14 ついて行くヒトを間違った? その2
旅の最終目的地、ゆーしゃ様はどこにいるのか。
それを確認した時のことだ。
「うーん、たぶん北ね。それもすんごく遠くの北」
すごく遠い場所。そんな所まで行けるのだろうか。
自慢じゃないがボクはオーガの集落の辺り3山くらいしか行ったことが無い。
子供の頃住んでいた場所ではすごく遠くまで遊びに行ったりしていた気がする。
そうは言っても、無理やりオーガの集落に連れてこられたので、その頃どこに住んでいたのかも分からないんだけど。
「大丈夫よ、族長さんから地図をもらったし」
確かに地図をもらっていたな。いや、せしめていたと言ってもいい……。
まあ、リリザが大丈夫だって言うのなら大丈夫なんだろう。
ボクは後をついて行けばいい。
……と思っている時がありました。
「うーん……」
リリザが地図を広げているので、ボクもそれをのぞき込んでみる。
なにやら絵のような文字のようなそんなものが書かれているが、ボクにはそれがどういった意味なのかは分からない。
地図を読める人は今自分がどこにいて、どの方向に進めば目的地に着くのかが分かるというのだから、すごいなって思う。
「うーん……」
真剣な目をして地図を見ているリリザ。
だけど何やら唸っている。
「どうしたのリリザ?」
「うーん。いやぁ、族長さんに聞いたのよ。ちゃんと」
「うん?」
「その……一番近い町の場所よ」
「うん」
「だけどね……今どこにいるのか分からないの!」
「えっ!?」
「ここはどこ、私はだれー」
「でもリリザ、自信満々に歩いてたじゃないか」
「いやぁ、正直なところオーガの地図はわからなくって」
「えっと、その地図、人間が作ったって族長が言ってたよね」
「うぐっ」
つまり絶賛道に迷い中。
その後、リリザが地図に書かれた目印を見つけるのに数日を要したのだった。
◆◆◆
夜のことです。
最初の目的地である一番近い人間の町。
そこは一番近いと言ってもオーガの集落から結構な距離があるらしい。
日帰りなんかはできない距離なので必然的に野宿をすることになるのだが、山の中であり、その上に夜なのだ。つまりは危険がいっぱいだ。
腹を空かせた猛獣。夜に活発に動き出す魔物たち。
昼間に出会っても大変な奴らが暗闇の中、疲労困憊のボク達を狙ってくる。
なので交代交代で寝るのだ。起きているほうは火の晩と周囲の警戒をすることになる。
リリザは先に寝る番。
ボクの事を信頼してくれているのか、それとも熟睡しててもこのあたりの魔物には後れを取らないという自信なのか、とにかくぐっすりと寝ている。
日中は太陽の光が降り注いでいるから暑いものの、夜となればヒンヤリしてくる。
リリザには寝る前に布を渡しているので、それで冷気をしのいてもらうわけなのだが。
「んー……」
うわごとを言って体の向きを変えるリリザ。
その動きで布がめくれ落ちてしまう。
やれやれ、とボクはリリザを起こさないように布をかけなおしてあげるのだが――
「んんー」
それを拒否するかのようにゴロゴロと体を回転させるリリザ。
地面に直で寝ているわけではなく、広めの布を敷いてその上で寝かせているのだが、リリザの動きはそこからはみ出すほどで……。
これ以上動くと敷いている布から体が出てしまう。
ボクは布と地面の境目に手で壁を作って、リリザを受け止めて押し戻そうとするが――
――ごちん
回転したリリザの拳がボクの頭に直撃した。
「……」
とりあえず痛みをこらえてリリザを押し戻す。
ごろんと一回転させて元の位置に戻して一安心。
そう思った時がありました。
残念ながら、その後もごろんごろんとリリザが寝がえりをうつのでボクは大忙し。
時には腹に、顔面にと一撃をもらう始末。
リリザ、すごく寝相悪い!
それともう一つ。
その寝相と格闘しながらなんとか時間を過ごして、さあ交代というところ。
「リリザ、リリザ。起きて、交代だよ」
さっきから何度も呼びかけている。
らちが明かないので体をゆすってもいる。
――ZZZZZZZZZZZZZZ
だけど一向に目を覚まさない。
挙句、悪い寝相のせいでこちらもダメージを追う始末。
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――――――
――――
――
「うーん……。あれ、パル? もしかしてずっと起きててくれたの? ありがと、眠いでしょ。ちょっとでも寝たほうがいいよ?」
などと、背伸びをしながら無邪気に言ってくれるリリザ。
「どしたの?」
そんな様子に疲れ切ったボクは何も言い返すことは出来なかった。
リリザの一面。
寝相は悪くて、一度寝たらまったく起きないということをボクは知ったのだった。
次の日からは順番を逆にしてもらったのは言うまでもない。
◆◆◆
などと、リリザのいろいろな面を知ったボク。
だからと言って、ボクはリリザとの旅を止めたりする気はない。
どんなリリザだってリリザなのだ。
まあ、ボクがいなければリリザはどうやって生きていくのだろうかと心配になってしまうから、って所もあるけど。




