【プロローグのみ】リアル過ぎるゲーム
プロローグのみです。
完成まで書き上げられる気がしないので、ここまでで失礼します。
架空の未来。
そこでは意識を電脳世界へ没入出来る技術が普及していた。
結果として、電脳世界は第2の現実となり、生活に欠かせない技術となった。
そのくらいに科学技術が発展していても、世の中には不思議が潜んでいた。
……いや、そこまで技術が発展したからこそ、科学技術では理解できない領域がハッキリしたと言ってもいいのかも知れない。
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ボクは小山内直行。 いたって普通の男子学生!
………………だったら良かったなぁ。
実際は中学生……下手したら小学生にさえ間違えられる身長で、体つきは細くて撫で肩。
どれだけ筋トレをしても筋肉が付かない貧弱な男の見本みたいなやつ。
声も声変わりしたはずなのに音域が高いままで、顔も女顔。
周囲から男として見てもらえず、陰口で「産まれる性別を間違えた」とか言われてたりする。
遺伝子や染色体を検査したけど、検査したお医者さんが不思議がるほど完全に男性。
うん。
見た目が完璧に、やせっぽちの女の子なんだよね。
でもボクは男。
それでずっと、変なものを見る目をボクは向けられてきた。
そうなれば、少しでもボクの女の子っぽい要素を隠そうとして、前髪を伸ばして目を隠す行動に出てもおかしくないよね。
どれだけ周りから「もったいない」と言われても、わざと男物の野暮ったくてダサい服装を変えない心情は、理解してくれるよね。
それでね、そんなボクが内向的に育つのは当たり前で、趣味としてゲームを選ぶのも当然な成り行き。
ゲームの中でなら、自分が格好良くて逞しい体つきの主人公を作って、格好いい人物に成りきる事も出来る。
現実じゃないから、現実で出来ない事も出来る。
ボク自身を好きになれないボクが、憧れるボクに成りきれる。
これに魅力を感じない訳はないでしょ?
それで先日、ゲームをクリアしたから次のゲームをやりたいなーってダウンロードリストを見ていたら、とても凄いものを見付けたんだ。
製作者の欄は、全然知らない名前が書いてある。
購入価格は普通のゲーム並で、ボクでも手を出せる。
ゲーム自体は良くある、一人用シリアス展開っぽい自由行動の中世ヨーロッパ風ファンタジーゲームっぽいけど、ゲームの概要の説明文にひかれたんだ。
『貴方だけに贈る』
『リアル志向』
『本当に異世界へ転生したみたいな体験』
『独自のジェネレータによる、リアルなNPCの挙動と世界を実現』
色んな言葉がゲームの概要に載っていたけど、決め手はこのワードだった。
『ゲーム開始前の診断で、本当になりたい貴方に本当になれる』
なりたいあなたになれる。
これは良くある宣伝文句だけど、本当にが2回も付いているのに、本気を感じたんだ。
……まあ大体はおバカゲーとか言われちゃう、それこそ存在がネタの塊のゲーム位しか使わない文句なんだけど。
でも、それをこんなゲームではまず使わない。
それの所為かな?
地雷臭もするから、ダウンロード数も評価数もかなり少ない。
でも、良い評価のコメントは『ライトな難易度で遊びやすい』とか『本当に異世界で生きてる気がする』とか、。
ダウンロードするデータ量が大手企業から出してる同じジャンルのゲームの2倍もあって、どんなデータを入れているのか不安になるのも分かる。
でも、だからこそ。
ボクはダウンロードした。
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ダウンロードし終わり、起動したら、色々な注意書きが出た。
……まあ大体を読んだけど、書いてあるのは当たり前の事ばかり。
まとめれば、このゲームに関係して何が起きても、ゲームのバグ以外は自分の責任だって話。
あと、主人公となる自分のキャラの作り方は特殊で、何度やっても同じプレイヤーなら同じキャラになるから作り直せない様になっている。
ゲームで作れるキャラは1人だけで、削除不可能。
それでも作り直したいなら、ゲームを削除して買い直せ。
これ位。
それにOKボタンを押して、いざキャラメイク!
