」

「いいえ、ただ叔父上様と酒を呑みたかっただけです」

「すまぬな。気を使わせた」

「噂を消す術もなく、此度の件でお力になれず、申し訳ございません」

「気にするな。あれが自ら招いた失策の結果だ」


やはり、光安様も斎藤(さいとう)-正義(まさよし)の事を気にされているようであった。

正義は近衛家の血のみの詰まらない男だ。

自分が強いと勘違いをして、自尊心ばかりが高いだけの碌な奴ではない。

ただ・・・・・・・・・・・・公方様のご正室に近衛家の姫が嫁いでおり、その公方様を六角(ろっかく)-定頼(さだより)が支えており、定頼は幕府と六角家を抑えるには必要な人材だ。

公方様と定頼を敵にせぬ為に近衛家の力は大きい。

父が前関白であり、兄の晴嗣(はるつぐ)が左近衛大将であり、次の左大臣だ。

朝廷への覚えも目出度い。

これは正義の力ではなく、近衛家の存在だ。

守護代の斉藤持是院(じぜいん)家を乗っ取る時も、正義を跡目とする事で反発を抑えた。

今回は馬鹿ゆえに頼芸に利用されて、大殿から頼芸に寝返ったと噂されている。

嫡男である高政(たかまさ)様を蹴落として、斉藤家の家督を継ぐ気なので裏切るつもりはないのだろうが、馬鹿だからどうしようもない。

馬鹿と言えば、嫡男の高政様も馬鹿だ。

呼ばれたからと言って、ホイホイと頼芸に近付くとは迂闊過ぎる。

帰蝶様も懸念されたのか、手の者を送って双方を探らせたようだ。

そこで「帰蝶様が正義に嫁ぐなどのを嫌がっておられる」などという噂がたった。

正義には正妻も子もいる。

これは嫌みか?

それとも帰蝶様と明智家と重ねて、「頼芸に寝返るなどないですよね」という帰蝶様からの忠告なのだろうか?

悪くない警告だ。

だが、正義には伝わらず、余り良い結果となっていない。

それが光安様の悩みの種だ。


「ふふふ、伝わらぬ処か、噂を信じて、正義殿は帰蝶を娶って守護代になるつもりだ」

「馬鹿な。殿が許す訳もない」

「帰蝶様もそのつもりはない。無い故に警告を発せられたのだろうが、肝心の正義殿が良い策とほざいておった。儂を叔父上と呼びたいなどとな」

「馬鹿過ぎますな」

「正義はどうでもよい。問題は家臣団だ。此の儘では、隠居させて息子に家督を強引に継がせる『主君押込(しゅくんおしこめ)』に発展しそうな勢いになっておる」

「子の亀若にですか⁉」

「元服しておらんが問題なかろうが・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・なるほど、実行されると、少々、困った事になりますな」

「うむ。近衛家との関係が厄介な事になる。故に、与力の久々利(くくり)-頼興(よりおき)が館へ酒宴を開き、正義殿を説得すると言っておった」


久々利城主の久々利-頼興は一族の多く者が戦で戦死しており、正義の与力衆の中では一番の奉公者だ。

だが、身を挺して主の正義を守った事を貶め、敵の首を取ってきた者のみを評価すると聞いている。

正義は自らを勇将と言うが、野戦は突撃のみ、城は力攻めしか出来ない。

家臣らは苦労させられていると聞く。

言葉一ツで大桑城を落とした帰蝶様を見習えと言いたい。

そこから私は光安様と今後の対策を練り始めた。

主君押込を回避しつつ、正義が大殿派である事を主張してゆく方法だが・・・・・・・・・・・・?

本人に自覚させるのが、一番難しい。

その大任を押し付けられそうだ。

そこに廊下をバタバタと急ぎ足で光安様の従者の一人が部屋に駆け込んできた。


「殿。一大事でございます。久々利-頼興様が斉藤-正義様を毒殺して、いずれかに逃亡したとの事です」

「何だと⁉」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


光安様が立ち上がって大声を上げ、私は絶句して動けなくなった。

今後の予定がすべて無に喫した。

酒宴の席で毒殺など、大殿を真似たのか?

それとも大殿の指示か?

