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35 光を放つ守護の盾 その16

「このっ! 死にぞこないどもめ、大人しくしとけよっ!」


 二人が剣を抜いてホワニーに襲いかかる。


「ごめんなさい。本当は人を傷つけることはしたくないんです。それが悪い人だとしても」


「舐めたこと言ってるんじゃねぇぇぇ!」


「溢れ出してくる私の正義がこう言うんです。悪を倒せ! 叩きのめせ! そうしたら悪は滅びて善になるって! それが正義の力! 私は正義の執行者!」


 ――ドゴッ


 ホワニーは構えた盾を思いっきり前に押し出して男の一人を突き飛ばしたのだ。


 巨大な盾による一撃。

 男はそのまま壁にぶつかると、ずるりと言葉無く倒れこんだ。


「て、てめぇ!」


 まだもう一人いる。


「もう一人! このぉぉぉぉぉぉ!」


 ホワニーは盾の端っこを両手で持つと大きく振りかぶり、そのまま勢いよく振り抜いて盾の前面で男を殴りつけたのだ。


 鉄板に何かがぶつかったような音がして、残った男も沈黙してしまった。


「すごい、すごいですよリリザさんの魔術! 今ならやれそうです。あのお話の、盾のみで魔王を倒した勇者様の使った技を!」


 偉くハイになってるなホワニー。でも分かる気がする。

 リリザの魔術で痛みが消えて、万能感があるのだ。なんでもできそうな、そんな感覚が。


「おいおい、なんだぁ今の音は、うおっ!?」


 階段を上がっていったはずのゼンジーが戻ってきた。

 さすがにこの惨状に驚きを隠せないようだ。

 

「そこの悪党! 正義の一撃をくらいなさい! しぃぃぃぃぃるどぉぉぉ、ぶうぅぅぅぅぅめらぁぁぁぁん!!!」


 なんとホワニーは先ほどの応用で、腕の力だけでその巨大な鉄板、もとい盾を飛び道具のように投げつけたのだ。


 もちろんその先には余裕しゃくしゃくで部下に後始末を任していたゼンジーの姿。


「うおぉぉぉ! 馬鹿か! こんな狭い場所でそんなでかいもの投げるな!」


 鋼鉄の盾が高速回転して飛翔する。壁に当たろうと鉄の棒に当たろうとその回転を止めることは出来ず、そのたびに金属がぶつかる音と火花が飛び散っている。


 通路を占有するほどの攻撃。


 ゼンジーは回避を諦めたのか、器用に二本のナイフを使って飛んで行った鋼鉄の凶器を受け止め、力任せにはじき返してきた。


「くぅぅぅ、なんて威力だよ!」


 ガランガランと音を立てて地面に落ちる盾。

 それをガションガションという音と共に回収に向かうホワニー。


 あの盾、ゼンジーが回避してたらどうするつもりだったのだろうか。


「危ないところでした。またまた盾が無くなってしまうところでした」


 どうやら何も考えていなかったようだ。


「だけど出来ました! 盾が重すぎて一度も成功したことなかったのに、シールドブーメランが成功しましたよ! 魔術さまさまです!」


 本人は嬉しさのあまり凄くジャンプしているつもりなのだろうが、鎧の重さでほとんど跳べていない。


「まさかこいつらがやられるなんてな。いや、そもそもこいつらはそんなに強くはないんだが。お前らごときにやられるとはな、っていう意味だ。情けない姿を晒しやがって、減給にしてやる」


 倒れている仲間の体を蹴りつけるゼンジー。


「やめなさい悪党! 悪とは言えリティアンス様は倒れたものまで罰しません」


「おうおう、大層なご教義だこと。さて、調子に乗っているところ悪いが、終わりにさせてもらうぜ。お前たちの前には俺がいる。それがどういうことか分からんはずもない」


 二振りのナイフの腹をギンギンと重ねて音を立てながら、こちらへと歩いてくる。


「受けて立つまでもありません! もはや世界は善にあふれているのです。滅びよ、悪党!」


「な、なんだぁ? ヤクでも決めちまったのか!?」


 さすがのゼンジーもあのホワニーの変わりように驚いているようだ。

 それもやむなし。一緒にいるボクだって驚いているのだから。


「伝説の技が出来たんです。もう一つの伝説の技だってできるはず。リティアンス様、我に力を与えたまえ!」


 盾の下部、尖った先端部分をがっと、地面に突き刺して盾のみを自立させるホワニー。

 そして胸の前で手を組むと目を閉じて祈り始めた。


「グ・ソール・ミク・エクラタ・ダルサン・スマ・ラキヌタ・エル・ゴクト・ル・マルバトーズ! 盾よ、巨大になれ! 覇光を(グラン・)放つ神人威光の(ヴァルキヌス・)極大盾(アヴァロニア)ーっ!」


 詠唱と共に突き刺した盾が巨大化していき――


「嘘だろ……」


 ボクは言葉を漏らしていた。


 盾は地下牢の天井を突き破って地上部分を露出させ、さらに巨大になり、3階にある屋敷の天井をもぶち破り、青い空を見せてくれたのだ。


 ガラガラと落ちてくる瓦礫。

 よく生き埋めにならなかったもんだと思う。


「そんなバカな……」


 ボク達と同じく空を見上げているゼンジー。信じられないのは皆同じのようだ。


「とどめです! アヴァロニアライトウェーブ照射!」


 盾の前面から目もくらむような光がゼンジーに当てられる。


「ぐうっ! なんだこの光は!」


「上の階のみなさーん! 今から盾が倒れますからー、速やかに離れてくださいねー!」


「ちょっとまって、ホワニー! 何をどうするって?」


「今から盾を倒します。倒れた盾はあの人を押しつぶします。悪は倒れ幸せになります。以上です」

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