したんだけど、本当にキャラメイクのシステムがその辺のゲームとは、かなり違っていた。
普通は用意されたパーツごとに分けられていて、それを選んでキャラクターを創っていく。
それかアバターデータを持ち込むのを許可していたり、案内人と相談や注文しながら創ったり。
でもこのゲームは、名前を入力する以外は問診だけ。
何度再起動しても変わらない、決まった質問を出すと前置きとして説明されて、それに応えるだけ。
「これ、問診の応えを変えれば違うキャラになるんじゃないかな?」
なんて応える中で思わずつぶやいたら、注意文がポップアップした。
『思考波を読み取る為にしている質問なので、口に出した言葉に関わらない結果となります』
…………ビックリするよね。
そんなのにも負けず、良くゲームでやっている前衛の壁役を意識して応えていく。
『貴方はゲームが好きですか?』
『貴方のプレイスタイルは前衛ですか? 後衛ですか?』
なんて当たり障りもない質問もあれば、
『貴方にはこの絵がどう見えますか?』
なんて、理解に苦しむ精神鑑定じみたものまで。
それで『これが最後の質問項目です』なんて出された文に、ボクはフリーズした。
『貴方は貴方自身が好きですか?』
言うまでもないよね。
「ボク自身は嫌いです」
フリーズから抜け出した直後に、本心からするっと素直に言葉が出てしまった。
だからと言ってゲームがそれに反応して御大層な言葉をくれる訳じゃないから、それがどうしたって奴だけどね。
『質問は以上となります。 どうぞ異世界をお楽しみ下さい』
さあゲームの開始だ。
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一度暗転したら、プロローグ画面になった。
『ドワーフと小人とのハーフである ナオ は、天涯孤独の身の上を持ちドワーフの町に身を寄せたが、微妙な立ち位置にいた』
ナオは、いつもゲームでボクが付けるキャラ名。
は良いんだけど、いきなり不穏なナレーションは困る。
あ、いや。 そもそもその設定って、完全に小柄なキャラじゃないか……。
『ドワーフらしい力と頑丈さを持つが、鍛冶や土に関する魔法等の技能が苦手である』
……なんだかデメリットが大きい気がする。
『そしてハーフリングらしい身のこなしが出来ない、中途半端さだ』
そりゃあ、微妙な立ち位置だよね。 種族の特徴が死んでれば。
しかもドワーフの町なんだから、求められるのはドワーフらしい働き。
なのにそれが出来ないのは厳しすぎる。
『そんな生まれでも負けず、気丈で健気な彼女は、住んでいる所で唯一の神の愛とも呼ばれる回復魔法や補助魔法を使える人材で、人のために使うことで一定の評価を得ていた』
「待って? 彼女?」
力が強くて頑丈で、回復と補助の魔法が使える回復盾型なのは嬉しい。
普通は壁役か回復役かのどっちかだから、どっちも出来る大きなメリットを、デメリットで相殺したのかな?
けど、それ以前に彼女って?
ボクのツッコミは、ゲームの文章と共に流れて行ってしまう。
『しかし、ナオ が住む町に回復魔法が使える人物が住み着き、人材としての価値が薄れてしまった』
ねえ、彼女ってどういう事?
ボクはずっと男性キャラを使ってきたんだけど?
『ナオ と比べ、レベルの差で治せる範囲と魔法を使える回数が大きく違うので、明確に扱いが変わってしまった』
それはそうだ。 どっちに治療を頼むかを訊かれれば、十中八九良い方を選ぶ。
ボクだってそうする。
じゃない。 このゲームは、性別もゲーム任せなの?
『その変化を敏感に感じ取った ナオ は、迫害を受ける様になる前に町を抜け出そうと決意し、近くで一番大きい街へたどり着いた所から物語が始まる……』
うん。 背景はともかく、ありがちな始まりだね。
でもそれ以前だよね? ボクのキャラは女の子キャラなの? なんで?