あり得ない。

大殿も今の情勢は判っているので、暗殺などあり得ない。


「十兵衛。付いて来い」


光安様は部屋を飛び出されて、馬に乗って稲葉山城に向かわれた。

夜道なので、余り速度が出せない。

しかも家来衆はわずか10人のみ、馬を早足で駆けさせており、伏兵を忍ばされれば、一溜まりもない。

私は光安様に自重させるように忠告したが、息子の秀満(ひでみつ)がいるので問題ないと速度を緩める事はなかった。

稲葉山城に到着すると、すぐに大殿の部屋に通された。


「光安。言っておくが、儂は指示しておらんぞ」

「やはり、そうでございますか」

「判っておるなら慌ててくるな。疑っておったのであろう」

「あり得ぬと思いましたが、万が一と思ってしまいました」

「今はあり得ん」

「でしょうな」

「十兵衛も来たか。後ろに座れ」

「承知しました」

「困った事になりました」

「そうだな。遅かれ早かれ、正義は殺す事になったではあろう。そして、正義を殺めるなら毒殺だろう、ふふふ」


大殿(斉藤-利政)は私の方を向いて、目を合わせるとポツリと言って、不気味な笑みを浮かべられた。

やはり、大殿も正義を殺す気だったらしい。

高政様を押しのけて守護代になると公言する馬鹿を放置するほど、『美濃の蝮』と恐れられる大殿は優しくない。

だが、時期が悪い。

今は頼芸に寝返ったと噂されており、正義が死ねば、大殿の関与が疑われる。

逆を言えば、時期が整えば、排除するつもりだったとも聞こえる。

判らぬのは、私の方を見て言った事だ?


「光安。儂はな~、新たな守護を若狭の武田家より迎える気だった」

「また、無茶な事をおっしゃいますな」

「無茶ではないぞ。情勢をよく見てみよ。公方様は強い味方を欲しておる。若狭国守護の武田家七代当主の信豊(のぶとよ)は、嫡男の義統(よしずみ)に公方様の妹を嫁として貰った。だが、若狭は未だに困窮しておる」


大殿が困窮と言った瞬間に繋がった。

若狭武田家は公方様の為に何度も出兵しており、その為に国が荒れていた。

それらの不満を押さえ込む為に、公方様は妹を差し出した。

だがしかし、姫を貰っても出費が増えるだけで財政的な助けにはならない。

謀反者を少し抑えたに過ぎない。

ならば、この美濃が財政の支援をするという条件を入れれば、若狭武田家は応じるだろう。

しかし、それでは若狭の武田家では美濃の国人衆が納得しない。


「十兵衛よ。儂も考えておる。公方様は若狭を助ける為に妹を差し出したのだ。弟を若狭に差し出す事も出来るのではないかと?」

「公方様の弟御ですか」

「出家した者が二人ほどいるだろう」


大殿がニヤリと笑うと、頭をかち割られた衝撃が走った。

大殿は公方様の弟御を美濃守護にする気だ。

何と大それた策を考えておられたのだ。

目を瞬いて驚いた。


「普通にくれと言っても納得してもらえん。だが、若狭の武田家を挟めば、武田家の要望ならば、公方様も折れるかもしれん」

「あり得ます。若狭武田家ならば、朝倉家との関係も良好であり、公方様の妹御を頂いた義統殿の母は六角定頼の娘です。美濃が六角家、朝倉家、若狭武田家と良港な関係となれば、四家より兵を出させる事が可能になると、公方様を唆せば、三好と対立する公方様にとって悪くない話です。しかも美濃守護が弟のモノになるのは悪くない」

「その通りだ。公方様の弟を義統殿の養子として、美濃守護に就かせ、その正室に帰蝶を据える。これならば、儂の顔も立つので疑う者もいまい。そして、成功の暁には、儂は守護代職を正義に譲ると餌を付ければ、正義が裏切る事はない」 


私は帰蝶様の名前に少しだけ眉を潜めた。

そこにあった喜びが急に萎えた。

だが、美濃を救う手立てとなると、この話を帰蝶様は喜ばれるだろう。

幕府を含め、六角家、朝倉家、若狭武田家の三カ国と良好となれば、尾張の織田家も動き辛い。


「最近、勢いのある甲斐の武田家とは、同じ武田家の好が出来る上に、公方様の弟御を敵にするのは世間体が悪い」

「確かに、甲斐武田家の抑止ともなります」

「十兵衛。判っておる。正義では、守護代は務まらぬと思うのであろう」

「いいえ・・・・・・・・・・・・」

「隠さずとも良い。お主が帰蝶に惚れているのも承知しているが、帰蝶はやれんがな」

「頂くなど、考えた事もございません」

「だが、儂の計算には、守護の正室となった帰蝶の手足に十兵衛がなってもらえれば、算段が立つ。帰蝶は女子だ。帰蝶の側で側近として、動く者がおらねばならぬ。十兵衛がいたので、十分になると考え付いた」

