表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

皆の思惑(捕虜視点)

捕虜視点の話

聖王暦1492年に占領されセント・リーフと名付けられた島は地球で言うところのシリー諸島のことである。ただし、シリー諸島が小さな島の集合体なのに対してセントリーフ島はシリー諸島と海底に沈んだ陸地全部を足した完全なるシリー諸島なのである。


シリー諸島は史実においても元々は大きな島だったローマ時代の遺跡も多く存在しており、繁栄していたが……ローマ時代に島の大部分が海底に沈んだ為に今の島々になったと言われている。セントリーフは沈んでいないシリー諸島であり、その形が『葉っぱの形』をしているために『聖なる葉っぱセントリーフ』と名付けられたのである。


セントリーフ島は暖かい島で北にある島に比べると気温が高く住みやすい地域であった。大陸などと比べて争いが少なく周囲の脅威が少なかったせいで開拓が進んでいて文明度も高かったりと良い面が多かった。魔法を使うことで温室を作り出して南国の植物も育てられていた。また海岸には時よりココナッツの実が流れ着いて来たりする。運が良いと箱詰めにされた物資が漂着することもあった。箱の中にはドコで生産されたのか分からないが……缶詰や南国のフルーツなどが入っていたり、極まれに不思議な道具や高価な魔石など貴重品が入っている場合もあった。島の人はコレを『神々からの贈り物』だと言って感謝していた。


何故こんな話をしたかと言うと……その『神々の贈り物』がドコから流れて来ているのか僕達は真実を知ってしまったからである。


ケモミミ娘「これ美味しいな!」


この場に人間を紹介するとケモミミ少女がアリサである。耳と尻尾が茶色であるが半獣ということ以外は分からない、本人も難のケモノかは分からないそうである。いわゆる雑種という奴である。

魔法服を着た少女がマーリンという名前らしい……彼女は島を守るために戦った守備隊の生き残りである。普通の人よりも魔力が高かったためか生き残ったようである。そのまま捕虜にされたそうである。

そして僕は和人と言う、和人だから和人かずと……安直だが分かり易いし、他人と話すときには何かと有利である。職業は神官である。


なぜか僕たちは快適な船内環境で暮らすことが出来ることになった。いや牢屋にいる人間達も言うほど酷い扱いは受けておらず、むしろ反乱防止のために牢屋に入れられているだけで扱いは悪くないどころか快適であることに変わりは無かった。(それでも僕達の方が上だが……)


マーリン「なぜこのような歓待を受けているのでしょうか?」


和人「推測するに懐柔し易いと判断されたからでは……」


マーリン「……」


コロンブスと名乗る男とタカムラという奴は共に見たこと無いほどケモ度が高い!そこには驚きを隠せない。半獣とは格が違う、まさに獣人という感じである。彼らの話している言葉が日本語だったのは驚きである。こっちの世界に来てから日本人どころか東洋人とあったことは無かった。


言葉はどうやって覚えたかと言うと転生人は普通の人間よりも魔力が高いし、最初に神様から貰うガイドブックに現地の言語を覚える方法というのが書かれていて……それに習った結果である。あと優しい神父さんに出会えたお陰である。


転生したところの言語は英語?らしき言語というのが正しいと思う……英語では無いのである。こっちの世界ではローマが支配したという歴史が無いので言語にローマ文化の混入が少なくてアルファベット圏の影響が少ない為に独特の言語を形成しており……英語とは違う文字と発音が使われている。習慣も異なっており、宗教はドルイド教の影響が強く、北欧神話の影響も受けていて多神教である。というか実際に神が存在していて現実に介入することも頻繁に起きているため一神教は浸透し難い状況である。


マーリン「神は我々に如何なる試練を与えるのでしょうか……」


マーリンは信心深そうである。僕が神官なのは完全に成り行きでしかないので信心は深く無い、ただ転生する時に神に直接会っているので神の存在を信じざる負えないだけである。


和人「僕が特別扱いなのは連中の言葉が分かるからだと思う……」


マーリン「では私は?」


和人「キミは魔法が使えるから士官だと思われたのでは?」


マーリン「間違ってはいませんね……」


士官というのは捕虜でも特別扱いされ易いしな


アリサ「じゃあ私は?」


和人「半獣だからじゃないかな……牢屋に入れられていたし……」


マーリン「そうだとしても優遇し過ぎでは無いですか?」


確かにそうである……出されている食べ物が想像以上に良いし……彼らの食事より良いのでは無いだろうか?技術が発展していて保存が出来て食料が豊富でも普通に考えて捕虜に対しての対応にしては慇懃が過ぎる気がする。コロンブスとか言う奴の部下たちは最初の頃、僕らを物珍しそうに見てはいたが態度は極めてフランクだった。しかし、途中からコロンブスとかいう奴の命令を受けたからなのか僕らに接して来る奴は皆礼儀正しくなった。見るからに怪しいので慇懃さが目立つ


和人「何か思惑があるのは間違い無いと思う」

現代でも捕虜に対する扱いというのは雑になることが多いです。食事なんて出してくれないこともあります。良い食事や待遇が良かったら懐柔する時ですね……


第一次世界大戦の時は捕虜の扱いが比較的良かったと言われています。シャルル・ドゴールはヴェルダンの戦いで捕虜になると何度も脱獄を試みてるのに扱いは非常に良かったそうです。余りに扱いが良いので暇だったためにドイツ語を捕虜の期間中に会得したくらいです。


感想等を受け付けております。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