…………ボクが操作するのは、本当に女の子キャラでした。
しかも種族的に小柄で、でもスタイルはかなりすごくて回復盾キャラって、属性を盛りすぎだと思います。
このゲーム、楽しめるのかなぁ。
不安でいっぱいだけど、せっかく買ったゲームだしプレイするだけはしてみよう。
――――その決意が、後に大きな出来事になるなんてボクは全然知らなかった。
蛇足
小山内直行
メカクレ系男の娘。
とにかく女の子と間違えられる容姿が嫌い。
女の子の格好を妙に勧めてくる家族が苦手。
女の子と間違えられて、変な欲望を込めた目で他人に視線を向けられるのが嫌い。
意地でも女の子に間違えられないぞと、ダサい男の服装をあえて選び続けるヘソ曲がりな自分が嫌い。
どんな努力をしても、変わらない(変えられない)体型・体格が嫌い。
今回始めたゲームで操作するキャラに、リアルでその内融合して変わってしまう宿命を持つ。
つまりゲームキャラにTSする未来が確約された主人公。
そのTS後は未設定。
ナオ
種族的に合法□リ。
髪型は前髪が長くてお下げ。 色は未設定。
クリックリのまん丸お目目で、小さな鼻に栗みたいな口。
ぷにぷにほっぺでもちもちお肌。
ボディラインのバランスが崩れない程度だが、プロポーションはリアル準拠で凄い。
つーか2次元のは強調され過ぎてる感じがしてる。
2回り近く昔は魔乳と言われていた“大き過ぎる”サイズが、今では巨乳扱いになってる(主にソシャゲ)界隈もあって本当にビビる。
……現実と何サイズ違うねん。 デフォルメで強調するにしたって、1つ2つじゃおさまらないサイズ増量は、さすがにねぇ?
筋力と丈夫さが高くて回復・補助魔法を使える、アタッカー兼壁役兼回復役。
独り暮らし設定だから、生活に役立つスキルは一通り揃ってて、場合によっては生産スキルも簡単なものなら持っているかも。
それだけ贅沢な初期スキル構成なら、一部スキルの取得不可能とかスキル成長にマイナス補正があっても仕方ない面があると思われる。
なお、純正ハーフリングみたいな身のこなしが出来ないと有るが、ザ☆平均の普通人種並にはあるので問題にはならない。
その内このキャラは、リアルの直行と融合して同一存在となる。
リアルでナオの能力を使えるので、直行は超人(そしてゲームキャラTS)化する。
自分が嫌いな直行は別人となるが、好きになれるだろうか?
作者はそこまで考えてないから、知らん。
ゲームシステムの補助で、リアルと性別が違くても問題なく動ける。
リアルと融合して直行がナオになる頃には、アシスト無しでも違和感無く動ける位になれてしまう。
他の同ゲームプレイヤー
直行がナオになるのと平行して、他の同ゲームプレイヤー達もキャラの姿となり、その影響で世界中が大騒ぎになる。
中には直行と関係のある意外な(笑)人物もプレイヤーで、その人物との関係性も大きく変わる……んだろうなぁと思うけど、考えてないから分からん。
作中のゲーム
狂気の天才が気まぐれで作ったとか、神が何かの目的を持って作ったとか、何かの理由があるはずなんだろうけど、考えてないから勝手に妄想してどうぞ。
ゲームシステムは、マジで第2の現実と言っても良いくらいリアル志向。
VRゲームの創作にありがちな、生きた人間と同じ思考能力を持っているのは当然。
食事、喉の乾き、眠気の概念だけじゃなくて、トイレや体の汚れやニオイまでも存在する。
体が臭かったり汚れていたりすれば、プレイヤー以外の人物達は白い目で見てくるし、避けようとする。
そのリアル過ぎる感じにもはや、異世界人生シミュレータと言っても良いかもしれない。
ソロプレイ用のゲームなのでMMOゲームみたく、リアルの時間と連動はしていない。
ゲームの終了は、命をなくすかプレイ自体をやめる以外は無いと思われる。
英雄になった、国を興した、大金持ちになった、結婚した。
そう言った、そのままエンディングになってもおかしくない展開になっても続くので。
命をなくした後は、周回プレイが待っている。
能力引き継ぎの有り無し、所持品引き継ぎの有り無しなんかの選択をして、創ったキャラのゲーム開始時点にまで戻る。
フリーシナリオ(RPG)
ゲーム開始直後から、移動可能な範囲がとても広く、それぞれの場所に用意されている沢山のイベントのどれに関わるかもプレイヤーの裁量ひとつで決められる、かなり自由に行動できるゲームシステム。
なお、大きなシナリオの進行の仕方はゲームによって違う。
イベントのクリア回数で大きなシナリオが進んだり、大きなシナリオがいくつもあってそれぞれで進んだり、ゲーム内での経過日数で強制的に進んだり、特定のイベントをクリアしたら進んだり。
この種類のゲームは“○○をした”と言うフラグが沢山必要となるために、そのフラグ管理が非常に複雑で、とにかくバグが起きやすい。
もしバグを見付けても、開発者の血を吐く苦労を偲び、穏やかな気持ちでバグ報告をして上げて下さい。
報告を受けた開発側は、そのバグを取り除く作業ひとつでまた、とても長い時間をかけて地獄を見るので。




