一
私、レスターニサはキャッサバ国の第二王女として産まれました。
小さな頃は気が弱く、よく第一王女に意地悪をされて泣いていました。
そんな私に運命の人が現れたのは五歳の時ね。
城の庭園でお茶会が開かれ、私が参加はできないけれど勉強の為に少しだけ離れた場所でマナーの教師とお茶をしていたところ、いきなり現れたルッコラが私から紅茶入のティーカップを奪い紅茶をかけてきました。
私はルッコラへの恐怖と紅茶をかけられたショックで涙が出て止まらなくなり、教師は私をメイドに任せ逃げたルッコラを追いかけて行きアワアワするメイドに申し訳なく思いながらも泣き続けていました。
そんな場面にひょっこり来たのが彼、アルフレッド様でした。
アルフレッド様は隣国アニイドフ国の第五王子で勉強の為に王妃様に同行してきたそう。
私は突然目の前に現れたアルフレッド様が私の頭を撫でた事に驚いて思わず泣き止みました。
暫くアルフレッド様がついていてくれて、とても優しくしてもらい安心したのを覚えてますわ。
「君の涙はキラキラして綺麗だけど笑ってる方が可愛くて僕は好きだな。」
この言葉で私の心はドキドキでいっぱいになって初恋が始まったの。
今にして思えばアルフレッド様は私と同い年なのにとても大人びた言葉でした。
ああ…とても懐かしい話です。
けれど、私はその時のアルフレッド様の優しさを忘れる事はありません。
私達の物語の一ページ目なのですから。
さて、幼い頃の回想は終わりにして現実に向き合わなくてはなりません。
あれから十年、ルッコラからの嫌がらせは続いていた訳ですが、ここ数年は度を越すようになり看過できない程になっています。
先日は友人のお茶会に参加していたらいきなり割り込んできて口と手が滑ったとテーブルをぐちゃぐちゃにしていきました。
少し調子に乗り過ぎですわね。
まあ、私の手も滑り地面に落ちたケーキがルッコラの顔にとんでしまったのですが友人が笑顔だったのでセーフです。
後程ルッコラのお気に入りのドレスを数着売って慰謝料を払わせましたし上手く収まって良かったですわ。
幼い私は泣くだけでしたが、今は成長しやられるばかりでは無くなりました。
事前にルッコラの動きを察知できるようにもなりましたしそのまま全ては掌の上。
それでもめげずに仕掛けてくる根性には感服しております。
しかし、今回で最後になりそうです。
ルッコラは超えてはいけない一線を超えました。
本当に…頭が足りないというか…。
とりあえず今までの事も今回の事も全部証拠や記録をつけて報告してますから逃げられません。
願わくば…来世では素敵な姉が欲しいものですわ。