四
残念な事です。商人は追い返しました。
意図も読めず高級品しか持って来ない無能は必要ありませんわ。
いくら私の瞳と髪をサファイアのようだと褒めてもらってもキャロットの気遣いを台無しにさられたのでは無意味。最悪ですわ。
暫く顔を見たくないので二ヶ月程別の国に行くように言ってしまいましたがそれくらいは許されるはずです。
予期せず時間が空いてしまいました。
どうするべきかしら……。
「発言をお許しいただきたく存じます。」
「キャロット、どうしたのかしら。」
「先ずは殿下に恥をかかせてしまいました事。」
「謝罪はいらないわ。貴女が尽くしてくれているのは分かっていますし、今回の件は貴女に非が無い事は確認できています。」
「ご温情、ありがとう存じます。」
「それで?」
「はい。お持ちのドレスの中より装飾を外しては如何かと。」
「なるほど…確かに一度着たドレスを再度着る事はそうそうありませんわね。
直ぐに衣装部屋へいきましょう。」
やはりキャロットは優秀ですわ。
贈られたドレスは保存して置かねばなりませんが、自身でつくった物ならば手を加えても問題ありません。
ドレス問題は解決ですわ。
衣装部屋でドレスを選んだ後、バラ園のガゼボでお茶を嗜んでいると陛下から呼び出しがありました。
「失礼致します。」
執務室に入ると手紙を前にして少し難しい顔をした陛下がいます。
どうしたのかしら。
「見合いの件。アニイドフから返事が来た。
あちらも願ってもない話だと乗り気だ。
しかし、当の王子が遊学に出ており直ぐに呼び戻すのは難しいから第四王子ではどうかと言われている。」
「却下です。アルフレッド様以外は認めません。」
「……。その第五王子だがどうも遊学は嘘のようだ。」
「嘘?」
「ああ…見合いが嫌で飛び出したようだ。」
「…………何故…。」
私とアルフレッド様は一度しか会っていないのに何故?
歳だって同い年。私の成長は少し遅いけれどそれも範囲内ではあるはずですわ。
もしや結婚がお嫌なの?!
でもまだ見合い程度なのだから逃げる程では無いはずです。
「落ち着いて聞きなさい。
アニイドフ内で不穏な噂があるようだ。」
「噂…ですか?」
「キャッサバ国の王女は傲慢チキで平民嫌い。見た目は良くとも性格は最悪。」
「え?」
「第五王子はキャッサバ国に行った際、王女に酷い目にあわされた。」
「そんな…!私はアルフレッド様とは幼い頃に一度しかお会いしてませんわ。
それも楽しくお話をさせていただいただけで…。外交にもおいでにならないし…どういう事ですの…?」
「第五王子はキャッサバ国には行きたがらないらしい。アプリコット国には偶に足を運ぶようだが。」
「何故?!」
「確認できてはおらぬが…レスターニサ、我が国にはもう一人王女がおる。」
「もしや……。確認して参ります。塔へ入る許可を!」
「待ちなさい。私も行こう。」
私は陛下と部屋を後にして塔に向かいました。
塔は厳重に警備されていて入口前には二人兵が配置されルッコラの部屋の前にも更に二人の兵がいます。
ぎゃあぎゃあ品の無い声が聞こえるのでここの警備は大変そうです。
部屋の扉を開けると普通は無い格子がありました。
逃げ出さないようになっているのです。
アルフレッド様に何をしたのか洗いざらい吐いてもらいますわ。