十二
月日が過ぎるのは早いもの。
あれから二年経ち私とアルフレッド様との間には可愛い可愛い愛娘が誕生しました。
あの後アルフレッド様にルッコラの事を包み隠さず話しキャッサバ国から追放され二度と姿を見ることは無い事をお伝えするととても安堵されていました。
ルッコラが幼いアルフレッド様にした所業を教えていただいたので即座に陛下にお話してアブラナ国に連絡して貰いましたから追加で禊をしている事でしょう。
その姿を見られないのは残念に思いますが私にはそんなものより大切な家族がありますもの。
「レニー、マリナーラの様子はどうだい?」
「気持ち良さそうに寝ていますわ。寝顔はアルにソックリね。」
「そうかな。この可愛さはレニーに似たと思っていたんだけれど。」
「アルに可愛いと言われるのは嬉しいわ。ご機嫌とりでなければ良いのだけれど…。」
「そ、そんな事ないさ。」
実はアルフレッド様の不治の病は治っていないのです。
公爵の地位を受け王族では無くなったアルフレッド様とアニイドフ国で暮らしているのですが週に一度は女性が訪ねてきますの。
但し、恋愛絡みでは無いのでおおめにみています。
「実は出資してあげたい人がいるんだが、彼女は靴職人でオトコ社会の中で頑張っているんだが中々大変だみたいでね。
彼女のデザインを見せてもらったんだけど素晴らしいセンスを持っているんだ!」
「出資ですか…いつものように商会員ではいけないのですか?」
アルフレッド様があまりにも多くの人に出資しようとするので私は商会をつくりまとめてそこで面倒をみています。
もちろん納得してくれた方のみですが。
「今度その方を屋敷に呼んでください。私がお話をしますわ。」
「あ、ああ分かった。」
「あとアルは下心無しで私に優しく出来ないようですので暫く陛下のお手伝いをしてきて下さい。」
「も、申し訳ございませんでした!」
バタンバタンとスゴい勢いで頭を下げてますが、そんなのでは誤魔化されませんわ。
結婚当初、王位を継いだ途端にアルフレッド様が王族から抜け悲しんでいた陛下ならさぞ喜んでくれるはずです。
「本当にダメなお父様ですわね。ね、マリー。」
「け、決して君を蔑ろにしている訳ではないんだ。」
「でしたら早く帰ってきて家族サービスして下さいね。」
「…………ハイ。」
ふふふっ。なんて幸せなのでしょう。
愛する旦那様、愛する娘、私の幸せはずっと続いていきますわ。
だってこの手で掴み取った私の最高の愛ですから。
FIN




