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三題噺集・五

作者: 北守

「流木」「画家」「玉葱」


 子どもの頃、図工の授業に、野菜の要らなくなったへたをスタンプにして絵を作ろうというものがあった。それを思い出しながら、私は筆を取る。筆……と言って良いものだろうか。私の使う筆とは、その野菜のへたやくず野菜である。

 私は、小さなアトリエで、画家をやっている。野菜の切れ端の『スタンプ』で絵を描く。他の者からしたら、独特な画法だろう。

 一般のごく普通の大学を卒業後、私は会社員になり、ある程度の地位を得て、定年退職をした。独り身のまま余生をどう過ごそうかと考えた時、子どもの頃の図工の時間を思い出したのだ。

 独身貴族をより満喫するために、私は自分の建てた家の離れに小さな部屋を作り、アトリエを作って、日がなそこで1日を過ごす。

 くず野菜……玉葱の根を切り落としたものをスタンプのようにぽん、と画用紙に押し付けた。さて、ここからどうやって絵にしよう。いつも行き当たりばったりで描く私は、その玉葱の葉の円の重なりが、段々と木の年輪に見えてきた。

 そうだ、流木を描こう。そうと決まれば、長ネギの余りを横に切ったものを、その玉葱の円の横に繋がるようにスタンプを押していく。ぽん、ぽん、ぽんと連ねた。半月のような切り口の那須のへたを、描かれた絵の程斜めの位置にぽん、ぽん、と丁寧に押し付ける。

 出来上がった。

 那須によって描かれた波。その波によって打ち上げられたのは、玉葱と長ネギによって描かれた、流木だ。

 うん、悪くない。

 一人、満たされた気持ちになり、私は今日も平穏に余生を過ごす。

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