「お戯れを」


大殿は狡い。

嘘と判っていても嬉しくなる。

だが、そこからが大殿の本領発揮の策であった。


「公方様の弟御が美濃守護が付いた後に、守護代を掠め取られた高政の手の者に、正義は毒殺される。そして、近衛家より代わりの守護代を迎え、実質は帰蝶の弟である孫四郎を守護代の家宰として、美濃を治めさせる。帰蝶にとって高政は邪魔であろう」

「大殿・・・・・・・・・・・・?」

「事を為す時は、情を捨てよ」

「承知しました」

「だが、すべて夢よ。全部、消え失せた」


光安様が重苦しい溜息を吐いた。

どうやら大殿が正義を暗殺させたのではないと納得した。

大殿の溜息は、久々利-頼興の軽挙に無念さを吐いたようだった。

毒殺するが時期が悪かった。


「では、殿は関与されておらぬのですな」

「光安。察しが悪いぞ。十兵衛を見習え。今、ここで殺して何の得がある。暗殺、毒殺、騙し討ち、勝つ為に手段は選ばぬが、得にならん事はやらんぞ」

「確かに、その通りでございます」

「帰蝶が手の者を送ったので、それを利用して警告を送ったのに気づきもしない。殺されて当然だが、時期が悪い。この後の手が思い浮かばん。何か、手はないか?」


大殿が困り果てたように聞いてきたが、私も思い浮かばない。

寧ろ、今回の件で近衛家が敵に回り、公方様の怒りを買わないかと心配になった。

もう一ツ、問題がある。

毒殺した久々利-頼興を捕らえて処分すれば、近衛家は怒りを静めるかもしれないが、美濃源氏の一族から恨まれて、大殿は味方を減らす。

だが、何もせねば、織田家と六角家の支援をえた頼芸に味方する者が増える。

策が出て来ない。


「まず、三好長慶に手紙を送って好を結び、続いて六角定頼に使者を送り、今回の詫びを入れる。そして、頼芸様に力添えして美濃をかき乱すならば、三好長慶と手を結んで、挟撃する事も厭わないと脅す」

「大殿。我らが脅すのですか?」

「光安。劣勢な時ほど、大きく出ねば、好きにされるぞ」

「難しい交渉となりますな」

「十兵衛。任せるぞ」

「私ですか?」

「他におるまい」


突然の大役で冷や汗を掻いた。

大殿は詫び役にも敢えて無名の者を送る気なのだ。

無名なのに大役を任せられる者は少ない。

嬉しいのやら、貧乏くじを引いたのかと首を傾げたくなる。

ならば、あと一方だ。


「織田家には策らしい策が思い浮かばん」

「大殿らしくございませんな」

「あれだけの大敗を食らったのに、平然としているのが可怪しいのだ」

「確かに・・・・・・・・・・・・?」


織田家は軽く千人を超える死者を出した。

しかし、すぐに兵を集めて、清洲に逆襲し、さらに、三河の救援に向かって岡崎城を落とした。

大殿は三河に兵を向けた隙に牛屋城を奪還して、美濃から織田勢を排除したが、尾張へ攻め込む余裕はない。

織田家が頼芸に援軍を寄越すかどうかが、まったく読めないのだ。

海を持ち、それを利用して得る織田家の財力の怖い所だ。


「今川と結んで攻めさせる。無難な策しか思い浮かばん」

「それしかございませんな」

「問題は今川が大きくなり、織田家を食えば、六角家と連携してくる。そうなると美濃は一溜まりない。織田家には頑張ってもらわねばならん」

「敵の頑張りに期待するのは可笑しな話ですな」

「織田家と今川家が戦って、美濃に手出しできない状況を作りたいモノだ」


そんな巧い手はない。

織田家から和睦の使者が来ていたが、正義の毒殺で大殿と頼芸の関係が壊れた。

これで織田家との和睦の道を絶たれた。

四面楚歌だ。

此の儘では、三度目の織田・朝倉連合による美濃攻めが起る。

脅す事で時期を遅らせる事は出来ても、根本的に防ぐ手立てが見当たらぬ。

困ったモノだ。

明智光秀の半生は謎です。

特に、前半生がまったく判りません。

しかし、進士家と親しかった事、惟任の名を名乗った事から明智兵庫頭家の血を継いでいることが伺われます。

また、信長から東美濃に赴く時に、道案内をしています。

妻木家から妻を貰っただけでは説明が付きません。

つまり、東美濃の明智家の血も流れていると言われる由縁です。

しかし、東美濃の明智家に斉藤利三などが従うのも不思議なので、やはり上総介頼尚の流れを汲む光綱の子なのではないかと思う所なのです。

そこで光秀は光綱の子で身分が低かったという設定にしております。

父方が明智上総介家、

母方が明智兵庫頭家

という事になっております。


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